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    iriyaichi

    @iriyaichi

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    ▶︎古井◀︎

    DONE春の陽気に大洗濯をするチェズモクのはなし
    お題は「幸せな二人」でした!
    「そろそろカーテンを洗って取り替えたいのですが」
     朝。さわやかな陽光が差し込むキッチンで、モクマはかぶりつこうとしたエッグトーストを傾けたまま、相棒の言葉に動きを止めた。
     パンの上で仲良く重なっていた目玉焼きとベーコンが、傾いたままで不均等にかかった重力に負けてずり落ちて、ぺしゃりと皿に落下する。
    「モクマさァん……」
     対面に座っていたチェズレイが、コーヒーカップを片手に、じっとりとした眼差しだけでモクマの行儀の悪さを咎めた。ごめんて。わざとじゃないんだって。
     普段、チェズレイは共用物の洗濯をほとんど一手に担っていた。彼が言い出しそうな頃合いを見計らっては、毎回モクマも参加表明してみるのだが、そのたびに「結構です」の意をたっぷり含んだ極上の笑みだけを返され、すごすごと引き下がってきたのだった。しかし今回は、珍しくもチェズレイ自ら、モクマに話題を振ってきている。
    「それって、お誘いってことでいいの?」
     落下した哀れなベーコンエッグをトーストに乗せなおしてやりながら、モクマは問う。相棒が求めるほどのマメさや几帳面さがないだけで、本来モクマは家事が嫌いではないのだ。
    「ええ。流石に 3560

    高間晴

    DONEチェズモクワンライ「花粉症/潜入」。■今宵は一献


     ヘリの窓からネオン色のまばゆい夜景を見下ろしてモクマが言う。
    「いや~、絶景だねぇ」
     チェズレイとモクマは敵組織のアジトを無事発見し、今宵、二十階建てのビルの高層部に潜入することになった。
    「おや、遊覧飛行をお望みですか?」
     チェズレイの言葉にモクマは苦笑する。
    「そういうわけじゃないけども」
     夜闇に紛れてチェズレイの部下が操縦するヘリに乗り込み、二人は上空から最上階を目指していた。
     二人が無事に屋上へ降りたのを確認してから、ヘリを操縦している部下は二人に向けて力強く親指を立ててみせる。ご武運を――。無言のうちにその意味が伝わってくる。そうしてヘリはバラバラとローター音を鳴らしながら速やかにその場を離れていった。中の通路は薄暗く、窓から入る月明かりだけが頼りだった。
     と、通路を足音も立てずに進んでいたらチェズレイが口元を押さえて本当に小さな小さなくしゃみをもらす。モクマは視線だけで大丈夫かと問うたが、チェズレイは軽く頭を下げるだけですみませんと言ったようだった。
     チェズレイはこの国に来てから花粉症に悩まされていた。幸いいまの時代は薬で症状が抑えられるとは 2238