メイドの日「魈……俺は今、問題を抱えている」
「鍾離様が問題を……? それは、一体どのようなことでしょうか」
いつになく神妙な面持ちで鍾離は椅子に腰掛けていた。テーブルに肘をつき手を組む様は、今から巧妙な策でも発表する、かの岩神のようだった。
望舒旅館、魈が寝泊まりしている部屋に鍾離は来ていた。ひとまず話を聞こうと茶を入れ鍾離に出し、魈も向かいに座った。
「忙しさのあまり、家が散らかってしまっている」
「……ここへ来られる回数を減らしてはいかがでしょうか」
そう日が経たないうちに、なんでもない話をしに鍾離は望舒旅館へ訪れている気がしていた。特に用はないと言っているので、その時間を使って片付けをすれば良いと思ったのだ。
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