ここにいること 小黒に会った。天虎と洛竹にも会った。ふたりよりも先に小黒に会ったのは、彼が館に拘束される立場になかったからだった。小黒の懇願に折れた大人達の一人だったらしい無限が渋々といった様子で小黒を連れだって姿を現した日のことは今でも鮮明に思い出せる。
何も知らなかった天虎と洛竹は早々に解放となったようだった。巻き込んでしまったという気持ちが強かったので安堵する一方、大概館は妖精に甘いという感想を抱いた。だからこそ風息の処遇も長きに渡って宙ぶらりんにして、龍游での一幕を招いてしまったと言えるのだろう。
計画を子細に把握していた虚淮とはまだ顔を合わせていない。聞くに、彼はまだ風息と同じく氷雲城にいるらしい。ここにいてはできることもできないだろうに、と氷雲城の妖精から指摘されることもあった。それは確かに彼の言う通りで、自分も虚淮もやや意固地になっているのかもしれない。
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