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    sinohara0s

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    sinohara0s

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    春節无风です クリスマスでも黒髪だったけど今回も黒髪黑で離島のみんなも元気にしてるので、何も起きなかったというか過去の龍游で交渉が上手くいった世界線なのかな……みたいな幻覚に振り回されているのですが皆さん如何お過ごしでしょうか
    年齢制限ありのワンシーンお題募集してコスプレっていただいたのですが、めちゃくちゃ健全な話になってしまいました。すみません……

    サイト格納済みです。

    まね「すまない、小黒は外に出てしまっていて」
     春節の夜、小黒は風息達の下で過ごすのが慣例化していた。昼までに各々顔見知りとの挨拶を済ませて、夕方頃に風息が無限と小黒の拠点に顔を出す。それから小黒を連れてふたりが出て行って、翌朝戻って来るまでは無限も新年会に参加するのが通例だ。
    「そっか。早く来すぎたかな」
    「いや、そろそろ頃合いだろう。呼び戻そうか」
     無限の分の土産だとビニール袋を手渡しながら特に気にした様子もない風息が部屋に上がり込む。その背中に視線をやりつつ提案してみたが、んん、と風息は気のない声を上げるだけだった。
    「友達と遊んでるんだろ。もうちょっと後でいいよ。それにあんたとちょっと話してくるって言っておいたから、多少遅くなっても大丈夫だし」
    「そう?」
     ふたりが暮らすには少々広すぎるきらいのある短期賃貸マンションは、居間と寝室に向かう廊下が枝分かれしている。初めて室内に足を踏み入れた風息がどちらに行くべきか、廊下の向こうの様子を窺っている間に彼に追いついた。緩く背を押して風息が進むべき方角を示してやって、ふたりで居間に辿り着く。
     客人である風息をソファに座らせて、電気ケトルで湯を沸かしている間に茶の用意をする。せっかくだから普段より良い物で茶を淹れてからふたり分の茶器を盆に乗せて風息の下に戻ると、彼は黄色と黒の彩色がされた帽子を手にしていた。
    「何これ」
    「朝に小黒が着けていたんだ。ほら、寅年なのもあるし、耳が見えても飾りみたいだろう」
    「ああ、なるほど、写真ある?」
     あるなら見せてと手を伸ばしてくる風息に無限のスマートフォンを術で渡しながら、帽子が戻されたローテーブルに盆を置く。苦も無くロックを解除した風息がアルバムのアプリを開くのを見ながら、無限は先に茶に口をつけた。
     一通り写真を見終えて満足したらしい風息が無限にスマートフォンを返してきて、自分のために用意された茶で口を湿らせる。それから手を戻そうとして、ふいと迷った指先が再び帽子に触れた。
    「子供用だから結構きついな」
    「あなたは豹だろう」
     それを言ったら小黒は黒猫だし、と少々強引に帽子を被った風息が笑った。帽子の下で何かが弾むように揺れて、彼が丸みを帯びた肉厚の耳を珍しく出しているのが分かる。普段は触れることのない装飾品が当たるのが気になるのかもしれない。
     その動きに誘われて帽子の上から耳を撫でてやると、風息がこれ見よがしに喉を鳴らして無限に擦り寄ってきた。外気に触れていた髪や頬の表面はひんやりとしていて、手の平で温めてやりたくなってしまう。
    「虎ってそんなに甘えんぼなの」
    「どうだろう。でも天虎は甘えんぼだ」
     獣の耳を揉んでやるとくすぐったさが勝るようで、風息が指から逃げるように手の平に耳を押し付ける。喉の奥でころころと笑うような吐息を零しながら応える風息の仕草を見て、無限は名前の挙がった彼の末弟である妖精の姿を思い出した。模様のせいか厳つい印象があるが、気を許した相手の前では小黒と似たようなものなのかもしれない。
     そうなんだ、と応えながら頬を片方の手で覆ってやれば、すっぽりと収まりながら風息がまるい口調でそうだよと返事をする。視界の端のテーブルの上に小黒が着けていた虎柄の尻尾を見つけて、無限は尻尾を引っ掴むと風息を抱きこんで帯に挟みこんでやった。
    「何、本物出した方がいい?」
    「いや、引っ込みがつかなくなりそうだ」
     腰辺りに着けられた尻尾の飾りを梳くように撫でて、少々挑発的に誘う風息に無限は降参する。小黒は可愛らしいだけだったのに、恋人が同じ恰好をすると随分印象が違って見えるものらしい。
     尻尾を引っ張って早々に風息から剥がしてしまうと、自分でやったくせにと風息がからからと笑う。それから無限の肩口に頭を擦りつけると、帽子を浮かせて外してしまった。その刺激でまた耳が震えて、無限の肩をぴたぴたと叩く。
    「……もうちょっと触ってもいいけど」
     ふかふかで触り心地のいいそれに気を取られていると、風息が寸の詰まった耳をぴんと立てて無限に差し出して来る。誘われるままそろりと指先を耳に添わせると、目を細めて再び無限の手に頭を擦り寄せた。
     望まれるまま黒に近い色の毛並みを撫でると、風息は頬を緩めてくすぐったそうでいて満足気にも聞こえる吐息を零す。その音が酷く心地よくて、無限は誘われるように風息の唇に自らのそれを寄せた。
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    sinohara0s

    DONE春節无风です クリスマスでも黒髪だったけど今回も黒髪黑で離島のみんなも元気にしてるので、何も起きなかったというか過去の龍游で交渉が上手くいった世界線なのかな……みたいな幻覚に振り回されているのですが皆さん如何お過ごしでしょうか
    年齢制限ありのワンシーンお題募集してコスプレっていただいたのですが、めちゃくちゃ健全な話になってしまいました。すみません……

    サイト格納済みです。
    まね「すまない、小黒は外に出てしまっていて」
     春節の夜、小黒は風息達の下で過ごすのが慣例化していた。昼までに各々顔見知りとの挨拶を済ませて、夕方頃に風息が無限と小黒の拠点に顔を出す。それから小黒を連れてふたりが出て行って、翌朝戻って来るまでは無限も新年会に参加するのが通例だ。
    「そっか。早く来すぎたかな」
    「いや、そろそろ頃合いだろう。呼び戻そうか」
     無限の分の土産だとビニール袋を手渡しながら特に気にした様子もない風息が部屋に上がり込む。その背中に視線をやりつつ提案してみたが、んん、と風息は気のない声を上げるだけだった。
    「友達と遊んでるんだろ。もうちょっと後でいいよ。それにあんたとちょっと話してくるって言っておいたから、多少遅くなっても大丈夫だし」
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    sinohara0s

    REHABILI猫は人間には聞こえない声で鳴けると聞いたので
    ※謎の無黒風仲良し時空

    サイト格納済みです。読みやすい方でお読みください。
    横書き:http://mpmp.rakusaba.jp/rinzi/text/lxh/none/y_nya-nya-.html
    縦書き:http://mpmp.rakusaba.jp/rinzi/text/lxh/none/nya-nya-.html
    サイレントニャーニャー 風息がひとりで相槌を打っていると思ったら、小黒が彼の膝に乗っていた。ふんふんと興味深そうに子猫に頷いている風息を後目にしながら、無限は風息の座るソファの斜め横にある食卓の席に腰かける。無限には風息の独り言としか思えないのだが、実は小黒も喋っているらしい。
     それを知ったのはつい最近のことで、それまでは無限は小黒を無視すると度々文句を言われていた。初めての時などもっと酷く、突然無限の脇腹にぶつかるように飛び込んできたと思えば、どうして自分を無視するのかと涙ながらに訴えられて無限は困惑するしかなかった。
     この世に生を受けて四百年に四半世紀を足してまだ足りない。それだけ生きれば耳の一つ衰えてもおかしくはないと思ったが、弟子以外の声を聞き逃してしまうこともないのだ。なぜよりによって小黒の声が聞こえないのか随分長い事悩んでいたのだが、どうやら猫の生態が関与しているらしい。
    1811

    sinohara0s

    DONE風息が受け取ってきた誰かが諦めた未来への希望について 長い時間をかけて和解して腐れ縁化している風息と無限

    サイト格納済みです。読みやすい方でお読みください。
    横書き:http://mpmp.rakusaba.jp/rinzi/text/lxh/none/y_hana.html
    縦書き:http://mpmp.rakusaba.jp/rinzi/text/lxh/none/hana.html
    夢見る花 ひとが諦めた時に零れる祈りは花束に似ている。そう無限に告げた時、風息はもう相当に彼を信用してしまっていたのだろう。
     そういう瞬間に多く立ち会ってきた。むせかえるように香るものや、色鮮やかにきらめくもの。からからに乾きながらもまだ姿を保とうとするもの、茎から腐り行きつつあるもの。まだ世界を知らぬままの花開く前の淡い蕾。
     そのたびに、風息は彼らが描く未来の姿を受け取ってきた。その一瞬、最後の力を込めて形にするそれらを抱き留めて、いつかその世界を己の眼に納めようと彼らに風息は誓ったのだ。数々の祈りが自身の判断に影響を与えた自覚はもちろん風息にもあったが、後悔などしていない。
     脈絡なく始めてしまった風息の話を無限は黙って聞いていた。風息が言いたいことを言い切って口を噤んでしばらく静寂を拵えてから、それは本来分かち合うべきものだろうと無限は口にする。
    1988

    sinohara0s

    DONEこれから初夜を迎えるぞというタイミングの风无♀(風無♀)書きました。
    ※无女体化及び无の昔の男の話題あり
    サイト格納済みです。読みやすい方でお読みください。
    横書き:http://mpmp.rakusaba.jp/rinzi/text/lxh/fm/y_kizu.html
    縦書き:http://mpmp.rakusaba.jp/rinzi/text/lxh/fm/kizu.html
    傷と夜 色恋に身を投じるのは久方ぶりだと躊躇う無限に合わせて、少しずつ関係を進めて来たと思う。窺うように彼女に触れて、体が強張るようであれば無理にはしないようにした。その甲斐あってか風息に抱き留められて深く口づけられても、無限は風息に心身を委ねてくれている。
    「無限、あんたを抱きたい」
     できるだけ誠実に響くように意識して無限にねだったが、どうしても底にある欲望は隠せなかったように思う。口づけに予兆を察していたらしい無限は、風息の願いに驚いた様子は見せなかった。
    「私の体はそう見栄えがいいものではないよ。武人として長く生きてきた。その歳月に相応の見目になっている」
    「それくらい分かってるつもりだ」
     ゆるりと目を伏せた無限への返事が不機嫌に響いてしまっても仕方がなかっただろう。無限がどれほどの力を持つ強者であるか、彼女と戦った風息が知らぬはずがない。彼女が体得したすべては連綿と続く鍛錬と実戦の積み重ねの上に成立しており、となれば然るべき傷も残されていて当然だ。
    7142

    recommended works

    sinohara0s

    DONEリハビリでお誕生日についての話をする无风書きました 妖精の誕生日への感覚や風息が生まれた時期の捏造があります

    サイト格納済みです。読みやすい方でお読みください。
    横書き:http://mpmp.rakusaba.jp/rinzi/text/lxh/mf/y_arasi.html
    縦書き:http://mpmp.rakusaba.jp/rinzi/text/lxh/mf/arasi.html
    「そういえば、小黒の誕生日ってどうやって決めたんだ?」
     風息が作ってくれた夕食も平らげて、あとは風呂に入ればいつでも今日を終わりにできる。風息が無限に尋ねたのは、そういう頃合いの時だった。
     妖精はそもそも明確な誕生日が分からないものらしい。生まれた瞬間を他者に目撃される事はまずないし、そんな事があってもその妖精が人間の暦を把握しているとも限らない。
     妖精は季節に寄り添う存在である一方で、暦を必要とするような生き方をしない者も多いのだ。たとえば小黒は一人で暮らしていたこともあって、誕生日という言葉すら無限から聞くまで知らなかった。
     交流をする上で便利な代物として使われる事はもちろんあるが、暦と紐づけて特定の日を記念する意識は希薄らしい。故に、年若く人間の文化に馴染んだ妖精でもない限り、誕生日なんてものを定めて祝う者は多くはない。小黒の誕生日には多様な面子が顔を出してくれたのは、物珍しさも手伝っていたのだろう。
    2030