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    たんごのあーる

    遅ればせながら、久方ぶりに沼入り。
    夏+五。幸せだったら、それでいい。

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    たんごのあーる

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    [夏五ワンライ]お題:差異。みんなちがって、みんないい。

    #腐術廻戦
    theArtOfTheRape
    #夏五
    GeGo
    #まだつきあってない
    wereNotDatingYet.
    #青い春
    blueSpring

    差異呪術師、と、ひと括りにされても、そもそも能力からして違っている。同じ箱の中に入れられているけれど、それはあくまでも便宜的なことであって、決して同じものは一つとして無い。能力だけではなく、外見や性格は、それぞれの環境によって異なるし、それぞれの価値観も異なる訳で、それは呪術師に限ったことではないのは、当然の事実である。
    だけれど、非術師から見れば、得体の知れないモノを得体の知れない奴らが、得体の知れない方法でどうにかしてるらしい、ぐらいの感覚なのかもしれない。喉元を過ぎれば、どうでもいいし、できれば無かったことにしたいくらいなのだろう。怪異がなくなれば、それでいい、それでおしまいなのだ。
    分かっている、理解しているつもりである。けれど、あからさまな奇異の眼差しは不快であり、虚しさも募り、余計な疲労を生む。
    ある任務が終わり、補助監督の車で現場から少し離れたところで、肺の中の空気を全て吐き出すような細く長いため息をついた。
    「どしたの?傑。オツカレじゃん。」
    隣りに座っているのは、最近はニコイチでカウントされることが多くなった、片割れの親友だった。二人で任務を任されることも増えてきて、二人でいる時間が増えてくると、五条悟、その人との違いも見えてくるようになっていた。
    彼は呪術界を代表する御三家の次期当主であり、生まれつきの外見の良さだけではなく、生まれ持ったその力は別格で、誰もが一目置く存在である。自分が並び立てるとは思ってもいないが、いずれ名実共に最強の呪術師になるであろう男から「二人で最強」と言われれば満更でもなく、少しくすぐったい気持ちになるのは否めなかった。しかし、呪術師としてのバックグラウンドや、能力の差は自分の目から見ても歴然たるもので、こうして任務が終わるたびに、何か足りない、何か違うと思う自分もいて、呪術師としては同じはずなのに違和感を覚えることにも少し疲れ始めていた。
    「『人間』として見れば同じ『人間』のはずなのに、なんでこんなに差があるのかな、と思って。」
    そんな傑を見て、珍しく少し考えてから悟が口を開く。
    「他のヤツは知らねーけどさ、同じじゃつまんねーじゃん。俺と傑はいろいろ全然違うけど、全然違うから面白いんじゃん。差とか、なんか分かんねぇけど、違うと何がダメなの?」
    と、キョトンとされれば、自分の考えてることが急に馬鹿らしくなって、また一つ傑はため息をついた。
    「いや、ダメって訳じゃないんだけど…。そうだね、やっぱり悟はスゴいね。」
    「ん?バカにしてんの?」
    「違うよ、褒めてるの。悟は物事を本質で見てるんだな、と思って。それが六眼なのかな。」
    「違うと思うけど、どっちでもいいや。傑は考え過ぎなんだよ。これでも喰らえっ。」
    と、持っていたキャラメルを口に放り込まれる。口の中で溶け出したそれは、少しほろ苦い。
    「うまい?」
    ご機嫌な顔で聞かれて、本当にこの人には敵わない、と思う。
    「…甘い。」
    なんだよー、と、口をとがらす隣の最強を見やり、肩の力が抜ける。呪術の意味とか意義とか大義とか、考えなくてはいけないことで、いずれは理解しなくてはいけないことだろうけど、今だけはもう考えなくてもいい。そう思わせてくれる親友が隣にいることが良い事だと思う。何が大事なのか、何を守るのかとか、もう少し自分本位でも良いのかもしれない。
    「まーた考え込んでる。とりあえず帰ったら何するー?桃鉄の続きしようぜ。」
    「明日の課題、終わってるのかい?悟。ゲームもいいけど、借りてきてた映画も明日までじゃなかったっけ。」
    全ては日常と地続きで、切り離して考えてることは出来ないけれど、この日常を守りたいと思っていた。
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