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    たんごのあーる

    遅ればせながら、久方ぶりに沼入り。
    夏+五。幸せだったら、それでいい。

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    たんごのあーる

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    [夏五ワンライ]お題:まばたき
    すぐるは嘘は上手くつきそうだけど、見抜くのはどうだろ。

    #呪術廻戦
    jujutsuKaisen
    #腐術廻戦
    theArtOfTheRape
    #夏五
    GeGo
    #ワンドロ

    まばたき嘘をついたことがない、なんて嘘をつくほど、自惚れてはいないし、馬鹿でもない。良い嘘や悪い嘘なんていうのは方便だし、嘘は嘘でしかないと知っている。
    嘘だという時点で、何かしら後ろ暗いことがあるのは自明だし、あとは赦されるかどうかだと思っている。
    生きていれば誰だって、保身のために、あるいは快楽のために、自身の利益のために、耳触りのいい嘘を並べ立てることはよくあることで、罪悪感の残るような嘘をつくことは稀である。
    息をするように嘘をつく、そんなことを言われて詰られたこともあるけれど、それは相手に望まれた言葉を適宜使用したからであって、あるいは、嘘を愛する女がいることもまた事実で、その投げた言葉や行為が嘘だと認識された時点で、それは嘘となる。認識されるのはちょっとした仕草の違いや、勘、らしいが、そもそも、こんなことをつらつらと考えてしまうのは、現状が思っていたよりも退屈なせいだった。
    「夏油さん、聞いてますか。大事な話をしてるんです。」
    目の前の人の話は増長で、話の内容はもちろん、その人自身にも、もはや何の魅力も感じることが出来ず我慢の限界だった。
    「ええ、もちろん。ですが、そろそろ時間ですので本日は以上で。それでは失礼しますね。」
    そう笑顔で言うと席を立ち、もう用のないその部屋を振り返ることなく足早に出て、ようやく帰路に着いた。


    「傑は頭で考え過ぎんだよ。別に悪いことじゃないけどさー、たまには、思ったように動けばいいじゃん。」
    「それが出来るなら苦労しないよ。こればっかりは性分だから、仕方ないかな。」
    今回の事の顛末を、隣に座る悟に報告がてら話をし、一息つく。彼がいる場所が、肩の力が抜ける場所であり帰る場所になってから、「自分」という基準の他に、「悟」という基準が増えた。思考が先に立つ自分は、時間を無駄にしているのではないかと時折不安を覚える。
    「でも、悟の言うとおり、私はいろいろ頭だけで考え過ぎるみたいだ。悟みたいになれればいいのに。」
    最後のほうは小さくつぶやいたのに、こともなげに拾い上げられる。
    「何言ってんの。傑は傑だからいいんじゃん。」
    あっけらかんと言う悟の言葉に確かに嘘はなく、普段は隠しているその美しい瞳を惜しげもなくこちらにさらして、ただただ真っ直ぐに見つめてくる。
    「俺は思ったことすぐに口に出すから、考えなしってよく言われるし、割と身体が先に動くタイプかもしれないけど、傑がいろいろ教えてくれたから、ちょっとは考えてから言葉にするようにしたし、傑がいるから、うまく動けてる。
    傑がいてくんなきゃ、俺は今、ここにいない。」
    「…私は私を信じられないけど、悟のことなら信じられそうだよ。」
    ストレートな彼の言葉が胸に刺さり、束の間息が止まる。ようやくそう言って微笑むと、悟は少し耳を赤く染めて、照れを誤魔化すように
    「ま、俺、サイキョーだから。俺サマが誰よりも信じてる傑のことなんだから、大丈夫だって。」
    と、大きな太鼓判をおしてくれた。
    まばたきの数で嘘が見抜けるというが、彼との間ではそんな手管も必要ないようだ。不安を汲み取ってくれる賢く優しい彼をもう手放せそうにない、と改めて感じることが幸せだと思う。
    信じられるものをまた一つ手に入れて、それを守るために何が出来るのか、傑はまた一つ考えることが増えたのだった。
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    PROGRESS萌芽のおまけ、その②
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    多分今日中に今まで書いた小話を纏めて支部に上げられるはず………
    夜が深まり、月がとっくに中天を過ぎた頃。
     傑は上層部のゴリ押しで入れられた任務から帰ってきた。
     疲れ切った体で自室に向かえば、そこには天使の顔が三つ。どうやらうまく仲良くなれたらしい。
     寄り添って、穏やかな寝顔を晒す三人は可愛い。例え自分のベッドを占領していても。

     少し軽くなった体でそっと浴室に移動しながら、夕方届いたメールを思い出す。

    【美々子と菜々子にクソジジイが接触した。】
    【怪我はない。けど、怖い思いはさせちまった。】
    【ごめん。】

     簡素な文面から滲む後悔を汲み取れぬ傑ではない。
     あの五条悟が、不器用ながらもきちんと双子の少女の“親”になろうと藻掻いている様を知っていれば尚更に。

     熱いシャワーを被りながら、腹の底からじわじわと湧き出てくる怒りを懸命に呑み下す。

     金と権力で肥え太るばかりの老害が、懸命に生きようとする幼子と、若者の努力を踏み躙ろうとした。
     それも自身の無二の親友、最強の半身が、人であろうと足掻いた結果をだ。

     どうにも人間味の薄かった悟が、自分以外の、それも圧倒的な弱者に対して興味を持ち、あまつさえ庇護しようと行動する成長を、傑はいつ 2537