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    ねねねのね

    キメツの二次創作小説を書いてます٩( ᐛ )و

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    ねねねのね

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    元々は錆義のツーライに投稿しようと書き始めたものです。
    お盆っぽい話を書こうとしました。暗いです。
    錆兎は火花のような男だった、というような話にしたかったのに、いまいち取り留めがなく申し訳なし……

    火花 振り下ろした刃が正確に頸椎の隙間をとらえ撥ね飛ばした瞬間、鬼の頭が勢い余って回転し、頸動脈から噴き出した鮮血が勢いよく辺りに振り撒かれた。
     血をかぶらないように後ろに下がりながら、ふと義勇はその様が何かに似ている、と眉をひそめた。
     赤く細く糸を引きながら飛び散っていく様は、まるで火花のよう。
     そして、火花といえば決まって同じ人物を思い出し、こめかみにずきりと鋭い痛みが走るのだった。

    ——思い出してはいけない。
    ——まだ、今は。

     軽く頭を振り、頭の中に浮かびかけた懐かしい影を払い落とす。
     ぼてりと足元で何かが転がる音がし、地面に目を向けると、何やら大声でわめきたてている生首がひとつ。
     先ほど頸を斬った。同志を五人、殺して喰った。その前には罪もない人々を三十年に渡り喰い散らかしてきた、そのなれの果て。
     鬼は未練がましく何事か叫び続けていたが、義勇はあえて耳を貸さなかった。その残骸の端から徐々に灰になっていく。
     このまま放っておいても灰になって消えるだけだ。だが往生際が悪くギャアギャアと何事かをわめきたてる醜悪な顔を見下ろしていると、義勇はそれが急にわずらわしくなった。
    「悪鬼が」
     一言呟き、片足を上げて踏み抜く。それで半分がつぶれた。
     鬼はなおも残った口で、人でなしだの最後くらいは往生させろだのとうるさくわめき続ける。口から先につぶすべきだった。義勇はもう一度片足を上げた。
     鬼の声が一層大きくなる。
     そして義勇の足が鬼の口を踏み潰す瞬間

    「ヒガンバナ」

     そう、口走った。
     何だと思ったときにはすでに足は鬼の顎元を踏み抜いていた。足元に灰が広がる。やがてそれらも風に攫われて消えていった。


    「おつかれさまでした」
     声をかけられ振り向くと、そこには影のように黒い装束の男たちがたたずんでいた。
    「あとはわれらにお任せを」
     隠だった。その声で義勇は灰になった鬼をぼんやりと見ていたことに気づいて顔を上げた。右手に下げた刀を一振りし、鞘に収める。実際には血振りは必要がなかった。なぜなら鬼の血も灰になって消えてしまうからだ。やつらは頸を斬ると一切合切の痕跡も残さず消滅する。まるで骸から何かを探られることを恐れるように。
    「頼む」
     短くそう言い残し、義勇は踵を返した。生存者がいないことは分かっていたので、ここで自分にできることはもうなにもないのだった。


     もう、じきに夜明けが来る。ここから一番近い藤の家紋の家に宿を乞おうと、義勇は自身の鴉を呼んだ。鴉はこのまままっすぐに麓を目指して進めばやがて街道に当たり、さらに進めば町がある、と告げた。急ぐこともない。義勇は心持ち速度を落として山を下ろうとして、ふと獣道のわきに咲く花を目に留めた。
     夜であるためか、ゆらりとこうべを下げ、下を向いて眠っているような百合に似た橙色の子供の手のような花。それらは木々の間のちょっとした広場になっているところに群生していた。月明かりに照らされて、いくつもの鋭い剃刀のような花弁がゆらりゆらりと揺れている。
     義勇はその花を知っていた。いや、忘れられなかったというべきか。
    「キツネノカミソリ……」
     気付いたら群生に向かって一歩を踏み出していた。その花は、かつて第二の故郷と呼んだかの山で見たことがあった。

     その時は、ひとりではなかった。



    「ああ、あったぞ。義勇、ここだ」
     先を歩いていた錆兎が足を止めて手招きをする。義勇は小走りで茂みを飛び越え錆兎の近くに駆け寄った。
     彼が指さす先を見やると、木々の切れ目の日向になっている箇所に、群生する橙色の花が揺れていた。
    「あの花の球根をとればいいんだな?」
    「ああ。そうだ」
     それは修行の合間のちょっとした遣いだった。二人は鱗滝にキツネノカミソリという花の球根を採取して来いと命じられ、狭霧山のなかでも比較的日当たりのいい北側にやってきたのだった。
     キツネノカミソリという花の名前は初めて聞いたと首をかしげる義勇に対して、錆兎はあらかじめ知っていたようで俺に任せろと胸を叩くので、義勇はただ錆兎についていけばよかった。道中もあれやこれやと目についた野草の知識を教えてくれる。そんなにいっぺんに言われても覚えられないと返すと、マアマアそのうち役に立つから、と一向に気に留める様子もない。義勇はそのうちあきらめて、錆兎の講釈を黙って聞いていた。それよりもなぜそのように野草に詳しいのかを聞いてみたかったが、楽しそうにしゃべる錆兎に口をはさむ気になれなかった。
     最近はいつもそうだ。何かと錆兎には押し切られる。一度頭の中で話すことを整理してから口にしたい義勇は、いつも錆兎の勢いに口をはさむタイミングを見失ってしまう。
     なので、目的の花が見つかって正直うれしかった。これでゆっくり錆兎と話すことができると思った。
    「取り尽くさずに、間隔を空けて掘ろう」
     早速花のそばにしゃがみ込み、木の棒の先でグリグリと地面を掘り返し始めた錆兎の横について、義勇も同じように棒を手に取った。
    「これは何に使うのだろうな」
    「漢方の材料になるらしいぞ。先生が懇意にしている漢方医から依頼があったとか」
     掘り返している地面から目を離さずに、錆兎は義勇の問いに応える。「ほら、とれたぞ」そう言って一房を掲げてみせる。細い緑の茎の下に、小さな鱗茎があった。ちょっとラッキョウに似ているなと義勇は思う。
    「おれも取ろう」
     そして二人はしばらく無言で土を掘り起こした。しばらくして「なあ、義勇」と錆兎が声をかけて来たので義勇は顔を上げた。
    「なんだ」
    「知っているか。この鱗茎は食えるんだぜ」
    「そうなのか」
    「ああ。ヒガンバナに近い種なんだ、これは」
    「ヒガンバナの鱗茎も食えるのか」
    「ああ」
     そこで錆兎は一旦口を閉じた。錆兎が言うことなら間違いはないだろうと、義勇は掘り返した鱗茎を眺めた。そしておもむろに着物の裾で鱗茎の土をきれいに拭う。試しにひとつ、食べてみようと思ったのだった。口を開け、拭った鱗茎を放りこもうとしたところで、ガッと手首を掴まれた。
    「何やってんだお前」
     口をあんぐりと開けたままで、目線だけを錆兎に向けると、錆兎は義勇の手首を掴み、眉を吊り上げて義勇を睨んでいた。義勇は口をパクパクさせて、それから口を閉じた。
    「単純にも程がある」
     錆兎は怒っていた。錆兎が食べられると言ったではないかと義勇はいぶかしがった。怒られるいわれなどないと言うものだ。
     さすがに抗議をしようとした時、素早く錆兎が「これには毒がある」と口にした。
    「毒」
     驚いて鸚鵡返しをしてしまうと、錆兎はぐうっと眉間にしわを寄せた。
    「そうだ」
    「なぜ……」
    「お前があまりに素直だから、意地悪を言いたくなってしまった。すまん」
     義勇は意外な気持ちになって錆兎を見返した。これまでそんな事を言われたことがなかったからだ。義勇にとって錆兎が言うことは絶対の正義であった。疑ったことなど一度もない。
    「そんな顔をするな。悪かったって」
    「でも……」
     言い淀む義勇に、錆兎は微妙に笑い、義勇の腕を掴んだ手を離した。
    「毒があるのは本当だ。腹を下すぞ。なんでもやたらと口に入れるもんじゃない」
     まったく、お前は食いしん坊だなあ、と最後はため息交じりにあきれた声を上げる。義勇はムウッと頬を膨らませた。その様子を見て、錆兎はやれやれと肩をすくめた。
    「救荒作物って知っているか?」
     いや、と義勇がかぶりを振ると、錆兎は軽く息を吐き、そうだよな、お前お坊ちゃんだもんな、と小さくつぶやいた。その発言に多少カチンとくるものがないでもなかったが、喧嘩を売っているわけではなさそうだと義勇は察したので黙っていた。
    「救荒作物というのはどうしても食べるものがない時に、代替食料として利用するものだ。ヒガンバナも、コレも。毒は水にさらすことで抜くことができる」
    「災害時などにか」
    「そうだ。ほかにも飢饉の原因なんていくらでもあるさ。まあ、そういう時はあぜ道に植えているヒガンバナを掘り起こす」
    「なぜお前はそんな事を知ってるんだ?」
     義勇の問いに、錆兎はさも当然とも言いたげに薄く笑った。
    「食ったことがあるからだよ」
     なぜ、と言いかけて義勇は言葉を飲み込んだ。理由なんて先ほど錆兎が言った通りだ。毎年豊作で食うものに困らない。そうであれば問題はないが、実際はそういうわけにもいかない。義勇の家は農業をやっておらず、食糧は買うものとの認識だった。そのため肌感覚として作物の出来栄えなど気にしないほうだったのだが、錆兎がどうだったかなんて聞いたことはなかった。けれども、実際困っていたこともあったのではないか、と義勇は思う。現に山の植物にはとても詳しいではないか。
    「まあ食わないに越したことはないさ。そんなにうまくない」
     そう言って錆兎は肩をすくめた。なぜ食べなければいけない状況になったのか、それは教えてはもらえなかった。



     義勇は目の前にひっそりと咲いているキツネノカミソリを一本、無造作に引き抜いた。地面が湿っていたので、それは難なくスポリと抜けた。目の前にラッキョウほどの鱗茎をぶらさげ、ぼんやりと見つめる。
    ——そういえば。
    ——いくつ喰えば死ねるのか、それは聞いていなかったな。
     そこまで考え、自嘲気味に笑う。
     腹を下すぞ、と真剣な面持ちで釘を刺してきた宍色の男の姿が目に浮かぶ。
     きっと、腹下しなどと情けない理由で死ぬなど、許してはもらえないだろう。
     そう、思った。彼ならばそう言うだろうと思う。
     そもそも、花の色がよくない。朱色と橙色の中間あたりの鮮やかな色彩。それは親友の髪よりも濃い色彩ではあったが、彼の背後から沸き立つ闘志と、同じ色をしていた。
     それは彼の怒りに合わせて膨らみ、弾けて、広がる。まるで紅蓮華のような。火花のような。鮮烈なまぶしい光だ。
     そしてその姿を今でもありありと脳裏に浮かべることができる自分に嫌気がさして、義勇は手にした花から手を離した。そして立ち上がり、腰の刀に手をかけた。鯉口を切ると同時に一閃。周囲に生えていた自分の背丈より大きな植物が、バサリと中途で切断されて地面に落ちた。ひらひらと黄色い花弁が辺りに舞い散る。それはみっしりと小さな野菊のような花が密集している植物だった。刀を鞘に納め一息つくと、気持ちがずいぶんと落ち着いた。八つ当たりをしてしまったな、と義勇は軽く反省し、そして何の気なしに先ほど切断した野花をひと房、手に取った。
    「モウイイノカ?」
     そうして踵を返し、再び歩き出すと、相棒がばさりと羽根を打ち震わせ肩に舞い降りて止まった。
    「ああ。待たせてすまない」
     相棒の重みを肩に感じなぜか安心する。はじめは動物だという理由で全く馴染めていなかったのに、長い時間を共にしているとなぜか愛着が湧いてくる。全く表情を読むことなんてできない相手なのに、とても不思議なことだと思う。
    「走るぞ」
     一声かけると、カアと応えがあり、肩から重みが消えた。見上げるとすでに上空に舞い上がる黒い翼。義勇も足に呼吸を集中した。



     夜が明けたころから、靄が出てきた。藤の紋が描かれた門扉の前で、義勇は立ち止った。門の前では、若い女が一人、表をホウキで掃いている。
    「鬼狩り様ですか」
     義勇の気配に気づき、女はきびきびと顔を上げた。朝から目に生気がみなぎっている。その様がまぶしくて目を細めた。
    「はい。今からよろしいでしょうか」
     ボソボソとそう告げると、女はハイ!と元気よく返事をし、こちらからお入りください、と門の横の勝手口にササっと駆け寄り、戸を開いた。そしてふと義勇の手元に目を遣り、「お供えですか?」と首を傾げた。
    「お供え?」
     女の視線が、義勇が山からずっと持ってきた野花に向けられていることに気づき、義勇も同じように首を傾げた。そんなつもりで持ってきたわけではなかった。そもそも、なぜずっと手にしていたのかもよくわからなかった。
    「ええ。お盆ですから」
     女は傾げた首を元に戻し、にこりと微笑む。
    「どなたかの墓前にお供えするために持ってこられたのではないですか。そのままでは枯れてしまいますので、水桶に挿しておきますよ」
     そうして、手をスッと差し出した。花を渡すのを待っているのだと気づき、義勇は慌てて彼女に下げたままの花の茎を手渡した。
    「お預かりします」
     女は丁寧に受け取り、戸を手で押さえながら「ささ」と義勇を促す。
    「あの」
    「はい」
    「それは、なんという植物ですか」
     女の気安い話ぶりにつられたのか、するりと言葉が出てきて、義勇自身も驚いた。女は微笑みを崩さず、この花はですねえ、と逆さにしていた花をくるりと上向けた。房のようにたくさんの黄色い花と、つぼみが揺れる。
    「ハンゴンソウです。ハンゴンは『反魂』ですね。死者の魂を呼び戻す呪術のことです」
    「反魂……」
    「転じて、お盆に咲き、魂を天に帰す草といわれていますよ」
     そして微笑んだまま口をつぐみ、義勇を門の中に促した。これ以上は立ち入った話になると判断したらしい。隊士が多く出入りする家で働く者らしく、賢明な判断だった。
     それで墓前、と義勇は得心がいくと同時に、無意識にそのような花を持ってきた己に驚いていた。山中で見たキツネノカミソリのせいだろうか。あの花を見たせいで火花の男を思い出してしまった。それでキツネノカミソリではなく、『反魂』の名の付くこの植物を持ち帰ってしまった。
     俺は無意識に彼の魂を呼び戻したいと

    ——思っているな。

     息を小さく吐く。そんなことはできやしないことは分かっていた。
    「あの」
     義勇がもう一度声をかけると、女はまだ何かあるのかと言いたげに首を傾げた。
    「これは、墓前に供えるつもりで持ってきたわけではないんです……。その、申し訳ないのですが、始末してもらえませんか」
     義勇の申し出に、女はえ、と目をみはった。
    「なんとなく、持ってきてしまって」
     申しなさげにそう告げると、女はちょっと寂しそうな顔をして、わかりました、と頷いた。


     部屋に通されるとすぐに風呂の支度ができたと呼び出され、戻ってくると床の間の花瓶に先ほどのハンゴンソウが活けられていた。先ほどの女が気を利かせてくれたようだった。
     食事を済ませ、横目で花を見ながら布団を敷き、ふと義勇は障子を開けた。北側のこの部屋は日が差さず薄暗い。そのうえ、まだ朝靄が消えておらず、窓の外は何もかもが薄らぼんやりとけぶって見えた。人影など、ありはしない。うっすら期待をしてしまった自分に溜息をつき、義勇は障子を閉め、早々に布団に潜り込んだ。昼には目覚めなければいけない。次の任務がすぐにくるだろう。
     存外に匂いがきつい花だ。そう思いながら義勇は目を閉じた。


     金色の花が咲き乱れる野原を、どこまでも走っていた。同じく金色の花を手に、振り回しながら走る。義勇は笑っていた。横を走る相棒も同じように、大口を開けて笑っていた。何がそんなにおかしいのか、二人ともわからないけれども、目に映る世界そのものが愉快でたまらなかった。これから先に続く世界が、血で血を洗うような生臭い世界であることは知っていたが、それでも相棒が居れば、どこまでも笑って進んでいける気がした。
     だが、ふいに何かに足を取られ、義勇はその場に転んでしまった。大きく体が跳ねて、地面にたたきつけられる。相棒は気付かず、そのまま走り去っていく。錆兎、待って、錆兎。大声で叫んで静止をしたけれども、その背中はどんどんと遠ざかっていき、やがて点になって消えた。

    ——暗転。

     顔を上げると、藤が咲き乱れる山の中だった。目の前に、狐面をかぶった相棒が無言で佇んでいた。義勇は慌てて立ち上がった。
    ——錆兎。
     声を掛けるも、応答はない。
     一歩近づくと、彼は一歩後ろに引いた。義勇が近づくと、また一歩。そうやって二人の距離は永遠に縮まらないのだった。しびれを切らして義勇が走り出そうと足に力を込めると、錆兎は右手をすうっと義勇に向かって差し出した。
     その手には、真っ赤なヒガンバナが一本。火花のように、反り返り弾けるように、花弁がゆらりと揺れる。
    「ヒガンバナ」
     低い声で錆兎はそう告げた。すると、スルスルとヒガンバナの色が変わっていく。
     紅蓮から、鮮やかな青へ。
     世界が反転するように、ヒガンバナは色を変える。
    ——青いヒガンバナ
     そんなものは見たことがなかったし、青ければ何だというのだ。
     義勇はそう言いたかったが、錆兎はそれ以来何も声を発することがなく、ただ黙って青いヒガンバナを義勇に向かって差し出していた。
     まるで、それが世界の秘密を解く鍵だといわんばかりに。


     目を開けると、頬を冷たいものが伝っていることが分かった。義勇は慌てて寝間着の袖で顔をぬぐった。障子からうっすらと光が漏れている。どのくらい眠っていたのだろうか。
     義勇は手をついて起き上がった。何か夢を見ていたような気がするが、目を開けると同時に滲んで消えて行ってしまった。
     泣いていたということは、おそらく嫌なものをみたのだろう。彼か、姉に関するものか。
     いずれにせよ、夢を覚えないという体質はありがたかった。いちいち思い出しては悲嘆に暮れているようでは前には進めない。鬼に対する憎悪は、無意識下に叩き込んでおけばよい。表に出すようでは、感情に振り回されて判断を誤るというものだ。
     バサバサと、障子の向こうで羽音が響いた。おそらく伝令の鴉が来たのだろう。新しい指令が、下されるのだろう。今日もまた、夜を駆けることになる。なんでもいい。考える時間なんて必要はない。俺は俺の(彼が信じた)正義を行使するだけだ。


     そうして義勇は、開きかけた記憶にそっと蓋をした。
     また夜が来て、鬼を狩る。これからも生きていくために——。
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