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    yu_2710_

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    五七版GW企画
    テーマ『寝坊助』
    寝ぼけて思わずな七海と凄いものを朝から見せられた五条の話。
    https://twitter.com/yu_2710_/status/1388067989291888645?s=19
    (これをちゃんと書いたやつ)

    昔、高専内を我が物顔で歩く一匹の黒猫が居た。みんなそれを『ルドルフ』と呼んで、それなりに可愛がっていた気がする。最初、なんでルドルフなのかわからず、しかも黒猫って不吉なんでしょと親友に問うと、そういう絵本があってきっとそこから取ったんだろうと教えてもらった。呪術を学ぶ学校で洋名とは。何ともしゃれた名前を付けられたもんだなと思ったが、見かけたときには名を呼んでやった。きっと、傑と硝子、あと夜蛾セン以外は大変奇妙なものを見る目で自分を見ていたんだろうなと、そう思う。
    そのうち、初めての後輩が出来て、そいつらにも猫のことを教えてやった。同じような黒い髪の後輩は、その人懐っこさを人以外にも発揮してルドルフとずいぶん仲良くなったようだが、もう一人の金髪の後輩は猫自体が苦手なのかあまり近寄ることもしなかった。
    「何、猫怖いとか?」
    「は?違いますけど」
    「いやお前さ、俺に一回喧嘩売らないとおしゃべりできねぇの?」
    「喧嘩腰で人を馬鹿にすることが当たり前みたいな人間と普通に話をしているだけでも褒められるべきでは?」
    あと、猫は怖くありません。……苦手なだけです。
    小さく続いた声に、それ同じじゃね?と余計なことを言って叩かれたっけ。
    その後は確か、食堂のおばちゃんに煮干しか鰹節か何かを貰って最終的には触れるようにしてやった気がする。触れるようになったじゃんと褒めてやればそれなりに喜んでいる様子で、猫のところに行くぞと言えば付いてくる七海は、それこそなかなか懐かなかった猫が気を許してくれたようで結構嬉しかったのを覚えている。
    小さかったルドルフは卒業するころには結構でかくなっていて、そう、こうやって、ざらっとというか、なんか、なんか?

    なんか左手の人差し指が生暖かいものに包まれている気がして五条は目を覚ました。先程まで見ていた夢はルドルフに手を舐められていて、まさかそれが現実に?と寝ぼけた頭で思うも、昨日は七海の家に泊まっているわけで、もちろん七海は猫を飼っていないわけで。なら考えられることは一つだよなぁと五条が顔を横に向ければ、いつもは上げられている前髪がさらりと額に落ちて、あどけない寝顔を見せる七海の姿があった。
    『い、ぃ〜やぁまじかぁ……』
    普段、起き出すのは七海の方が早い。次の日が仕事だろうが休みだろうが五条がベッドから身を起こすと、シャツを羽織った姿でカーテンの向こう側、一人煙草を燻らせているのが常だった。もちろん朝起きて一番に見るその姿も好きなのだが、どうせなら朝一番に自分の傍で安心しきっている姿を見たいというのは恋人として当たり前の願望ではないだろうか。気を失った姿もまぁクるものはあるのだが、あどけない寝顔はやはり朝に限るだろう。だから、寝顔を見れただけでもレアなのだ。それなのに、七海は逃げられないようにと五条の左腕をがっつりとホールドしたままぱくりと咥えるようにして人差し指を口に含んでいたのだ。
    『これ、は、またすっごい物を見せられてる気がする……』
    後々怒られるだろうがこれは記念に残さねばと、五条は腕をそのままに(まぁがっちり固定されていてビクともしなかったが)極力起こさないように体を動かしてスマホを取った。そもそも時間は何時なのかと電源を入れれば、すでに9時を過ぎていた。基本眠りが浅い五条は、起き上がるのが七海より遅いだけで、七海が起きれば目は覚ます。それなのに、今日は全く起きなかったのでそのスマホが示す時間に驚いていた。
    「ぁ…あ、…ぅんん」
    意識がスマホに向いてしまい、どうやら未だ口の中にあった人差し指が、七海の厚ぼったい舌を擽ってしまったらしい。すわ起きたかとスマホから目を離し、七海を見るが起きた様子はない。これ幸いとカメラ機能を立ち上げた五条はそのまま1分程撮影を続けたあと、目を覚ました七海がこの状況を見てどんな反応をするのかが気になった。撮影はしたのだ。ならもうこの甘えん坊を起こしてしまうことになっても問題はないだろう。
    「ん、ふっ…んんむ、ぅ、んっ?!」
    温かくうねる口の中で人差し指を動かしたり、上顎をなぞったりと遊んでいるとピクリと七海の体が小さく跳ねた。一気に動かしたことでさすがに目を覚ましたのだろう。髪と同じく金色の睫毛が震え、ぼんやりと焦点の合わない瞳がうろうろと揺れたと思うと、五条を捉えてふにゃりと弧を描いた。
    「おぉぉぉお?!んまえ、そん!なの……!」
    あまりの状況に叫んだ五条の声を聞き、ようやく意識が覚醒した七海は、自分が何かを咥えていることにようやく気が付いた。
    「ん?!ゲホッ、ゴホッ……えっ、あ、……?」
    「あーおはよう七海ぃ、よく眠れた?こんな寝るなんて珍しくない?もう、お寝坊さんなんだからぁ。あと正直腕痺れてきたから一回離して貰ってもいい?いやー、可愛いお前の姿見れたのは凄い役得だったからそんな気にしないでね!……指ふやけてるけど」
    「……殺してください」
    「絶対ヤダ!」
    「忘れてください!」
    「絶対無理でしょ!あ、僕の指そんな美味しかった?」
    「……っ〜〜〜!!」
    五条の腕はほぼ機能しないほどに痺れていたが、その後も逃げようと暴れる七海をしっかりと抱き締めたまま離さなかった。
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