Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    choko_bonbon

    @choko_bonbon

    メモ代わりの、あらすじズラズラ。
    練習絵。などなど。

    ☆quiet follow Yell with Emoji 🌷 💜 🌼 💚
    POIPOI 41

    choko_bonbon

    ☆quiet follow

    #五七
    Gonana

    高専5×人魚7【あらすじ】本家の敷地を歩いていると、離れのひとつから聞き慣れない水音がした。
    雑多なものの詰まった、いわゆる倉庫だったはずのそこから聞こえるのには、水音など不可解である。
    いぶかしんで中を覗くも、やはりガラクタとしか思えぬ物がひしめき合っているだけ。その奥から、微かな水音が続いている。
    音源を求め辿り着いた最奥には、区切りとして明らかにおかしい、襖が設えてあった。ただの倉庫としていたはずの倉の奥に、襖とはこれいかに。
    そっと開けると、中には大きな水槽が鎮座していた。
    たっぷりとした水中には、ひとりの男が全身を沈めて浮かんでいる。
    死んで居るのか。
    人形か。
    誇る慧眼で見ずとも、どうやら後者だと分かった。
    なにせ男の下半身は、腰からゆるゆると鱗に覆われた魚になっていたから。これは、人魚を模した人形だ。
    分かって近づき。そういえば、襖を開ける瞬間まで水音がしていたのを、はて、と五条は訝しむ。
    中身が人形なら、水音を立てていた人間が誰かほかにいるはずだ。調査のため、水槽の周りをぐるりと歩いて回ることにした。
    その間、水槽の中身に五条の目は釘付けだった。
    水中に揺蕩うのは金の髪。日本にも人魚伝説はあるが、これは異国の生き物として作られたらしい。そのうえ、上半身は鍛え抜かれた男の姿。色や格好が物珍しく、じいっと魅入っていれば。

    ぱちり。

    「は?」
    髪色と同じ、金の睫毛を持つ瞼が揺らぎ。瞳が開かれる。
    きょろ…と目と鼻先を右に振ってこちらを向いたのは、足音に反応してのことらしい。
    白い鱗と対照的に、瞳は色鮮やか。翠と蒼を混ぜ込んだ、異国の色。
    こぽぽ、こぽ。ごぽ……。
    『ゴジョウサン』
    名前を囁かれた気がして驚く。この人形は喋るのか。
    混乱する五条の目の前で、透き通る尾びれがまったり揺らぎ。人形だったはずの人魚が生きた動きで水面より顔をだす。
    「おまえ……は?なに?生き、てんの?」
    「キュアア、キュ、キュォ」
    「マジか。何言ってんのかさっぱりだけど、さすが本家。やべーの飼ってんな」
    「キュッ!」
    強い語気と共に、器用な尾びれが、じゃぱっと水をかけてくる。どうやら五条は彼の逆鱗に触れたらしい。
    濡れた服を払い、サングラスを省いてよっくと人魚を見つめた。目は口程に物を言う。
    「飼われてる、っつったのを怒ってんの?」
    分かったなら良し。
    ツンとした態度に、いつもなら苛ついているところを。今日この時ばかりは、なんだよ怒るなよ、と思うだけ。ごめん。と謝罪が口をつく。
    「そんで、オマエなんなの?なんでこんなところにいんの?外でたくねぇの?つか、本物の人魚?それとも、なんかの術式?俺の六眼でも見極めきれねぇって、なに?」
    矢継ぎ早の質問に、人魚は複雑な表情を浮かべる。
    懐かしいものを見る目。
    困惑した喉。
    今にも泣きそうな眉間の皺。
    色々と言いたいことがあるのだろう、口がはくり、と開閉し。
    「キュー……」
    か細い声をあげたかと思うと、五条の手が取られた。心地よい、しっとり濡れた頬が寄せられた。白い肌が吸いついてくる。
    「なんでそんな泣きそうなんだよ。最強の俺が見つけたんだ。こっから出してやるよ」
    海に返せば気は済むだろうか。
    彼の求めている願いは、それとは違う気がして胸がざわつく。
    今あったばかりで、彼の何をも知らなくて他に願いがあると思う自分は、どうかしている。
    なぜ、頼まれてもいないのに、この人魚を助けてやりたいのか。自分で自分の言動に驚くばかりだ。
    この人魚は、俺を待っていた。
    そう感じるのはなぜだろう。
    浮いて来た下半身。艶めく鱗を撫でて、彼が魚と人の間であることを認め。
    不意に触れた五条の手を、熱がる彼にまた素直な謝罪がこぼれる。金魚と一緒。人の体温は彼ら人魚にとって熱すぎるのだろう。
    「頭、触っていい?」
    「キュ……」
    人の部分である上半身なら、人肌も平気か。
    金の髪が、濡れて額を隠しているのが気になっていた。ぐいと近寄る額から、手のひらで後ろへ撫でつけたところ。なにか電流じみた衝撃が走って頭が痛くなる。
    「ほんと……オマエなんなんだよ」
    頭を掻きむしっていると、筋肉質な腕に迎えられ、強く抱き締められてしまう。濡れる、と言いかけた文句が喉奥につまる。それだけ締め付けられているのだ。
    「キュゥ、ァオ」
    『ずっと、待っていました』
    低い男の声が頭に甦る。いや、甦る、という言い方はおかしい。聞いたことのない声なのだから。しかし人魚の彼が人の言葉でしゃべるなら、きっとこの声だろうと頭から湧いてきた音だった。
    「ずっと、待ってた……俺を?」
    なぜわかった。
    と言わんばかりの顔に、してやったり。
    金の髪を振って、青緑の瞳を潤ませ。人魚は今にも泣き出しそうな顔で、五条の肩口に鼻筋を埋めるのだった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭💘😭💘👏👏👏👏👍👍👏❤🙏😭😭😭🙏🙏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    yu_kalino

    DONE2021-02-27 五七版ドロライ お題「喧嘩」パンッ、と小気味の良い音が余韻を残すような静寂。
     それとは裏腹に張り詰めた緊張感が二人の間にあった。

     七海がよく口にする「引っ叩きますよ」はあくまでポーズのつもりであった。
     五条にとって威嚇にも牽制にもならないそれは、謂わば気に食わない、不愉快であると言ったような感情を七海が彼に対して伝える手段でもある。
     恋人相手に手を上げるような野蛮な行為をするつもりはない。しかし、他人の機敏を無視しがちな男相手には、そのくらいの言葉の強さで丁度よいと考えていた。誰よりも強い男は、七海の知る誰よりも面倒くさい性格をしていた。
     
     実際に今の今まで五条は七海に手をあげられたことなど無かった。仕事で少し無理なお願い(無論、七海にならできるという信頼があってのことだ)をしても、ベッドで多少の無茶をしようとも、舌打ちや少し棘のある言葉で五条は許されてきた。
     七海が繰り返すその言葉は、つい加減が効かない己に対するブレーキであるとは理解している。それなのに、ついいつも許してくれるからと調子に乗ってしまったのだ。
    「──ゴメ、」
    「殴ってすみません。頭を冷やしてきます」
     言葉を遮って五条の下から抜 1385

    blackberryO7I5

    MOURNING一ヶ月くらい前から書きかけて難航している五七。

    体調不良ネタ大好きなんだけどわたしの中の7ミンほんっと甘えてくれなくてぜんぜん進まないの……このままお蔵入りになってしまいそうなのでここに墓を建てておく。
    スマートフォンの向こうから耳に届いた声に、五条悟は眉を顰めた。

     デジタル化されていても耳に馴染む、一聴すると普段通りの抑揚の薄い声。だが他でもない五条がその変調に気がつかないわけがない。

    「ねえ、七海」

     電話の向こうで話す相手の言葉を遮って名を呼ぶ。思っていた以上に強い語気になってしまったことに、五条は自分でもやや驚きつつ言葉を続けた。

    「いまどこ」

     それまでの会話を完全に一蹴した質問に、電話の相手――七海建人が当惑する空気が伝わってくる。常ならば話を聴いていないことに対してひと言二言の諫言をするはずの七海が何も言わないのは、おそらく五条の声に孕まれる不穏な気配のせいだろう。
     普段の言動から自由奔放、傍若無人に振舞っている印象の強い五条だが、その実は無闇に負の感情を撒き散らすことはない。とりわけ七海と接するときの五条は、他の誰と対するよりも自然体且つ温和であることが多かった。

    「……帰るところですが」

     なにか不興を買うことをした自覚があるならまだしも、理由に心当たりのない七海は五条の不機嫌――とも違うかもしれないが――に、わずかながら動揺する。
     注意深く言葉を 2969

    blackberryO7I5

    DONEキスの日の五七
    五条サイド
    「……七海?」

     授業を終え、苦手な事務作業も終えて、ふっと気を緩めたと同時に愛しい呪力を感知して五条は伸びをしかけた身体をぴたりと止めた。

     基本的に五条の持っている能力値は多方面に亘って非常に高い。だから書類仕事が溜まりに溜まっていたのは、単に面倒という理由だけで放置していた結果だった。頼むから提出してくれと泣きつかれて、ようやく着手したのだ。その作業に思いのほか集中していたらしかった。おそらく少し前から訪れていただろう恋人の気配に気づかなかったとは。帰ってしまう前でよかった、と五条は勢いよく椅子から立ちあがった。

     気配は昇降口に向かっている。彼ももう帰るところなのだろう。その前に捕まえて、食事にでも誘いたい。あわよくばそのままお持ち帰りを……などと考えながら五条は恋人──七海の呪力を軽い足取りで追いかける。きょう七海が高専に来るとは聞いていなかった。面倒なことを片づけた自分へのご褒美のようで、五条の心は自然と弾む。

    「?」

     昇降口を挟んで対極の棟からこちらへ向かっていた七海の気配が、とつぜん進行方向を変えた。もうすぐそこの角を曲がれば逢える、と相好を崩していた五条は 4195