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    hummingbird_aa

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    赤安どっちも俳優のパロです。

    俳優パロ赤安安室透の朝は早い。まだ日も明けやらぬ午前5時、愛犬が目覚める前にベッドから抜け出した彼は腹筋と腕立てをまず50回、その後軽くシャワーを浴びて朝食作りに取り掛かる。バナナにヨーグルト、それにココア風味のプロテイン。一日のスケジュールを確認し、時間があれば本格的なトレーニングを追加、もしくは次回作の台本を読み込む。毎朝のルーティンは?とのインタビューにいつも答える、品行方正な一日の始まりだ。
    ティーン誌でモデルとしてデビューし、CMなどで活動したのち活躍の場を舞台に移した安室は今年29才。天然もののブルーアイズに豊かに実った稲穂を思わせる深い金の髪、そして日焼けなどでは作り出せないえもいわれぬ褐色の肌。そのミステリアスな容姿と対照的に爽やかな存在感で売れっ子の座を不動のものにしていたが、国内のみならず海外にまでその名が知れ渡るようになったのは一本の映画がきっかけだった。
    世界トップシェアを誇る配信サイトが巨額の予算をかけて作ったオリジナルシリーズ。荒廃した近未来を舞台にしたSFサスペンスにキーパーソンとして出演するとすぐさま「toru amuro」がトレンド1位になった。事務所の公式ホームページはサーバーダウン、スタッフがお知らせを載せるだけだったSNSアカウントも一晩で五千万人フォロワーが増えたのだ。当の本人としてはこのフィーバーを喜ぶというより、まだ実感がわかないという方が正しい。その作品を撮影したのは一年も前のことだし、何よりこの一年、安室にとっては生まれて初めての──そして天地がひっくり返るくらいの、信じられない出来事が起こっていたからだ。
    ものすごく簡単に言うと、恋人ができた。
    何だそんなことかと普通の人なら思うだろう。しかし学生の頃は勉学とスポーツに、仕事を始めてからはひたすらその道を邁進してきた真面目すぎる彼にとって誰かと正式にお付き合いするということ自体が初めてであった。
    いや、それよりも大事件なのはその相手である。安室のプライベート用のスマホはさっきからひっきりなしにメッセージを受信していた。
    『目覚めた時に君が隣に居ないのが寂しい』
    『あと20時間で撮影が終わる。すぐに飛行機に飛び乗るよ、君に会うのが待ち切れない』
    『ハニー、そちらは朝の5時か。早起きの君はもうシャワーを浴びた頃だろうか。君のセクシーな濡れ髪にキスしたいよ』
    今時ロマンス映画でも見ないような甘ったるいセリフがぞろぞろ続く。
    「は、恥ずかしすぎる……」
    スマホを覗き込んだままプルプル震える飼い主に、愛犬が心配げにアンッとひと声鳴いた。
    送り主はshuichi akai──世界で一番稼ぐと言われているカリスマ俳優だ。
    出演した映画はそれほど多くない、しかしそのどれもが天文学的大ヒットを記録し昨今はプロデューサー業にも手を広げている32才。安室が出演した作品もその彼が主演とプロデュースをしたものだった。
    例の作品のオーディションを受けたのは、事務所の勧めもあるが安室自身が赤井秀一に興味を持っていたからだ。
    自分と同じく日本をルーツに持ちながら容姿も個性も彼とは全く正反対だった。利き手、髪や目の色、声の質に体格。白と黒、ゴールドとシルバー。この男と『組んだ』ら、きっと面白いことになるんじゃないか。安室にはそんなよくわからない確信があった。
    「だからといって、こんな仲にまでなるとはなあ…」
    そうしてオーディションで顔を合わすなり赤井秀一は安室を質問攻めにしたのだ。今までの活動歴から好きな食べ物や色、プライベートの何ら関係のないことまで。その剣幕に自分から飛び込んだとはいえ安室は少し引いたし、同席していたエージェント達も「シュウは普段ひとこと喋ればいい方なんだよ」と眼を白黒させていた。
    しかしオーディションの結果は落選。肩を落とす安室に伝えられたのは最初に受けた役ではなく、別の役でオファーがあったとの驚きの展開だった。
    赤井は勿論、脚本家も安室を見た瞬間にインスピレーションを感じシナリオを書き替えたのだ。すぐさま撮影に呼び寄せられた安室がことの急展開についていけずにいると、現場で迎えた赤井は「当然の結果だ、君が世界に知られていないのは大きな損失であり、罪だからな」と顔色ひとつ変えずに言い放ったのだ。
    その不遜な態度に安室はぽかんとしたが、赤井秀一はそういう天性の嗅覚というか動物的な感性を持った男だった。綿密に役を作り込む自分とは違い、いかにも自然にその人間を生きるのだ。そういうアプローチも安室とは正反対だったが、赤井と組んだら面白くなる、そんな直感はぴたりと的中した。二人が画角に収まるとまるであつらえたかのようにしっくりと馴染み、それでいて不思議な緊張感を生むのだ。安室について「無名の新人を抜擢するなんて」と難色を示していたスポンサーも、撮影のスチール写真を一枚見ただけで手のひらを返した。
    「君がドアを開けて入ってきた瞬間わかったんだよ。君は俺のミューズ、探し求めていた魂の片割れだと」
    ずっと憧れて──そう、何だかんだ理性的な表現をしたが安室は赤井秀一という俳優に憧れていたのである!──そんな男にエメラルドのような瞳で見つめられてそう囁かれ、落ちずにいられるわけがない。何しろ撮影中はずっと一緒にいるのである、外界と遮断された状況下で世界一ホットだと言われる男に口説かれて冷静でいられるだろうか?紆余曲折はあったものの、そうして安室は赤井と恋人同士という関係になったのだ。
    東洋と西洋が入り混じった奇跡のルックスと評されるように、その色男ぶりで数々の美女と浮名を流してきた赤井秀一が何故僕と、と安室は不思議に思ったが赤井は「あれはメディアが面白おかしく書き立てただけだ。俺はいたって地味な生活を送っているのに」と肩をすくめた。その言葉通り赤井は金や栄光になどあまり興味が無く、自分が直感的に面白いと思ったことだけに力を注いでいるようだった。それでもその結果が全て成功しているのだから神に愛された人間っているんだなあと安室は感心すらしたのだ。

    安室のために特別に創り出されたキャラクターは元々のストーリーに捻りと深みを生み出し、配信された作品は全世界で3ヶ月間視聴ランキング1位を突っ走るという特大ヒットになった。
    赤井とそういう関係になったとはいえ、撮影が終われば拠点は日米に分かれる二人である。もしかしたらこの関係も終わりかもなあ、まあひと時だけでも夢が見れたからいいか…と生来の諦めの良さを発揮しかけた安室だったが、赤井は信じられないというように盛大に眉を顰めたのだ。
    「君は俺を何だと思ってるんだ、共演者に次々手を出しては撮影が終われば捨てる最低男だと?そもそも君はそんな安い扱いを受けていい人間じゃない。君はもっと自分の価値を自覚するべきだ」
    何万人に素敵だ可愛いと言われても、安室はいまいちそれを自分の価値として受け止めることが出来なかった。しかし赤井が放つ言葉には核弾頭級の力がある。それは赤井秀一というスペシャルな男が言うという理由もあるし、あまりにも彼が思ったことしか言わない、ストレートな男だったからだ。
    「安室透は皆のものだからな。降谷零は一生、俺だけのものだ」
    そう、仕事相手に自ら本名を打ち明けたのも赤井が初めてだった。安室──降谷にとって赤井の口からこぼれるその響きは特別なものになったのだ。
    そうして二人は互いの時間のある時に海を渡って会いに行く、という順調な交際を続けている。

    さて、諸々思い出していたらもう時刻は7時を回っている。ニュースを頭に入れておくかとテレビの電源を入れてすぐ、飛び込んできた芸能ニュースに降谷はブルーアイズを瞬かせた。
    【超人気俳優、赤井秀一を成田で偶然キャッチ!お忍びで来日の理由は!?急接近したというあの話題の女優との仲も直撃!】
    トレードマークの黒いニット帽にライダース、サングラスをしていても隠せない圧倒的なオーラ。ふらりと家を出てきた風に空港に降り立った大スターに、居合わせた人々も口をあんぐり開けている。
    これは数時間前の映像らしい。降谷もリモコンを放り出して、画面にかじりついた。
    「仕事が終わったらこっちに来るとは言ってたけど…え?なんで」
    慌ててスマホを確認しても、こちらに着いたなどの新着メッセージは届いていない。女性リポーターが真っ黒な男に突撃しマイクを向けた。なんと勇気ある行動であろうか。
    『赤井さん、今回はプライベートで日本へ?数日前に新作で共演するエリザベス・ミラーと食事に行ったとパパラッチされていましたが!』
    そんな報道があったことすら降谷は知らなかった。もちろん赤井と付き合っている相手が降谷だというのは秘密である。赤井は公表することに何の問題もないと言うが、降谷の方にまだ心の準備が出来ていないからと固く止めているのだ。何しろ先だっても説明したように世界進出後の注目度といえば凄まじく、五年先までスケジュールが埋まっている有様。それに加えて赤井との関係といい、降谷の人生にとってはめまぐるしい変化が起きまくっている。それはそれとして他の女とパパラッチされるとは何事だ。モヤッとした感情が胸に渦巻いたが相手は世界屈指のモテ男である。そういうことにも慣れていかねばならないのか?降谷は気持ちの置きどころに迷ったが、それも一瞬のことだった。普通なら無視して通り過ぎるだろう赤井秀一が足を止め、リポーターに向かってあのベルベットボイスで答えたからだ。
    『君に説明する義理は無いが…これは日本のショーか?本当の恋人がやきもちを妬くかもしれないからついでに答えておくよ』
    「『えっ』」
    女性リポーターと降谷の声がハモった。赤井が優雅な仕草でサングラスを下げる。その視線だけで一億ドルの価値があると言われる深みのあるグリーンアイズ、それが真っ直ぐカメラを通して見つめてくる。降谷はもちろん、お茶の間の全国民が催眠術にかけられたように動けなくなっただろう。
    『エリザベスとは他のスタッフも含めて食事に行っただけ。覚えておいてくれ、俺の恋人はレイだ。日本語では静かに降る雨という意味…繊細で慎ましやかな彼にぴったりな美しい名前だろう?』
    それだけ言って、赤井秀一は颯爽とその場を後にした。リポーターもテレビクルーも呆然とそれを見送っていて、カメラが切り替わるのが遅れたほどだ。画面がスタジオに戻ってくるとMC達が「いやぁ〜かっこいいですね〜」「これってかなりのスクープなんじゃないの?」「彼って言ってなかった?」と興奮している。確かめるのも恐ろしいが、SNSは大変なことになっているだろう。何しろ赤井秀一は私生活もヴェールに包まれた、昨今では珍しいスターらしいスターなのだ。
    「なっ……な、な、…」
    その時ピンポン、とインターホンが鳴り響く。早朝の訪問者に、愛犬ハロも訝しく思ったのかアンアンッ!と珍しく吠えた。降谷には予感があった。こういうタイミングで現れるのは、運も何もかも味方につけたあの男以外に有り得ないと。確かめもせず勢いよくドアを開けると、案の定さっきまで画面に映っていた黒ずくめの男が長身を折り曲げている。
    「やあ、スィーティ。半日早く仕事を片付けたから駆けつけたぞ」
    はらりとひと房こぼれる前髪、朝日に照らされるこけた頬、男らしい鼻筋に本物のエメラルド。どうしてここに、とかあんだけ甘い言葉を送るなら今から行くよのメッセージひとつ送れただろうとか──いやそれよりも恋人がこの場にいることが信じられなくて──めちゃくちゃに嬉しい。毎日のように通話していても生で会うのは2カ月ぶりだったのだ。
    感情がぐちゃぐちゃになって口をぱくぱくさせることしかできない降谷と、そんな反応も想定内だったのか男は「やあ、ハロくん」と足元の白いふわふわに微笑みかけている。
    「どうした、一万キロを超えてきたんだぞ、褒美をくれないのか」
    「み、みんなの前で本名で呼ぶなってあれほど…むぐ!!」
    飄々とした態度に降谷が何とか返せたのはそんな文句だった。それも途中で熱いキスに阻まれる。
    「…んっ……」
    少し苦味のある分厚い舌が荒々しく降谷を翻弄する。落ち着き払った態度とは裏腹に、赤井のキスはいつも情熱的だ。
    「君に会えると思って口が滑ったんだ。…浮かれる男は、嫌いかな?」
    タバコとコーヒーの匂い。大きく強い腕が降谷をぎゅっと包み込み、会いたかったと全身で伝えてくる。
    赤井秀一はまさしくかっこよくて、狡い男である。ここまで言われて怒ったままでいられる人間なんて、この世に存在するわけがない。降谷は大きな背中をぎゅっと抱きしめ返して、悔し紛れのように言った。
    「……仕方ないですね!」
    そのまま長いキスを続ける二人は、放送を見たファン達で大騒ぎになっていることも知らない。そのうちのコアな一人が「ねえ、安室くんの本名って零じゃなかった…?」と言い出して、「まさかあ」「妄想にしてもやりすぎ」と呆れられていることも含めて。
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    hummingbird_aa

    DONEハリウッドスター赤井×一般人れいくんシリーズの後日談です。
    再録集の書き下ろしを読んだ方にしかわからないかもしれません。
    運転手のモブおじさんのその後のお話。
    アルマジロおじさんと赤安のその後のお話セルジオは今、目の前にそびえ立つ巨大な真っ白の門の前で、ドアベルを押すべきかどうか悩んでいた。
    押すべきかどうかというよりも、チャイムの類が見当たらないのだ。ここはハリウッドの中心部から少し離れた高級住宅街、バレーAKAM3229番地。城壁のようにがっちりと囲われた中には地上で一番有名な俳優と呼ばれる赤井秀一と、そのパートナーのスイートホームがある。セルジオは別に有名人をひと目見たいとか、そんなミーハーな気持ちでここを訪れたわけでは決してない。正式に、ここの住人から招かれたのだ。
    『セルジオさん!今ロックを開けますね。そのまま入ってきてください』
    ふいに頭上から聞こえてきた爽やかな声に、セルジオは驚きあたりをきょろきょろと見渡した。カメラもマイクもどこにあるのかわからないのに訪問者の様子は筒抜けだったのだろう、ガゴゴ…と物々しい音を立てて白い門が開く。恐る恐る邸宅へ続くポーチを進む。道の両脇は鮮やかな緑に溢れ、先ほどセルジオを招き入れた声の主と同じくあたたかで品があった。
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    hummingbird_aa

    DONEタイトルとおりの話です。テデ谷くんとテデ井はモブ赤安女さんと暮らしています。
    ドリパスでゼロの執行人を観に行くテデ谷くんの話風が冷たくなり始めた十一月の某日。テデ谷くんはテデ主さんに連れられ、映画館にやって来ました。
    「テデ谷くん、今日は初めての映画を観ようね」
    劇場の入り口には『特別上映 ゼロの執行人』の張り紙がありました。
    それは通常のロードショーとは異なり、一日限りで過去作を上映するというもの。どりぱすという企画で、ファンの投票が一定数を超えると実現する特別興業なのです。
    指定の席についたテデ主さんのおひざに乗ったテデ谷くんは心の中で思いました。
    (ほんとは公安テデ施設の映写室で見たから、はじめてじゃないんだけど…テデ主さんがはりきってるからないしょにしておこう)
    劇場版名探偵コナン、ゼロの執行人。
    テデ谷くんがこの世に生まれる三年前に公開されたこの映画は空前の安室透ブームを巻き起こしました。子ども向け作品であるコナン、特に毎年ゴールデンウィークに封切られる劇場版は風物詩といっていいほど日本中に浸透しています。推理に冒険活劇、派手なアクション。大人も子供もみんなが観に行く国民的作品なのに、その年扱ったのは公安検察のテロ事件というかなり攻めた内容でした。実際テデ谷くんも過去作履修の一環としてテデ施設で見たものの、内容があまりにも難しくて途中でお船を漕いでしまったのでした。
    6195

    hummingbird_aa

    REHABILIパン工場に見学に行くテデ谷くんの話です。テデ井とテデ谷くんは一緒に暮らしてます。人間の赤安は出てきません。
    パン工場に見学に行くテデ谷くんの話🧸🍞🥐🥖テデ井とテデ谷くんが共に暮らす森のログハウスに、招待状が届いたのは秋も深まってきたとある午後のことでした。伝書鳩が首に巻き付けたお手紙を開いて読むと、テデ谷くんの青いおめめがますます大きく見開かれました。ココアを入れていたテデ井はそれに気づき、マグカップ片手に近づいてきます。
    「いい知らせか?テデ谷くん」
    「ええ…ええ!すごいですよテデ井、どんぐり製パンって知ってますか?」
    テデ谷くんのきらきらしたおめめとは対照的に、テデ井の緑のおめめがいたずらするように細められます。
    「どんぐりなのかパンなのかどっちなのかな?」
    「もう〜、テデ井ったら人間の世界にうといテデなんですから!どんぐり製パンはこの日本でとっぷしぇあを誇るパンの製造メーカーです!食パンのラインナップだけでも数種類、ロールパンなどのお食事パンにお惣菜パン、もちろんケーキのように甘い菓子パンまで、この国でどんぐり製パンのパンを食べて大きくならない大人はいないと言われるほどの…」
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