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    hummingbird_aa

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    ハリウッドスター赤井×一般人れいくんシリーズの後日談です。
    再録集の書き下ろしを読んだ方にしかわからないかもしれません。
    運転手のモブおじさんのその後のお話。

    アルマジロおじさんと赤安のその後のお話セルジオは今、目の前にそびえ立つ巨大な真っ白の門の前で、ドアベルを押すべきかどうか悩んでいた。
    押すべきかどうかというよりも、チャイムの類が見当たらないのだ。ここはハリウッドの中心部から少し離れた高級住宅街、バレーAKAM3229番地。城壁のようにがっちりと囲われた中には地上で一番有名な俳優と呼ばれる赤井秀一と、そのパートナーのスイートホームがある。セルジオは別に有名人をひと目見たいとか、そんなミーハーな気持ちでここを訪れたわけでは決してない。正式に、ここの住人から招かれたのだ。
    『セルジオさん!今ロックを開けますね。そのまま入ってきてください』
    ふいに頭上から聞こえてきた爽やかな声に、セルジオは驚きあたりをきょろきょろと見渡した。カメラもマイクもどこにあるのかわからないのに訪問者の様子は筒抜けだったのだろう、ガゴゴ…と物々しい音を立てて白い門が開く。恐る恐る邸宅へ続くポーチを進む。道の両脇は鮮やかな緑に溢れ、先ほどセルジオを招き入れた声の主と同じくあたたかで品があった。
    「あっ、こら!ハロ、待ちなさい」
    そんな声と同時に白い塊がシャッと、足元に飛びついてくる。ゴムまりのようにぴょんぴょんと跳ね回るもふもふは白い小型犬だった。セルジオがそっと抱き上げると、しっぽをちぎれんばかりに振っている。彼もセルジオを気に入ってくれたようだ。
    「ハロ、だめだよ。降りなさい」
    顔を上げると褐色ブロンドの、まばゆいばかりの美青年が立っている。セルジオの浅黒さとは全然違うキャラメルクリームのような艶やかな肌にブルーの瞳。着ている衣装はあの砂漠の結婚式での純白のスーツと違い塗装工が着るような生成色のツナギだったが、こちらも彼の健康的な魅力にぴったりだった。
    「こんにちは!今日はご足労いただきありがとうございます」
    降谷零。巷ではゼロと呼ばれ恋人の赤井秀一と度々メディアにたびたび登場することもある──セルジオの新しい雇用主だ。

    ただの流しのタクシードライバーだったセルジオは、紆余曲折あって赤井秀一のお抱え運転手になった。いや、なったとはまだ言えない。これから契約や細かい諸々の話をするために自宅に呼ばれた、いわばこれは面接なのだ。
    降谷の友人たちを乗せたセルジオの車が、彼らの結婚式場に乱入した話はどう説明しても家族に信じてもらえなかった。
    「パパ、そのジョーク全然面白くない」
    「そうよあなた、せめてそっくりさんじゃない?」
    女ばかりの家族はこぞってセルジオを馬鹿にしたが、翌日に赤井秀一の名前で新車のシボレーが自宅に届けられたのを見て全員が腰を抜かしたのだ。
    『おしゃかになったインパラの代わりに。あなたなら大事に乗ってくれると思ってね』
    などという自筆のメッセージとともに。
    あまりのことに家族たちは喜ぶよりも詐欺を心配した。実際に彼らと会ってないのだから、疑うのも無理はなかったがすぐ後に知らない番号からメッセージが届いたのだ。
    『こんにちは、レイ・フルヤです。先日はどうも。結婚式でお話した通り、あなたにお仕事を頼みたいので会ってお話出来ますか?時間と日時は追ってお知らせします』
    「レイってゼロ!!???」
    「パパ、本当のことなの!?」
    「ねえ何があったか言ってよ!!」
    だから何度だって説明しているのに。というわけで、セルジオは七人の娘と妻、そして妻の母親という女性たちの声を背中に浴びながら今日という面接の日を迎えたのだ。

    降谷はニコニコと人あたりの良い笑顔を浮かべていて、セレブ特有のお高く止まった感を微塵も感じさせない。「毛がついちゃう、ごめんなさい!もらいますね」
    そうして手を伸ばして白い犬をセルジオから受け取る。一応ジャケットを着てきたもののセルジオのくたくたの服など気にしなくてもいいのに。初対面の時にも思ったが、だいたい自分の結婚式をぶっ潰しそうになった相手に丁寧すぎる。これが詐欺であってもセルジオはいい思い出として感謝できるだろう。
    「名前は何と?」
    「ハロです、保護犬なんです…縁があってうちに」
    降谷は大きな垂れ目をさらにデレデレと下げて、小型犬を溺愛しているさまを隠さない。
    「こりゃあ綺麗でかしこそうな犬だ」
    「ハロは人を見る目があるんですよ。あなたのことは合格みたい」
    「なんと!そりゃ訂正しなければ。かしこそう、じゃなくて間違いなく賢いワンちゃんだ」
    アハハ、降谷が大きな口を開けて笑う。カリフォルニアの太陽の化身のような眩さだった。
    「どうぞ中へ。こんな格好ですいません、ちょっと壁を塗り直してたんです」
    後ろをついて邸宅に足を踏み入れる。だだっ広い玄関ホールには天空まで届くような螺旋階段。リビングに通されると全面ガラス張りの窓からはさんさんと陽光が入り、ダウンタウンの街並みが一望できた。大きなソファに暖炉、真っ白の中にポイントで使われたグレー。あまりにもハイセンスな、まさしく映画やテレビの中でしか見たことのない『ザ・豪邸』だ。しかし住人の降谷はスニーカーを履き、つなぎにもペンキのようなものがあちこちに付いている。当然業者に頼むことも出来るが、壁や棚の気になるところを自分の好きなようにカスタムしたいしそういうのが好きなんだそうだ。元々好感しかなかったが、セルジオは「自分と気が合いそうかも…!」と僭越ながらに思った。
    「ええと、じゃあお時間取らせるのも悪いので早速お話を始めても?」
    「もちろんです」
    ソファセットに促され座ると、セルジオは持参した書類をバッグから取り出した。特に何か指定があったわけではないが身分証や社会保険番号、永住権の書類の写しなどを自ら揃えてきたのだ。ラテン系には珍しく(この言い方は語弊あるが)セルジオはきっちりとした性格であった。降谷はそれを見てぱちくりと大きな瞳を瞬かせる。
    「えっ?ありがとうございます…実はあなたのことは軽く調べさせていただいたんですが、手間が省けます」
    なんと正直な。これほどのセレブになれば人を雇うにあたって身辺調査をするのは当たり前だ。それでもはにかんだ様子でそう告げる降谷は非常にかわいらしかった。
    降谷はiPadを取り出し、PDFを開いて見せた。これが契約書なのだろう。聞くところによると、降谷は赤井秀一のプライベートだけではなく全面的にマネジメントも担当していて最近はロースクールに通っているらしい。言葉ひとつひとつに聡明さが溢れている。彼ならすぐに資格を取れるだろう。
    「送迎用の車は一台、レクサスを用意してあります。セルジオさんは自分の車でこちらに出勤していただき、仕事用のそちらに乗りかえてもらうということで。ナビや装備は最新型を入れていますが、ご自分の使いやすいように設定を変えていただいて構いません。人間の運転感覚に勝るものはないし、あなたのテクニックは僕の友人たちからお墨付きをもらってます」
    「なんと。彼らはもう日本に帰国を?元気ですか」
    セルジオはあの若者たちを思い出して思わず笑顔になった。結婚パーティの時にも踊ったり歌ったり、めちゃくちゃに元気で来賓みなのハートを掴んでいたからだ。
    「ええ、こちらでの観光を十分に楽しんで、先週帰国を。セルジオさんによろしくと言っていました。あのうち二人はメカニックの仕事に就いているので信用してます」
    こんなに褒められたことなど、人生のうちで一度も無い。しかも賢く生命力に溢れた見目の美しい若者たちにだ。セルジオはポワワと夢見心地になった。
    「場合によっては赤井のマスタングと僕のマツダRX7を運転してもらうかもしれません。右ハンドルの運転は経験ありますか?僕の愛車は少し癖があって…いえもちろん基本は自分で運転しますけど、出先で置いてきたのを取りに行ってもらったりだとか。敷地内でしたら慣れるために練習してもらっても大丈夫です」
    「もちろん、努力します」
    米国はガチガチの契約社会と言われるがそれは立場のある人間の場合であって、末端の仕事は適当な口約束で済まされることが多い。だからここまで細かく提示してくれることに驚きつつ、セルジオは集中して降谷の話を頭に叩き込んだ。
    「それからスケジュールは仕事柄流動的になります。予定が立った時点ですぐ共有しますが、もしかしたら今すぐ来てくれなんて急なお願いをするかもしれません。それに何かと雑用なども頼むかも…その場合はもちろん時間外や別の手当をお出しします。無理な場合は遠慮せず断ってください。僕も赤井もあなたを雇う立場にありますが、対等な立場であるべきです。ストレスを抱えながら働くなんて、お互いのためにならない」
    セルジオはびっくり仰天した。タクシーの運転手になるまでに様々な仕事を経験してきたが、雇ってやってるんだから感謝しろと言うボスが当たり前で、それについてこちらも疑問に思うことすらなかった。セルジオの表情に気づいた降谷が照れたように俯く。
    「あの…僕も日本でサラリーマンをやっていたので…」
    だから雇われの気持ちが十二分に分かるというか…その…ともごもご呟くのに、セルジオは完全にノックアウトされた。見た目も中身もこんなに素晴らしい若者がいるのだろうか?世界一の男と言われる赤井秀一だが、選んだパートナーでさえも完璧なのだ。セルジオは心の中で「彼らのために身を粉にして働こう」と固く誓った。
    「そういえば、娘さんが日本の方と結婚されるとか」
    「ええ、今年の秋ですが。ちょうどあなたと同じくらいの年齢で…東都大学でマーケティングの勉強をしていたとか。娘とも仕事で知り合ったそうです」
    懐かしい地名が聞こえたためか、降谷はにっこりした。
    「もしかしたら婚約者の方とすれ違っていたかも。僕も東都大にいたので」
    「まさか、そんな偶然があったら素敵なことですが。写真を見ますか?名前はタカシ…すいませんファミリーネームが発音しづらくて。何てったかな…」
    セルジオはスマホを取り出し、娘と一緒に写っている日本人男性の写真をそちらに向けた。すると降谷が目を丸くし小さく叫んだのだ。
    「えっ」
    「エッ」



    「ふ、降谷!?映画会社に就職したって聞いてたけど…お前がゼロ?赤井秀一の!?」
    「まあ色々あってね…それより元気?ゼミのみんなと連絡とか取ってる?」
    なんとまあ、セルジオの娘の婚約者は本当に降谷の大学時代の同級生だった。そして彼が渡米するタイミングで会いたいと、外では写真を撮られる可能性があるから自宅での夕食に招待されたのだ。セルジオ、彼、そして娘のエレノアと共に。
    豪邸に着いてなお、エレノアはこの状況が信じられないようでセルジオの後に隠れていた。いつもハキハキと快活な娘だが、今日ばかりは借りてきた猫状態でボソボソと父に抗議する。
    「パパ、やっぱり帰っていい?私は急病だってことにして」
    「お前だってゼロに会いたいって言ってたじゃないか」
    「会いたいっていうのは面と向かってじゃなくて陰からそっと見たいって意味よ!それになんなの、赤井秀一まで…しかも自宅に呼ばれちゃうなんて、心臓がいくつあっても足りないわ!」
    ひとしきりタカシとの再会に驚き喜んだ後、降谷はエレノアに向き直ると100万ドルどころじゃないキラッキラの笑顔で右手を差し出した。
    「はじめまして、降谷です。自宅だと思って寛いでってくださいね。こんなご縁が出来て嬉しいなあ」
    「は、は、はひ」
    エレノアは耳まで真っ赤になって、言語能力を失っている。横でタカシが肩をすくめた。
    「おいおい、降谷にはれっきとした恋人がいるんだぞ。なにより君は俺の婚約者じゃないか」
    「そういうんじゃないわ!ダビデ像が握手を求めてきたりモナリザが投げキッスを寄越したらあなただって絶句するでしょ!」
    ユニークな例えに降谷が破顔する。場が和やかになったのも一瞬のことだった。カツカツカツ、そんな靴音と共に温度の違う空気が流れ込んでくる。緊張感とも違う、何というか…『オーラ』としか言いようないそれの方向に思わず皆が顔を向ける。まず見えてきたのは黒いパンツに包まれた長い長い足。シャツ越しにも分かる鋼のような筋肉に、どっしりとした体幹…そうして体の芯を痺れさせるような甘く艶のあるテノール。
    「やあやあ皆さんたち。今日はよく来てくれたね」
    こんなにハンサムな男がこの世にいるのだろうか!?タカシとエレノアはもちろん、会うのが二回目のセルジオでさえ生身の赤井秀一の破壊力に頭が完全にショートしてしまう。しかもその華やかな笑顔といったら!スクリーンの中では渋く厳しい表情をしていることが多いので、あまりのギャップに卒倒しそうだ。
    蝋人形のように固まってしまった三人とは裏腹に、降谷はコラッ!と腕組みをして赤井を睨みあげた。
    「またオフだっていうのに真っ黒な服着て…お客さんがビビっちゃうでしょ!」
    「君が料理に忙しそうで声をかけられなかったんだ。明るい色合いの服を選ぶのは君の役目だから」
    一応叱られているというのに赤井は嬉しそうに、眼下の降谷をニコニコと見つめている。なんなんだこれは、ドラマのワンシーンか?と混乱したところでくるりと緑の眼がセルジオたちの方を向く。
    「結婚式以来だなセニョール!そちらが娘さんと、零の友人か。美男美女だ、君たちの式にも何かお祝いをさせて欲しい」
    「は…はわ……」
    三人とも口をぱくぱく開けて間抜けな声をあげることしかできなかった。
    「じゃあごはんにしましょうか!今日は手巻き寿司にしたんです、パーティーぽくて楽しいかなって」
    降谷の屈託のない声が響く。当然テマキズシとやらは初体験のセルジオだったが、あれやこれやと具を巻くのはうきうきしたし、あの赤井秀一でさえ上手く巻けずに長い指を米粒だらけにしているのを見てやっと三人の緊張も解れたのだ。
    「あなた欲張りすぎなんですよ、酢飯とのバランス考えないと」
    「しかし零くん、海老も卵も肉も一緒に口に入れると一石二鳥じゃないか」
    「美学が無い!ねえセルジオさんあなたも思うでしょ、タコスだって破れるくらいパンパンに具を巻くのは邪道だって」
    「え、ええそうですね、海鮮と肉は分けた方が味が戦わないんじゃないかと…」
    「ほーら!セルジオさん料理は得意?じゃあ次はタコスでやりましょう」
    彼らが世界的セレブだというのを忘れてしまうようなアットホームなディナーだった。そうして余程楽しかったのか、事あるごとにこうした『巻き物パーティー』が催されるようになり、セルジオたちも家族ぐるみで招かれるのが恒例となった。

    (おわり)
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    hummingbird_aa

    DONEハリウッドスター赤井×一般人れいくんシリーズの後日談です。
    再録集の書き下ろしを読んだ方にしかわからないかもしれません。
    運転手のモブおじさんのその後のお話。
    アルマジロおじさんと赤安のその後のお話セルジオは今、目の前にそびえ立つ巨大な真っ白の門の前で、ドアベルを押すべきかどうか悩んでいた。
    押すべきかどうかというよりも、チャイムの類が見当たらないのだ。ここはハリウッドの中心部から少し離れた高級住宅街、バレーAKAM3229番地。城壁のようにがっちりと囲われた中には地上で一番有名な俳優と呼ばれる赤井秀一と、そのパートナーのスイートホームがある。セルジオは別に有名人をひと目見たいとか、そんなミーハーな気持ちでここを訪れたわけでは決してない。正式に、ここの住人から招かれたのだ。
    『セルジオさん!今ロックを開けますね。そのまま入ってきてください』
    ふいに頭上から聞こえてきた爽やかな声に、セルジオは驚きあたりをきょろきょろと見渡した。カメラもマイクもどこにあるのかわからないのに訪問者の様子は筒抜けだったのだろう、ガゴゴ…と物々しい音を立てて白い門が開く。恐る恐る邸宅へ続くポーチを進む。道の両脇は鮮やかな緑に溢れ、先ほどセルジオを招き入れた声の主と同じくあたたかで品があった。
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    hummingbird_aa

    DONEタイトルとおりの話です。テデ谷くんとテデ井はモブ赤安女さんと暮らしています。
    ドリパスでゼロの執行人を観に行くテデ谷くんの話風が冷たくなり始めた十一月の某日。テデ谷くんはテデ主さんに連れられ、映画館にやって来ました。
    「テデ谷くん、今日は初めての映画を観ようね」
    劇場の入り口には『特別上映 ゼロの執行人』の張り紙がありました。
    それは通常のロードショーとは異なり、一日限りで過去作を上映するというもの。どりぱすという企画で、ファンの投票が一定数を超えると実現する特別興業なのです。
    指定の席についたテデ主さんのおひざに乗ったテデ谷くんは心の中で思いました。
    (ほんとは公安テデ施設の映写室で見たから、はじめてじゃないんだけど…テデ主さんがはりきってるからないしょにしておこう)
    劇場版名探偵コナン、ゼロの執行人。
    テデ谷くんがこの世に生まれる三年前に公開されたこの映画は空前の安室透ブームを巻き起こしました。子ども向け作品であるコナン、特に毎年ゴールデンウィークに封切られる劇場版は風物詩といっていいほど日本中に浸透しています。推理に冒険活劇、派手なアクション。大人も子供もみんなが観に行く国民的作品なのに、その年扱ったのは公安検察のテロ事件というかなり攻めた内容でした。実際テデ谷くんも過去作履修の一環としてテデ施設で見たものの、内容があまりにも難しくて途中でお船を漕いでしまったのでした。
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    hummingbird_aa

    REHABILIパン工場に見学に行くテデ谷くんの話です。テデ井とテデ谷くんは一緒に暮らしてます。人間の赤安は出てきません。
    パン工場に見学に行くテデ谷くんの話🧸🍞🥐🥖テデ井とテデ谷くんが共に暮らす森のログハウスに、招待状が届いたのは秋も深まってきたとある午後のことでした。伝書鳩が首に巻き付けたお手紙を開いて読むと、テデ谷くんの青いおめめがますます大きく見開かれました。ココアを入れていたテデ井はそれに気づき、マグカップ片手に近づいてきます。
    「いい知らせか?テデ谷くん」
    「ええ…ええ!すごいですよテデ井、どんぐり製パンって知ってますか?」
    テデ谷くんのきらきらしたおめめとは対照的に、テデ井の緑のおめめがいたずらするように細められます。
    「どんぐりなのかパンなのかどっちなのかな?」
    「もう〜、テデ井ったら人間の世界にうといテデなんですから!どんぐり製パンはこの日本でとっぷしぇあを誇るパンの製造メーカーです!食パンのラインナップだけでも数種類、ロールパンなどのお食事パンにお惣菜パン、もちろんケーキのように甘い菓子パンまで、この国でどんぐり製パンのパンを食べて大きくならない大人はいないと言われるほどの…」
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