瀞霊廷から外れた地点に虚の群れが出現した。
その報せが入ったのは長閑な春の陽気に思わず誰もがのんびりとしてしまう日が続いていたときだった。
どの隊もそこそこ予定が詰まっており、瀞霊廷の近くならまだしも、外れとなると遠征する必要があった。ならばどこが貧乏くじを引くかとなった折に白羽の矢が立ったのは新設されたばかりの——とはいっても既に一年は経過しようとしていたが——十五番隊だった。有り余る力と機動力。この二つが武器の隊は隊長と副隊長だけから成る隊だった。
一人は尸魂界の誰もが好きな英雄の黒崎一護ともう一人は尸魂界の誰もが嫌う大罪人の藍染惣右介だった。
虚退治の通達が来ると二人はすぐさま準備をし、隊舎兼自宅の戸締りを済ませると早々に目的地へと向かっていった。
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