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    神父ラとバスターポのポラ

    原作を出来るだけ準えてます。

    物心付く頃には教会へ通っていた。
    お祈りを捧げ、聖水を浴びる。母さんが言うには悪魔によって俺と母さんは隠れて生活しないといけないらしい。だから苦しいのだと。そこから抜け出す唯一の方法は俺が神父様に仕えることで2人とも救われるのだと、そう毎日言い聞かされてきた。
    (母さん、大丈夫だよ。俺が立派な神父になるから )
    母の願いは俺の夢になった。


    日が落ち漆黒の闇に包まれる。
    あれから10年、神父になった俺は教会の扉を施錠し、祭壇に向かい神に祈りを捧げる。
    聖水を手にとり聖堂のすべての角に満遍なく振りかける。
    準備は整った。
    結界式を施し、時を待つ。

    暗闇が時を支配する。
    突然扉をけたたましく叩く音と若い女性が泣き叫ぶ声が響く。
    「神父様、助けてください、悪魔が私の子を奪いに来るのです!」
    赤子の割れんばかりに泣き声がこだまする。

    息を潜め、ロザリオを握りしめ声には出さず聖書を唱え、十字をきる。

    扉を叩く音は止み、赤子の泣き声は唸り声にかわる。
    「喰わせろ、喰わせろ、喰わせろ、喰わせろ、喰わせろ、喰わせろ、喰わせろ、喰わせろ、喰わせろ、喰わせろ」

    同じ言葉を繰り返しながらどうやら周回しているらしい。
    ズザザザザと何かを引きずる音を立てながら周りをぐるぐる廻っている。カリカリカリカリカリカリ何かを引っ掻くような音が聞こえる。綻びを捜しているのだ。
    (まずい)

    結界を張り施錠したはずの扉がカチャリと音がして、扉が開かれた。
    暗闇が広がる。そこにユラユラと蠢く黒い大きな物体が教会の中へ入ってくる。

    祭壇に結界を張りその中にいる俺は奴から見えないはずだった。だが気配を感じるのか真っ直ぐ祭壇に向かいやってくる。引きずる音の正体は異様に大きな頭をした赤子のような犬のような足のない物体だった。言い知れぬ恐怖が募る。

    恐怖で冷や汗が止まらない。ロザリオを握りしめる手は力を入れすぎて白くなる。
    突如引きずられていた物体が鳴いた。
    その瞬間俺は宙に投げ飛ばされる。

    ガッ!!?
    背中を強打し、うまく呼吸が出来ない。
    (何だ?何が起こった?)
    結界が破られたことに動揺がが隠せない。
    次の瞬間
    背後から抱えられ羽交締めされ、服が腰脇から反対側の肩まで破られる。
    「しまっ!」
    開いた腹筋に手のような何かが這う、
    「待っあが!!」

    言い終わる前に口に太い何かが入ってくる。
    這うモノが胸の飾りを擦る。股の間を行き来する何かに恐怖が募る。

    ???「おい、動くなよ」

    若い男の声がした瞬間、何かが顔をかすめ、解放された俺は床に倒れ込んだ。

    「ヴッ」

    ???「珍しいのが手に入ったな」

    顔を上げると、軍人だろうか…上下黒の特攻服を身に纏い機関銃のようなものを肩に担いだ青年が目の前に立っていた。

    「すまない、助かった。」

    ???「礼には及ばん。こいつの力が欲しかっただけだ」
    そういって青年は機関銃の中から丸い玉を取り出す。

    (そうか、彼はバスターなのか)

    バスターと呼ばれる彼らは特化した戦闘能力を持つだけでなく、捕獲した悪霊を己の武器に組み込ませ改良する技術まで培うバスター教会直属のエリート隊員だ。それ故、人数は限られており、実際この町で実際見た者は誰一人としていなかった。
    バスターといえば、勝手に熟練した年配を想像していた俺だったが、恐らく彼は俺より若い。

    何も言えずに床に倒れたままの俺に青年が話しかけてきた。

    「それより、あんたのその中途半端な力はなんだ?」
    俺は黙って俯く。

    「依り代になっていながら、ろくな結界も張れてもいない。まるで神父の真似事じゃねぇか」

    彼の言うとおり、俺は先代の神父から何年もかけて教わったはずの結界は脆く神父と呼べる技量は何も備わっていない見かけ倒しの偽物だった。


    「そうだ。君の言うとおりだ。すまない」
    そう言って立ち上がる俺に

    「チッ、湿気た野郎だ。だがまぁこいつは使えるかもしれねぇ。……おい、次の戦闘に備えて寝床が必要だ用意してくれ。」

    俺は礼をかねて彼を教会の敷地内にある施設へと案内することにした。

    「うちには修道女はいない、好きに使ってくれ。」
    「あんたは?」
    「教会の地下に寝室がある」

    先代の神父が幾重にも結界した地下室、そこが唯一俺が安らげる場所だった。

    明け方、教会の地下室から地上に出ると子どもたちの会話が聞こえてきた。

    「そんなっ扉が壊されている。」
    「ガビ、神父様ならきっと大丈夫だよ」
    「くそっなんでまたここに」
    ウドが憤り壊された扉の残骸を蹴る。

    「こら、物に当たるなよ」

    子ども達が一斉に振り返り駆け寄ってくる。

    「ライナー、大丈夫なの?」
    いつもは勝ち気なガビが心配そうに俺を見上げる。

    「ああ、心配をかけてすまない。もう大丈夫だ。」
    俺は安心させるようにガビの頭を撫でた。
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