ネモフィラ畑の想定だけどどこでもいいです。強い風が吹いて、少し舞う砂に目を閉じる。
瞼を開けた瞬間、眼前に居たはずの鷹弥はいなくなっていて、(……まさか)と逡巡する。
しかし、青空のように澄んだ「悠李!」という声が遠くから俺に向けられた。鷹弥に名前を呼ばれる俺の名前ほど、甘美な響きは無い。
声のするほうを振り返ると、風に揺れる髪を左手で押さえながら嬉しそうに微笑んで
「悠李と居ると、美しいものが更に美しく見えるね」
と微笑む鷹弥が居た。
何の気もないであろうそのセリフに、俺は邪な気持ちを抱かないではいられなかった。
本当に、この人は……。
「悠李?そろそろ、行こっか」
差し出された手を、優しく握る。
どんな場所でも、この手を握るのは俺だけで良い。
他の誰かに、何かに、奪わせたりはしない。