猫でも愛して!(仮) いつものように死神に抱き潰され、どっぷりと疲れ切って倒れるように眠りに落ちたその翌日。珍しく寝坊したベルベットは、誰かが優しく髪を撫でる感触で目を覚ました。
「ん……にゃ、あい、ぜん……?」
何かがおかしい。
わずかに感じる違和感に、ベルベットは思わず眉間にシワを寄せる。
「ようやく起きたか。大変なことになったぞ」
それを肯定するように、目の前の男が言った。……もっともその手のひらは相変わらずベルベットの頭を撫で続けていて、まったくもって焦っている様子ではなかったが。
「大変なことってにゃに……にゃ⁈ にゃんで、にゃ、にゃ、にゃ──っ、⁈」
おかしい。絶対におかしい。確かに自分の声なはずなのに──なんで。
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