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    狭山くん

    @sunny_sayama

    腐海出身一次創作国雑食県現代日常郡死ネタ村カタルシス地区在住で年下攻の星に生まれたタイプの人間。だいたい何でも美味しく食べる文字書きです。

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    狭山くん

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    2022-06-14/空閑汐♂デイリー、今日は篠原と空閑の話。汐見はあの後抱き潰された模様。

    ##空閑汐BL
    ##静かな海
    ##デイリー
    #BL

    空閑汐♂デイリー800字チャレンジ:14 日曜の昼下がり、広々とした寮の談話室に現れたのは篠原が呼び出した人物ではなかった。
    「や、おはよ」
    「もうおはようの時間じゃないだろ。空閑」
     ジャージ姿で自身の端末を弄っていた篠原は、空閑の声に視線を向けながら溜息をひとつ。そこに立っていたのは十数時間前には恥も外聞もなく泣き喚いていたなんて忘れましたという顔をしてニコニコと笑みを浮かべる男である。
    「俺は汐見を呼んだ筈なんだけどな」
     昨夜の釣り銭を渡す為に呼び出した相手が空閑に変わった理由に見当が付かない程鈍くはないが、面倒臭い男二人に巻き込まれた篠原としてはそれでも文句の一つくらいは言いたくなるものだ。
    「昨日アマネが出した分は俺が返したし、そうなると釣り銭の所有者は俺になるんだから間違いじゃないよ」
    「で?」
    「昨日テンション上がっちゃって、気付いたら明け方だったんだよね」
     場所が談話室であるという事を考慮したのか、何がとは言わずに空閑はニコニコとその事情を口にする。
    「汐見は大丈夫なのかよ」
     思わず零れた篠原の呆れ切った声に、少し考えるように視線を巡らせながらも小さく唸った空閑はそれでも「大丈夫じゃないかなぁ」と首を傾げる。
    「午前中はベッドに沈んでたけど、今は腰が痛い腹が痛いって文句言いながらも動けてるし。明日にはパルクールくらい出来るんじゃないかな?」
    「あいつパルクールまで出来るのかよ」
    「アマネの運動神経やばいもんね。持久力は俺の方があるけど、瞬発力は確実にアマネの方があるもん」
    「……で、お前の持久力に朝まで付き合わされたって訳か」
    「そういう事になるね」
     哀れ汐見、篠原は心の中でだけ十字を切る。篠原から見れば空閑も汐見も大概だ。専門課程の入学試験では唯一体力試験まで設けられているパイロットコースの主席と次席なんて、頭脳派で鳴らしている篠原達からしてみればただの化物コンビである。
    「流石にゴム一箱開けたのはやりすぎちゃったなとは思ったけど」
    「バケモノじゃねぇか」
     重ねられた空閑の言葉に、思わず真顔で言葉を返してしまった篠原はそれでも自身を落ち着ける為――そしてこれ以上そこそこ良好な関係を築けている同期達の閨事情を聞かない為にも「ま、お前ら収まるところに収まったようだな」と話題を少しだけずらしてやる。
     篠原の言葉に、空閑はそれはそれは幸せそうに笑みを浮かべて大きく頷くのだ。
    「じゃぁ、こっちだな」
     手元に置いてあった二つの茶封筒からひとつを空閑へと渡してやれば、篠原の言葉に首を傾げ「相変わらずこういうとこマメだね」なんて言葉と共にその中身を検める。
    「これ、お釣りじゃないじゃん」
     封筒に入れられていたのは、昨夜汐見が篠原へ渡したものと同じ額の紙幣が一枚。夕飯分が抜かれていない封筒の中身を指摘した空閑へ、篠原は「俺とヴィンからのご祝儀」と笑う。
    「汐見の機嫌が悪くなる前にそれでアイスの一つでも買ってやるんだな」
    「確かに、今の時点で割と機嫌は悪いんだよね」
     アマネだってもっとって強請ったくせにさぁ! そうやって不満げな言葉を重ねながらも、空閑の表情は篠原が見てられない程に緩々で。幸せいっぱいですと身体全体で表現している空閑を見送り、篠原もまた談話室のソファから腰を上げ昼下がりの学生寮を抜け出していくのだ。
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    PROGRESS魁のパート。ビール飲んでる。
    流心〜ドイツ編〜魁1
     十一月のドイツは想像以上に寒く、訝しがりながら持ってきたダウンが大活躍だった。見るもの全てが痛いほど新鮮に映る中、隣で穏やかに微笑む恋人が旅の緊張を解してくれる。距離も時差も超えて、こうして二人並んで歩くだけでも、思い切ってここまで来て良かったと思うには十分だった。
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    のうべ

    Happy New Year一次創作「white memories」のお正月。
    世界観の事情から本編ではお正月ネタはできそうにないので、もしも○○があったら……的なやつです。
    本編は支部や個人サイトに公開してます。

    【簡単な人物紹介】
    ティジ:レリアンという国の王子。好奇心旺盛。
    ルイ:ティジの幼なじみ。ティジのことが好き(ティジはそのことを知らない)
    クルベス:ルイの伯父。城住み込みの医者。
    ジャルア:ティジの父。国王。
    【white memories】お正月「その格好、どうしたんだ?」
    「『着物』って言って東の国の伝統装束なんだって。父さんが外交の時にもらったから着てみろって言ってたんだ」

    ルイの問いかけにティジはその場でくるりと回って答える。因みにここは城に住み込みで働いている医者(ルイの伯父でもある)クルベスの私室だ。部屋の主は席を外している。

    「どうかな?」
    「……うん、まぁ良いと思う」
    首を傾げて感想を求めるその姿に顔を背ける。

    ティジが纏うのは黒の着物に灰色の袴。
    白い髪に赤い瞳という人目を引く容姿には少々コントラストがキツく映ってしまうが、ティジに惚れてしまっているルイには些細なことでしかない。

    「やっぱり、俺には似合ってなかった……かな」
    ルイが顔を反らしたのを、見るにたえなかったかと思いシュン……と肩を落とす。
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