特別は、特等席に座っている。 キラキラとして澄んだ魂と出会ったんだ。
そう伝えた時に気が付けばよかった。
でもその時の僕は全く気づけなかった。
そうか、と告げる声音がいつもより少しもたついていたのも、会話の先を促す優しさにためらいが混ざっていたのも。
あまり会えない彼と楽しかったことを共有したい気持ちが先走って、見えなかったんだ。
ようやく気づいたのはもっと後。
柔らかな夜が世界を包む頃。
僕のベッドの上に座り込んで、まだあまり慣れない『触れ合い』を始めた時だった。
「……っ…?」
彼とのキスは好きだ。
温かさに包まれて深くなっていくのが気持ちいい。
でも今日のは普段よりも早かった。
気持ちが昂っていたりするともっと早かったりもするけど、今日のはそういうのじゃない。
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