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    duck_ynbt

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    duck_ynbt

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    デキてる上一割とデレめ?🔞描写はないけどそういう内容を示唆しています。食事と性の話がテーマ。

    金夜に一方通行と食事したい上条さんが本懐を遂げるまで 金曜日の夜、平均的日本人のサンクチュアリ。平時よりも財布の紐を緩めてしまう程度には浮き足だった気分で帰ったと言うのに、肝心のインデックスは小萌先生の元へ焼肉のご相伴に預かりついでに泊まりに行った後だった。
     食材は明日以降に回しても構わないが、少々拍子抜けだ。自分でも少しばかり贅沢な晩餐を楽しみにしていただけに勿体無い気持ちの方が優ってしまう。
    「誰かに来てもらうかなぁ」
     土御門に声をかけようかとも思ったが、昼休みに「今日は舞夏がとっておきスペシャリテを用意してくれるんだぜい♪」と大変ご機嫌にしていたことを思い出し、選択肢から外す。

     そうだ、今日はせっかくの金曜日なんだ。気持ちが浮ついたといえば、多少の無礼も許してはもらえるんじゃないだろうか。
     期待半分諦観半分、有耶無耶に乗じて手に入れた番号を呼び出す。数コールもしないうちに、いつも通りのやや不機嫌そうな声が聞こえた。幸運一つ。



    「早かったな!」
    「オマエが急かしたからな」

     今まで聞いてきた声からの統計データと照合、この声色、実はややご機嫌な時。勝手知ったるなんとやらで洗面所に真っ直ぐ上がる一方通行、玄関に置かれた靴は端の方できちんと揃えられている。ぶっきらぼうな言動に反し、意外と礼儀正しいところがあるのだ。
     以前「ちゃんと手洗うんだな」とうっかり漏らした時「外から拾った雑菌が人に移るだろォが」とむっすりして答えていたが、ベクトル操作で除外でできる一方通行には必要の無い行為だった筈だ。打ち止めの手前もあるんだろうか、あるいは黄泉川先生の躾か。ふと姿を見せる家庭的な一面が、結構好きだったりする。
    「もう出してもいいか?」
    「あァ」
     一方通行が座った前に、食事が乗った皿を並べていく。ご飯、味噌汁、サラダ、そしてメインはステーキ。普段の我が家からすれば割と豪勢な方。黄泉川先生の家だともっといいものが出てくるかもしれないけど、俺は俺のベストを尽くすだけ。もてなしは心だ。
    「野菜が重複してる」
    「ステーキのつけ合わせだけで野菜らしい野菜とは言えません」
     皿の見た目をよくするため、原価の低さは色彩で補っている。にんじんのグラッセ、粉吹き芋、ブロッコリー…正直子供でも避けることは少ない顔ぶれだと思う。野菜嫌いの偏食家と子供舌は別物だけど、典型的なお子様プレートを食べる第一位の図とかちょっと見てみたいかも〜という作り手の邪念が若干滲み出ている。
    「いただきます」と手を合わせ、律儀にもサラダから口に運ぶ姿にちょっと驚く。
    「肉からいくかと思った」
    「オマエが前食い終わるまで解放しなかったからだ」
     ジロジロ見ンなと悪態をつかれ、一旦自分の食事を再開しつつも時折咀嚼シーンを視界に収める。
    小さく口が開く。薄赤い口内の肉が、白くて小綺麗に規則正しく並んだ歯が覗く。箸で摘んだハーフカットのミニトマトが舌の上に乗る。薄い唇が閉じる。もく、もく、と上下する小さな顎。嚥下する時にこくん、と動く喉。
     ファストフードのフライドチキンを雄々しく食いちぎる時のような食事シーンと、奥ゆかしさすら孕むこの食べ方には二面性を感じる。外向けの荒々しい立ち居振る舞いと、俺とクローズドな空間に座する時の落ち着きよう。
     俺も初めての恋人だから(そして最後の恋人でもあってほしい)時々「少しはドキドキしてくれないのか」なんて考えることもあるが、最近はリラックスする姿に「俺もこいつの居場所に慣れてるのかも」という嬉しさも感じている。
     ただ、俺がその恋人の食事シーンをどうしても意識してしまうのには理由があった。

     男子高校生と言えば猥談、猥談と言えば男子高校生である。日常の些事を如何にエロに結びつけるか、というのが俺たちに与えられた命題だ。
     ある日たまたまピックアップされた話題が「食べ方とセックスの相関性」だった。相関性などと言っても、内容は大したものじゃない。
     口いっぱいに頬張ったり、前傾姿勢で食べるのは性欲旺盛で体の反応が正直。
     姿勢良く礼儀正しく淡々と食べるのは、淡白かアブノーマル。
     なんて程度の話なので、その時は適当に聞き流していた。だけど以降一方通行と食事をする度、どうも頭にリフレインしてしまうのだ。

     楚々とした咀嚼シーンを見れば、聞かれるのを嫌がって「ン、ンン……」と口を手で塞ぎ、喘ぎ声を抑えようとする姿。一方で、気分がノれば妖艶な表情で俺のモノを細い指で弄びなら舌なめずりする姿。
     ガツガツとした食事シーンを見れば、ナカを抉られる感触にヨガって切ない声を上げながら腰を振る姿を。

     言われてみれば、あながち嘘でもないと思える局面がありありと浮かんできてしまう。ただ食事をしているだけなのに、気づけば脳内は完全にピンク一色に彩られている。

    「具合でも悪ィのか?」

    「うぇっ!?」
     身を乗り出して覗き込んでくる顔のドアップに、つい変な声が出てしまう。
    「全然箸が進んでねェけど」
    「いや、全然大丈夫!気にすんなって」
    「なンか隠してねェか?」
    「気のせい気のせい!!」
     なんとか誤魔化そうと慌てたら、座卓に膝が強く当たってゴンッ、と鈍い音が響いた。結構な痛みに思わずグウゥ……と悶える。
    「オイ、大丈b……」
     近づいてきた一方通行の声が止まる。
     アレ?と見上げると兎のように赤い瞳は一点を凝視していた。
    「オマエ……」
    「お、おおおおおこっ、ここっ、これはだなあ」
    「人の食事シーンで勃たせるたァ……一体俺の何歩先まで進ンでいやがるンですかねぇ……」
    「ガチで引くな!!あとその台詞はそこで使うものではありませんのことよ!」



     とりあえずその場は収めたが(二重の意味で)、せっかくの休日前夜のムードは台無しである。主に俺のせいで。
    「別に責めてねェって」
    「フォローしないでくれ、余計恥ずかしくなるから」
     ソファに座ってる一方通行に食後の茶を手渡しながら、俺も横に座る。
    「週終わりだし、疲れマラとかあンだろ」
    「うん、そんな感じです、ハイ」

    「……で、実際のところはァ?」

     チェシャ猫のように細まる瞳、上がる口角。
     当然、逆らえるまでもなく無事に口を割ることとなった。

    「高校ってなァ、随分大層な学びがあるンですねェ」
    「返す言葉もございません」

     事の全容を説明すると大層ご機嫌な様子で笑われた。
     いいんだい、ここから無視して帰られるよりは100倍マシさ。と内心ちょっと拗ねていると、白魚の指がつつ……とスウェットの上から腿をなぞられる。

    「……あの〜?」
    「で、散々人の食事シーンで妄想しといて?肝心の据え膳はお預けかァ?」
    「よろこんでいただきます!」
    「じゃァ、手始めに一緒に風呂入るか」

    オマエがしたがってたソープごっこ、ヤる?

    ニタァ、と人を喰らう前の魔女みたいな笑みに、俺は興奮を隠せない。
    淡々とした食べ方は本当にアブノーマルの証だった。
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