オリジナルストーリー オリケロ+「イカズチよしたたかに鳴れ……その2」疲れて寝ていた私は、突然響いた爆音と、大きな揺れに起こされた。程無くして、怒鳴り声が聞こえてきて、怯えていた私は、とっさに荷物の袋の中に入って隠れた。ドカドカと荒々しい足音が近づいてきて、見つからないように祈り、必死になって息を殺したのを覚えている。
荷物のフリをして運ばれている最中に、会話を聞いた。貨物車を襲ったのは宇宙海賊たちで、取り分が少ないことに苛立っていた様子だった。時々何かに当たり散らして、声を荒げていた。
荷物置き場と思われる場所に乱暴に放り出され、少し安堵した私は、袋の隙間から外を覗いた。
そこには、みすぼらしい姿をした人々が、虚ろな目で宇宙海賊たちに従っていた。奴隷共、と彼ら、彼女ら呼ばれていた。虐げられ、自由もなく、力尽きれば捨てられる。もし見つかってしまえば、自分もああなってしまうのだろうか、呼吸がままならなくて、吐き気がして、恐怖で震えが止まらない。
──その瞬間だった、袋が開けられ、私の姿があらわになったのは。
──────
何が起きたかわからない。
よく覚えていない。
尖ったものを持っていた。
手と顔に、生暖かいものがべったりと纏わりついている。
宇宙海賊が、倒れている。
赤い水溜まりが広がっていく。
私がやったのか、これを。
時間がたつにつれ、何が起こったかを脳が理解していく。私がやったのだ、私が荷物の中にあったハサミで、宇宙海賊の喉を貫いて、胸を滅多刺しにして、
殺したのだ。
私が、殺した。
殺した。
殺してしまった。
殺せてしまった。
殺せた。
殺せる。
私は、殺せる。
……この時、私は、途方もない満足感で、笑みを浮かべていた。
この時はまだ、暴力がクソとは、微塵も思っていなかった。