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    ka_shion_wr

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    ka_shion_wr

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    暇だったので書いた付き合ってる笹さに
    完全なる自己満

    見られている。かれこれ数時間、ずっと。まるで獲物を狙う蛇のような、そんな瞳でひたすら見られ続けている。
    「……なに?」
    「ん?なーんにもないよ」
    流石にそこまでじっと見つめられていては、黙々と実務をこなしていたとしても居心地のいいものでは無いと目の前の男に目を向ける。じと、と訝しげな表情で見たとて、当の本刃、笹貫は尚も頬杖をついたまま白々しく笑って返事をするだけだ。
    「ずっと見てるの、さすがに気付くしそろそろ穴が開きそう。というか近侍の仕事してよ」
    「してるしてる。大切な主をしっかり見守るのも近侍サマのお仕事ってね」
    「あのねぇ…」
    書類の積み上げられた机の向かい側から相も変わらず胡散臭い笑みでひらひらと手を振る笹貫に思わず頭を抱えそうになる。いつもであれば近侍を頼んだとしても文句一つ言わず、しっかりと与えられた執務を淡々とこなしてくれるはずなのに、今日はずっとこの調子だ。
    こういう時の笹貫はタチが悪い、経験則だが。
    「なんか拗ねてるでしょ」
    「そう思っちゃう?」
    「思っちゃうねぇ」
    口元ではニコニコとした笑みを浮かべながらも、眉がぴくりと動いたことを見逃さない。言葉巧みに躱すと見せかけて、案外そういうところは下手くそだなと思ってしまったのは内緒だ。
    「…私の笹貫」
    「へ」
    「何を拗ねているのか知らないけれど、貴方は私の笹貫でしょ」
    違うの?と、真っ直ぐ見つめて問えば突然そんなことを言われると思っていなかった笹貫はきょとん、とした顔で固まっている。かと思えば、言葉を理解した途端に先程までの貼り付けたような笑みが嘘のようにへにゃりと笑った。
    「たはは…うん、そう…そうだね。俺はあんたの笹貫だ」
    「分かればよろしい」
    敵わないなぁ、とこぼす笹貫に伊達に審神者やってないよ、と返せば両手を上げて降参のポーズをしてみせる。
    「そっち。隣いっていい?」
    「ちゃんと仕事してくれるならね」
    座布団と一緒にいそいそと移動してくる笹貫の為に少しだけ横にズレる。とすん、と隣に胡座をかいて座った笹貫はそのままぐいと身体を寄せてくる。
    「ちょっと、仕事」
    「んー。ねぇ、理由きかないの?」
    「笹貫が話したいなら」
    「やさしいよね、そゆとこ」
    普通だと思うけれど、と返せば笹貫は尚も頭をぐりぐりと肩へ押し付けてくる。まるで甘えん坊の大型犬だ。
    暫くそうしていたかと思えば笹貫からぽそりと「演練」と言葉が紡がれる。
    「ん?」
    「昨日の演練でさ。最後に会った相手の審神者と仲良さそ~に話してたでしょ」
    笹貫の言う審神者は、よく定例会議でも一緒になる言わば同期の審神者だ。演練で会うことが久しかった為に思わず長話はしてしまったが、ただそれだけのこと。異性の審神者ではあるが、相手は既婚者だしそういった目で見たことも見られたこともないはずだ。
    「笹貫なりのヤキモチってやつ?」
    「んー。ヤキモチってやつとは違うかな」
    「じゃあ」
    「なんとなくさ、思っちゃったんだよね。ニンゲンとカミサマの違いってやつ」
    「なにそれ」
    「俺とあんたじゃ、生きる時間も何もかも違うんだなぁって考えたらセンチメンタル?ってやつになっちゃったワケ」
    そう言って自嘲気味に笑うこのカミサマは存外面倒くさいというか女々しいというか。いや、優しすぎるのかもしれない。
    結局は、人間同士で楽しく話す姿を見て自分よりも誰か違う人間と幸せになった方が真っ当な人生を送れるとでも思ってしまったのだろう。全くもって自分勝手な思い込みだ。
    「はぁ…馬鹿なの?」
    「わ、カミサマに馬鹿って言った」
    「だって馬鹿じゃない。私の気持ちまで勝手に決めつけたでしょ」
    「あー…いや…うん、まぁ…」
    「決めつけないでよ。私は審神者になった時点で真っ当な人生を送れるなんて思ってもないし、生半可な気持ちで貴方と恋仲になったりしない」
    寄りかかっていた身体をぐい、と離して真っ直ぐに瞳を見つめる。笹貫の瞳は最初こそ揺らいでいたものの言葉を受け止めればゆっくりと細められた。
    「私は審神者であり貴方の主でもあるし、貴方とこの先の人生を歩むと決めたの、死ぬまで。それを勝手に思い込んで、決め付けたりしないで。それとも笹貫は私のことを捨てるつもりで契りを結んだの?」
    むす、と眉間に皺を寄せて見遣れば笹貫は分かりやすく焦ったように手を左右に振る。
    「ちがうちがう、そんなことしないって。っていうか俺があんたのこと捨てられるわけないし」
    「じゃあ金輪際そういうこと考えるの禁止。もう一度言うけれど、貴方は私の笹貫なの。同時に、私も貴方のもの。わかった?」
    そう問えばほんの少しだけたじろいだ笹貫はバツが悪そうに苦笑しながらも小さく、はい、と返事をする。なら良し、と頭をわしゃわしゃと撫でてやれば気恥ずかしそうにする様子が可愛くて笑ってしまう。
    「笹貫は優しすぎるよ」
    「なんでそう思うの?」
    「人間だとかカミサマだとか。そういうの言うくらいならカミサマらしく私のこと、いっそ隠しちゃえばいいじゃない」
    へらりと何となしにそう呟いた途端に笹貫の纏う空気がピリ、と変わる。まずいと思った時には既に遅く、どさりとその場に押し倒されていた。視界には天井と、どこか苛立ちを孕んだ笹貫の表情。
    「さ、笹貫」
    「冗談でもさ、そういうこと言わない方がいいよ。あんたを俺のモノにしようって決めた時も、昨日も、今もずーっと。俺だけの場所に隠して閉じ込めて暴いて犯して、俺しか見えなくしてやりたいって思ってるのにさ」
    獲物を狙う、蛇の瞳の如く。じっとりと見つめられ低く囁く声がじわじわと鼓膜を震わせる。押し倒された拍子に掴まれた腕にぎり、と力が込められて少しだけ痛い。
    「カミサマってね、すっごく欲深いんだ」
    細められた瞳、ゆっくりと近付いてくる唇。あぁ、これは呑み込まれると呑気な思いを浮かべた瞬間。
    「主、失礼します。先日の遠征の件で聞きたいことがあるので……す、が……」
    「「あっ……」」
    なんともいいタイミングで、長谷部が資料を片手に部屋へ入ってきた。そういえば障子、開けっ放しだったなとどこか他人事のように思っていると固まった長谷部の手から資料が落ちてはらりはらりと散らばっていくのが見える。
    「えーっと…ごめんね、長谷部…」
    「たはは…俺、もしかしてヤバイ状況?」


    このあと長谷部の怒号が本丸中に響き渡り笹貫が手入れ部屋行きになったのは、言うまでもない。
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    ka_shion_wr

    DONE清麿が舌ピしてたらいいなっていう完全なる癖のお話。舌ピはいいぞ。
    私は舌ピ開けたとき3日目には普通にご飯食べてましたが麿水ちゃんには2週間ほど我慢して頂きました。我慢してすれ違っちゃう麿水ちゃんは可愛いですね、ワハハ(?)

    ※シリアスになると見せ掛けて、ちょっとだけいかがわしいので注意。
    「……無理だ…」
    自室の机に突っ伏して魂が抜けたようにぼそりと水心子は呟く。
    何が無理かと言えば、ここ二週間ほど清麿からキスをされていない。いや、正確にいえばキスどころか手も繋いでいないし触れられてもいないし、もちろんセックスだってしていない。
    普段であれば清麿から手を繋いできたり、抱き締めてきたり。あるいは自ら甘えるように抱き着いたりキスをしたり。そして夜になれば一緒の布団に入り、そういう雰囲気になれば甘い夜を過ごす。けれどこの二週間はそういったことが全くと言っていいほどにない。出陣や非番だって被っているし、共に過ごす時間だってある。それなのに、だ。
    一週間程前に手を繋ごうとすれば慌てたように手を離され、三日程前には、痺れを切らしてキスがしたいと強請ったところ、「ごめんね」と一言やんわりと断られてしまう始末。
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    ka_shion_wr

    PASTpixivに載せたものです
    とある本丸の4振りがシメパフェに憧れて食べに行くお話。

    麿水、雲雨ですがCP要素は薄いです。
    直接的な会話はないですが審神者が出てきます。
    ※独自本丸設定強め

    ~補足~
    弊本丸の麿水、雨雲の4振りはとても仲良し
    水心子がわりと懐っこい個体
    独自の呼び方で名前を呼んでいます
    冬の夜、甘さを求め「しめぱふぇを食べに行きたい」

    こたつに潜り込み暖を取りながら真剣かつキラキラとした眼差しで端末を見つめて唐突に呟くのは水心子正秀だ。
    「しめぱふぇ…?パフェって、よく長船のみんながおやつに作ってくれるアレ?」
    向かい側に座り手持ち無沙汰とばかりに卓の上のみかんを重ねていた村雲江は首を傾げる。その言葉に水心子は持っていた端末をずい、と近付けてみせた。
    「あぁ。最近万屋街にしめぱふぇ専門店というものが出来たらしい。我が本丸の燭台切達が作るぱふぇも勿論美しく見事だが、このしめぱふぇというものはまた違った美しさがあるんだ」
    村雲は差し出された端末を受け取り視線を落とす。そこには最近万屋街にオープンしたと話題になっている刀剣男士向けの記事。それをスクロールしていけば、確かに普段見るものとはまた違った華やかさのパフェが顔を並ばせていた。
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