カルボナーラ大食漢だけど、食に興味のない、そこに有るものを食べる。そんなイメージだったのに、うちに遊びに来た薫はうちの母さんの手料理を目の前に瞳をキラキラと輝かせて、それはもうめちゃくちゃ美味そうに次々と口にほおばった。
「そんなに美味かった?」
昼休み、パンをかじるつまらなさそうな表情の薫に聞く。その言葉には少し羨ましいという気持ちが入っていた。薫をあんな顔にさせられるなんて滅多にない。それこそ、スケートボード位。だからなんとなく、俺も料理を作ったらあんな顔してくれるのかなと思ってた。
「いつもコンビニ弁当とか、総菜とか、そんなのばっかだから。人が作ってくれたの美味そうだなって思って。めっちゃ美味かったし。人と食べるの久しぶりで、なんかよかった。」
1664