たったそれだけ。「フィナ、これ。酒場のマスターから」
「あら、手間をかけさせたわね。ありがとうリンユウ助かるわ」
リンユウから手紙を受け取ったフィナは、その手紙の質感ですぐに送り主を察し無意識にほっとたため息をついた。
ふと視線を感じ顔を上げると、どこかワクワクするような目でフィナを見つめているリンユウと目が合う。素直で可愛いと思いながらも、フィナは手紙を口元に当ててちょっぴりいじわるをすることにした。
「中は見てないのね」
「まさか、大切な人からのお手紙でしょう? 覗き見なんてしませんっ! ……中身は気になるけれど」
「ふふ、可愛い。でも残念、見せてあげなーい」
「あぁもうフィナったら、また揶揄って……!」
普通の女の子のように振る舞うのは、結構大変だ。
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