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    heartyou_irir

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    heartyou_irir

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    ジャクレオの媚薬エロ(レオナ編)の導入2。まだエロなし。次からR-18。頑張るぞ~!

    カラダが熱くてしょうがない【レオナ編】2目を開けると、そこには見慣れた風景が広がっていた。両脇を芝生に囲まれたタイル道。背後には真っ暗なガラス張りの植物園がそびえ立ち、空には大きな丸い月と満天の星々が浮かんでいる。

    「戻って、きたのか?」

    ジャックはそう、ぽつりと呟く。視界に映るのは慣れ親しんだ学園の一角だ。白で塗り固められたあの部屋は影も形もない。

    今が何時かは分からないが、空を見る限り、あの部屋に閉じ込められてからそれほど時間は経っていないのだろう。ジャックは得体の知れない緊張感からようやく解放され、ふう、と一息吐く。

    と、その時だった。突然腕が強い力で掴まれ、ジャックはハッと息を飲み、慌てて後ろを振り返った。

    「っ、レオナ先輩!?」

    ヒュッと喉がか細い音をたてる。振り返ると同時に視界に飛び込んできたのは、苦し気に顔を歪めながら肩で息をするレオナの姿だった。喘ぐレオナの手は胸元のシャツをぐしゃぐしゃになるほど強く握りしめている。

    「早く戻るぞ。……少しヤバイかもしれない」
    「えっ!?」

    眉間に皺を寄せたレオナの顔は暗がりでよく見えないが、少し肌が上気しているように見える。息も荒い。ジャックの頭の中に恐ろしい考えがよぎる。
    毒。やはりあれは毒だったのだ。

    ジャックはうるさく騒ぎ始めた心臓を必死に抑え込みながらぐっと口を引き結び、苦しそうに肩を上下するレオナを支えようと腕を回す。

    「このまま保健室に行って、当直の先生に診てもらいましょう。もしそれでダメそうだったらクルーウェル先生に連絡とってもらって、それで来てもらって……」
    「……いらねぇ。寮に戻る」
    「レオナ先輩っ!!」

    けれどレオナはそんなジャックの提案を跳ねのけてしまう。支えていた手も押し返され、ジャックはどうすればいいか分からずそのままうろうろと手を彷徨わせる。

    レオナはそんなジャックを横目でチラリと見やるが、それもすぐに正面へ戻され、ジャックを置いて歩き出してしまった。一歩、また一歩と地面を擦るように進む足取りは平素と比べると随分と遅い。

    「レオナ先輩……」

    その後ろ姿を見て、ジャックはレオナの名前を呼ぶことしかできなかった。時折ふらつく背中に強引にでも保健室に連れていきたい気持ちがこみ上げるが、今のレオナに無理強いすることもできず、結局ジャックはなにかあったらすぐに手を伸ばせるようにと側に寄り添うように後を追いかけた。



    ようやくレオナの部屋が見えてきた。結局レオナは最後までジャックの手を借りることはなく、自分の力だけで歩ききった。夜も遅いこともあり、道中他の誰とも出会わなかったのは不幸中の幸いだろう。

    肩を荒げる後ろ姿が寮長室の扉に手をかける。ここまで来ればひとまずは安心だ。ジャックはその姿を見て、来た道を引き返そうとした。

    「俺やっぱり先生を連れてきますよ。レオナ先輩はこのまま部屋で休んでてくださ……うわっ!?」

    キィ、と扉が薄く開くと同時に、突然ジャックはそのまま腕を掴まれレオナに部屋の中に引きずり込まれた。どこにそんな力が残っていたのか、ジャックは背中を扉に押し付けられる形でレオナの腕に閉じ込められる。

    「レオナ……先輩?」

    前髪のせいで顔に影ができてしまいレオナの表情は分からないが、それでもやはり肩はまだ大きく上下に動いている。こうして立っているだけでも苦しいのだろう。
    ジャックはそっと手を伸ばし、俯いていたレオナの頬を優しく包んだ。手のひらからは火照った温度が伝わってくる。もしかしたら熱もあるのかもしれない。

    ジャックの手に支えられるようにのろのろと上げられたレオナの瞳がジャックを捉えた。薄く膜を張ったそこはゆらゆらと揺らめいている。荒く息を吐き出す薄く開いた唇は真っ赤に色づいている。
    そんなレオナに、ジャックは安心させるように微笑んだ。

    「大丈夫です。すぐに先生を連れて戻ってきます。少ししんどいかもしれませんが、もう少しだけ待っててください」

    親指の腹で赤く染まった目尻を宥めるように撫でると、レオナは目を伏せながらその手に擦り寄ってきた。今や頬どころか吐き出す息までも熱い。いったいどれほどの熱がその身の内で暴れているのか。心配は募るばかりだ。

    「いい。いらねぇ……」

    けれどレオナはジャックの言葉に首をふるふると弱弱しく横に振る。

    「っ、ダメですよ!絶対にすぐに戻ってきますから、だから、もう少しだけ待っててください。ね?」

    本音を言えば、ジャックとてここから離れたくはないのだ。先生を連れてくるためとはいえ、こんな状態のレオナを一人で置いていくなんて。ずっと側にいたい。安心させてあげたい。少しでも苦しみが和らぐように、自分にできることはなんだってしてあげたい。

    しかし、今レオナに一番必要なのは毒を治す治療薬だ。そのためには大人の力を借りるしかない。ジャックも必死だった。つい語気が荒くなってしまう。
    けれどそれに怖気づくレオナではなかった。むしろ慌てるジャックを制するように緑の瞳が鋭く光る。そして、レオナの唇が明確な意志を持って開かれる。

    「催淫剤だ」
    「さいいん……?」

    耳に入って来た言葉を上手く処理できず、ジャックは首を傾げながら今しがたレオナが言った言葉を繰り返した。けれど、それもすぐにボッと顔を赤らめるはめになる。

    「分かりやすく言うと媚薬だな」
    「びやっ!?」

    ようやく脳内の認識と結びついた瞬間、ジャックは肩どころか耳や尻尾まで全身を跳ねさせて大声を上げた。媚薬。毒ではなく、媚薬。
    確かにそれならば苦しそうに息を乱したり、全身の熱が上がったことにも説明がつく。潤んだ瞳もよく見れば煽情的で、熱い息を吐き出す唇も色っぽい。それは、まるで情事の時のような。

    そこまで考えて、ジャックは慌てて首を振る。毒ではなかったが、一大事であることに変わりはない。命の危機はとりあえず回避できそうだが、レオナが辛いことには変わりはないのだ。

    「あ、俺、やっぱ先生呼んできます……っ!?」

    そこまで口にしたところで、ジャックはそれ以上何も言えなくなってしまった。ドアに背中を預けたジャックにレオナが身を寄せてきたからだ。腕が、胸が、太ももが、足が、熱を持った体が、全身でジャックを抑え込む。

    「ジャック……」

    ごり、と固いものが下肢に押し付けられ、それが何なのか理解してしまったジャックはゴクリと生唾を飲みこんだ。

    「なァ、熱いんだ。……お前がどうにかしてくれよ」

    熱を宿した深緑が、まるで救いを求めるように、いやらしくすがめられる。

    「あ、レオナ、せんぱっ」

    は、と吐かれた息は、真っ赤な唇に飲まれて消えた。

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