「休日」 七伊***
「伊地知さん、いい加減休んでください」
そう言ったのは、目の下に濃い隈を作った新田明だった。
自分だって疲れ切った顔をしているのに、心配そうに眉を下げてこちらを見上げている。
「いえ、私は大丈夫ですから」
「そうは見えません。こっちは平気ですから、明日は一日休んでください」
新田は、まるで縋りつくように伊地知の両腕を掴んだ。
『私は後回しで良いので、皆さんから先に休んでください』
そう言おうとしたが、その言葉が伊地知の喉から先に出てくることはなかった。
「今一番困るのは、伊地知さんに倒れられることなんです」
「しかし……」
「お願いします、伊地知さん。そんな顔色でいられたら、こっちも気になって仕事にならないっスよ」
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