けんきよ仄暗えちち部屋の扉がコンコンとノックされる。
こんな時間にここに来る人間は一人しかいない。わかっているけど、「はい…」と返事をする。扉が静かに開いて、サラサラの金の髪と、整えられた彫像のような見目麗しい相貌が現れる。
「な…七海、せん、ぱぃ…」
予想通りだ。そしてきっといつもと同じセリフを先輩は言うのだ。
「伊地知くん、今からいいですか?」
あぁ、やっぱり。
「は…はい…」
僕の答えはイエスしかない。
なぜなら、今から僕は七海先輩に抱かれるのだから。
「…っア!あぁっ♡な、なみ…せん、ぱ…あっ♡んぅ♡あぁン…♡」
「はァ…、伊地知くん…、っあ♡かわいい…かわいいですよ…、ん…♡えらいですね、ちゃんと奥まで咥えこんで…締め付けて…はぁ♡きもち…いぃ…」
「ふぁ♡あぁっ♡ぼ、僕も…きもちい…ですぅ」
「もっと…気持ちよく…なりましょうね♡」
「あっ!あっ!せんぱ…ぃ!そんなっ…ああっ!ひゃん♡はげし…んぁっ♡ひぃ♡んん〜♡ダメっ!イクぅ〜♡イッちゃ…ぅ」
「はぁ♡いっぱい、イッて…いいです、よっ♡ぅあ♡ハァ…私もっ…イキそ…」
いつの頃からだろう。こうして僕が七海先輩に抱かれるようになったのは。
そうだ…。あの時…。
灰原先輩が亡くなり…、夏油先輩が離反してしばらくたったあと…。
僕は任務中に怪我をしてしまったんだ。怪我自体はたいしたことなくて、でも寮に戻った時、包帯をぐるぐると頭に巻いた僕を見つけた七海先輩の顔は真っ青に青ざめて、廊下だったのにぎゅうといきなり抱きしめられたんだったっけ。
そしてその日、初めて僕は七海先輩に抱かれた。
七海先輩は、怪我したところを労るように優しく撫でながら、でも、激しい情欲の炎を目の奥に燃やして、
「君を失うのが…、怖いんです。とてつもなく恐ろしい…。君が生きていると、私に実感させてください」
とおっしゃって、私の身体にすがりついてこられた。そんな、頑是無い子どものような先輩を初めて見た僕は、心の底から嬉しさと喜びと愛おしさが湧き上がってきて、この人にすべてを捧げたいと思ったのだ。
だから今日も、僕は七海先輩に抱かれる。それが先輩の望みでもあり、僕の望みでもあるから。
すべてをこの人に。
そしてこの人のすべても僕のものに。
「あぁん♡七海、せんぱぁぃ…せんぱぃのっ…ぜんぶっ、僕にくださぃ…♡」
「はぁ♡あげますよ、君のナカに…ぜんぶ…」
こうして僕らの秘密の逢瀬は今日も続いていくのだろう。いつか、夜が明けるまで。 了