お好みは?「うどん屋さんに行った時、どのうどんを頼みますか?」
テレビに目をやると美味しそうなうどんとその横にトッピングが映っていた。
「美味しそう…」
「確かに美味しそうですね」
朝の情報番組がテレビから流れて思わず声が出た伊地知。小さな呟きを拾って七海が答えた。
「すみません…聞こえてましたか」
伊地知は聞かれてたことを知ると恥ずかしそうに手で顔を隠した。
「伊地知君、顔を隠さないで」
「いや…ちょっと待ってください…」
今日はお互いゆっくりの出勤で少しだけソファーに座ってテレビを眺めていた。そこに流れてきたうどんの特集。伊地知の大好物のうどんに言葉が気が付かない内に漏れてしまう。子供みたいに恥ずかしい。頑なに顔を隠す伊地知を諦めて七海は横からそっと抱きしめた。
1389