はじまり ヒュース・クローニン。
新人研修で時枝が個別で任された相手は、新人の中で飛びぬけている彼だった。
「よろしくね」
時枝は右手を差し出す。ヒュースはその行動にきょとんとした。
「挨拶の握手だよ」
カナダでだってあったであろう行為に時枝の方が首を軽く傾けて困った顔をしてしまう。
「ああ、頼む」
納得がいったとでも言うかのように、ヒュースは右手を差し出し握手を交えた。
それから二人は戦闘訓練用の個室に入り、時枝は一通り装置の説明を行っていく。ヒュースはそれに頷き、「なるほど、大体わかった」と返事をした。
「それじゃあ、実際にやってみようか」
「ああ」
時枝の指示を聞きながら、ヒュースはたどたどしくもモニターを操作していく。時枝はそれを確認しながらヒュースの横顔を見て、烏丸先輩側の顔してる、と思った。
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