寂しさを埋める「好きだよ、カゲ」
笑顔を貼り付けた犬飼がそう囁く。けれどもその裏に隠された劣情と寂しいを影浦だけが知っている……。
――うざい。煩わしい。
犬飼が傍にいるだけで突き刺さるその感情を、表情に出せば少しは可愛げがあるのものの、と苛立ちを感じさせるのは影浦の感情受診体質によるものだ。
そのくせ犬飼を自ら遠ざける事が出来ないのは、その感情が自分にもあるからなのか。影浦は憂鬱になる感覚と、苛立ちに苛まれながら、犬飼からの行為を受け入れる事しかできなかった。
「可愛い」
犬飼は笑いながら影浦の顔に口づけを施していく。
――うぜぇ。
それでもなお、犬飼から刺さる感情に影浦は疲弊しかない。
「お、まえ、何がそんなに……」
犬飼はそれ以上影浦に言わせないように唇を奪う。影浦の舌を器用に招き入れ舌の裏を舐め、影浦を犯していく犬飼。口からの息継ぎすら奪うように犯される口内に影浦は、頭がぼやける。それでもなお突き刺さる感情が煩くて、影浦は犬飼の頭を掻き抱いた。