さんぴの導入。「ハナビくん⁉︎」
部屋から飛び出したハナビは、廊下にメーテルが居るのを見てその腕を掴んだ。
「どこに……!」
ハナビは何も言わない。すぐ隣の部屋のドアを開けるとメーテルを引き込んだ。
「タイジュ!」
ハナビの視線の先ではタイジュがベッドでぐったりと力なく横になっていた。駆け寄ると、ゆっくりとハナビを見た。ハナビの後ろで事態を把握しようと忙しなく目をあちこちに向けるメーテルが居た。
「……ハナビくん……」
ハナビはホッとしてベッドに腰掛けた。
「ハナビくん……ハナビくん、こっちに……」
伸ばされた手は、ハナビではなくメーテルに向かっていた。
「ハナビくん……」
「……え?」
メーテルはタイジュを見た。悲しそうに眉を寄せ、涙を流している。ハナビは全く視界に入っていないのではと思う程の、タイジュの縋るようなメーテルへの態度。
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