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    sangurai3

    かなり前に成人済。ダイ大熱突然再燃。ポップが好き。
    CPもの、健全、明暗、軽重、何でもありのためご注意ください。
    妄想メモ投げ捨てアカウントのつもりが割と完成品が増えてきました。

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    sangurai3

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    ダイ大二次創作 竜騎衆戦後テラン城に向かうヒュンケルとポップを妄想 夢見成分過多
    鎧化状態でどうやって薬草取り出すんでしょうか…ポッケとかあるのかな

    青年よひたすらに駆けろ死闘の末に心を交わした友の亡骸に哀悼の意を捧げると、ヒュンケルは正面に立つポップに声をかけた。
    「ダイの元へ急ごう。歩けるか」
    「お、おう」
    健気に応えはするもののその足取りはひどく重い。掴まれとヒュンケルが手を差し出すと少し驚いたような顔をしながらも存外素直に従った。
    ふらつく体を支えようと脇腹に手を当てると、うっと鈍い声をあげる。肋か内臓にもダメージを負っているのか。ヒュンケルが駆けつける以前から、かなりひどくいたぶられていたようだ。
    瞳には強い光が灯っているが実際のところ立っているのがやっとという状態だろう。無理も無い、彼1人で相手取れる敵では無かったのだ。命があっただけ幸いと言えよう。
    弟弟子を救うことができた安堵と本来後衛である魔法使いにここまでの傷を負わせてしまった後悔とが、ヒュンケルの胸の内で交錯する。
    僅かに残っていた薬草を取り出してポップに渡そうとしたが、お前が使え、おれが回復したって今は戦力にならねえと拒まれた。
    単なる意地ではなくこの後を見越した冷静な意見であると認めたうえで、ヒュンケルは手持ちの薬草を6対4ほどに分けた。
    「その体では支えるにも障りがある。オレが多い方を取るから残りはお前が使え。でなければここに置いていく」
    渋々とポップは薬草を受け取った。口に含めばお互い少々体力が回復したが全快にはほど遠い。それでも気力を振り絞り2人は歩き出す。目指すはダイが匿われているテラン城だ。
    「着くまでに状況を説明してくれ。事がここに至った経緯を知りたい」
    ポップは頷き、ヒュンケル達がパプニカを離れてからのこれまでを説明する。
    マァムの一時戦線離脱、武器調達のために訪れたベンガーナでの戦闘、テランで教えられた竜の騎士の伝説、そしてバランとの邂逅。
    ヒュンケルもこの場に辿り着くまでに見知ったことを手短にポップに伝える。ラーハルトから聞いたバランの過去に話が及ぶと、「ひでえな」とポップはぽつり呟いた。

    荒れ地を抜け森の中を進む。険しい道でもないのに息が上がる。
    お互いに満身創痍だ。こんな状態でバランに対峙できるのか。そもそも間に合うのか。ヒュンケルの顔に焦りが浮かぶ。
    「ヒュ、ヒュンケル。ちょっと止まってくれ」
    荒い息の下ポップが訴えてくる。傷が痛むのだろうか。自身も呼吸を整えるため立ち止まる。
    「どうした。きついようなら後から来るか」
    この場に置いていくことに不安はあるがこれ以上の無理もさせたくない。いっそここで待っていろと言いたくなるが、ダイが奪い去られるかも知れないこの状況では聞き入れられないだろう。
    違う、と一言返し、ポップは深く息を吸って吐いた。すうっと目を細めて集中力を高める。途端、全身が淡い光に包み込まれた
    「高くは無理だけど、ギリギリ飛べる。歩くよりは…早えだろ」
    後ろから押されるような、前から引っ張られるような。あまり経験したことの無い浮遊感とスピードにヒュンケルは瞠目した。
    (トベルーラは先ほども見たが、既にここまでコントロールできるのか)
    推進力に特化した飛翔呪文によって2人の体は風の速さで木々の間を抜ける。
    魔法力の消費は少ないがバランスを取るのが難しい呪文だと聞く。短期間で習得しただけでも驚愕ものだがこれほど使いこなしているとは。
    思い返せば最初に敵同士として相まみえて以降、再会するたびにポップは新しい呪文を会得していた。
    先ほどまでいた荒れ地の様子を思い出す。大きく円形に押し潰された地面とその周囲に斃れていた数頭の竜。あの光景もポップの呪文によるものに違いない。
    クロコダインから急成長するダイの姿に「男子三日会わざれば-」と実感したと聞いていたが、今ヒュンケルの横にある弟弟子の成長も目を見張るものがある。
    うかうかしてはいられないな、とヒュンケルは心の中で密かに微笑む。
    ほんの僅か回復した魔法力を限界まで行使してダイのいる城を一心に目指すポップ。その横顔は初めて出会った頃より男らしく引き締まったように見える。
    (後ろに庇うべき後輩だと思えるのも今のうちかもしれん)
    魔王軍軍団長に対抗するにはまだ実力不足は否めないが、いずれこの少年も世界に比類なき魔法使いへと成長するのだろう。何と言ってもあの師が弟子として認めた男なのだから。

    「あー…悪りぃ、そろそろ限界かも」
    もう少しで森を抜けられるというところで速度がゆるゆると落ちていく。元より魔法力はほぼ空の状態だったのだ。ここまで保たせただけでも大したものだ。
    「構わん。おかげで少しは疲れが取れた。楽にしろ」
    ヒュンケルからの思わぬ言葉にポップは目を大きく見開き、へらっと笑った。
    城にずいぶん近づけた。こちら側の戦力は現在クロコダイン1人のはず。無事でいてくれれば良いが。
    前方の空を突然光の矢が縦に裂いた。天から降り注ぐ稲妻の呪文、ライデイン。
    「バラン…!」
    ポップの顔が緊張に強張る。既に戦闘は始まっているようだ。
    「走るぞ」
    ポップの体を強く支え、足を速める。
    自分の言葉がどこまでバランに届くかは分からない。しかし彼にこれ以上無意味な殺戮を繰り返させるわけにはいかないとヒュンケルは強く思う。
    (救ってみせる。仲間も、バランも)
    過去の過ちに囚われ凝り固まったヒュンケルの心を濯いでくれたクロコダイン。犯した大罪を正義のために闘うことで償えと裁いてくれたレオナ姫。
    アバンの心と技を正しく受け継ぎ進むべき道を指し示してくれたダイ。その父であり過去の自分と同じく哀しみと憎しみに囚われたままのバラン。
    そして友のためたった1人強敵に立ち向かい、今もただダイのために傷だらけの体で戦地に赴かんとしているポップ。
    彼等に報いるため、自身とラーハルトの想いをバランに届けるため、ヒュンケルは必死に走った。
    再び雷光が空を走る。木々の隙間から立ち竦むレオナ姫の姿が見えた。
    どうか間に合ってくれと祈りながら、渾身の力を込めてヒュンケルは友に託された槍を稲妻めがけて放った。
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