清河のお肉 聶懐桑の知る江澄という男は、面倒くさい、を体現している。
本人に言ったことは無いし、言えば確実に紫電で打たれてしまうため今後も口に出さず胸に秘めておくつもりだが、おそらく十人に聞けば七人は頷くだろう。残りの三人は熱心な信者、もしくは江澄に懸想している者だ。
周りに厳しく、己にはもっと厳しい。
一人になりたがる癖に、寂しがり屋で意地っ張り。
かといって構いすぎると逆に距離を置かれて、ある程度心を開くが一線を超えると一瞬で遠い他人となる。
酒に酔えば自己否定ばかり、怪我をしても持ち前の修為の高さでなんとかしてしまい誰にも言わない。何故それを懐桑が知っているかは秘密だ、紫電で打たれるつもりはない。
素直じゃない、とても不器用、理想が高い、矜恃も高い、そのくせ自己評価が格段に低い。
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