合宿マモ伊 おはよう「…ッ、?!」
危ない。もう少しで大声を出すところだった。でも許して欲しい。起きたら目の前にマモンの寝顔があったんだから。
なんで。なんで目の前にマモンがいるのだろうか。昨晩の自分の行動を必死に辿る。確か昨日はルシファーが人間界のお酒を持ってきてくれて。そのままリビングでみんなで飲もうってなって。私はお酒を、みんなはデモナスを飲んでて。そこからどうなったんだっけ。
そうだそうだ。マモンの部屋で二次会しようってなって、そのまま2人で飲み明かしたはず。そうっと目線だけをソファあたりに移せば、飲んだくれた後の缶やらビンやらが転がっていた。
よし。解決。
せっかくマモンよりも先に起きたことだし、しばらく彼の寝顔を見ることにする。
「ん……」
もぞもぞと身体が動いているからそのうち起きてきそうである。伏せられた長いまつ毛。穏やかな呼吸のリズム。端正な鼻と口。息を詰めてじいっと見入っていた。
何十分見ていたかわからないけれど、不意に長いまつ毛が動いて、瑠璃色の目が見える。彼の目がこちらを捉えたことを確認して、朝の挨拶をした。
「おはよ、マモン」
「おー、おはよう、伊吹」
今日は良い一日になりそうである。