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    t_imukan

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    サタ伊

    授業前のサタいぶ!走る。思いっきり廊下を蹴って走る。これくらい全速力で走っていたらルシファーあたりに怒られそうだけど、それより授業に遅れる方が嫌だから許して欲しい。
    扉を開けて、教室の中へと滑り込み、空いていた座席に腰を下ろす。壁にかかっている時計を睨めば授業開始3分前だった。
    「普通に間に合った……」
    ホッとしたからだろうか、疲れが身体にどっと押し寄せている気がする。汗ばんだ額をハンカチで拭きながら、教室をくるりと一瞥した。前の方の座席に座るのも好きだけど、後ろに座って教室の様子を眺めるのも好きだからだ。
    そうしていると、斜め前の方に座っているサラリとした金髪の男が目に止まる。サタンだ。
    黙々とページを捲っているから本を読んでいるんだろうと思う。長くて端正な指が、1ページ1ページと本を捲っている。相変わらずどこから見ても、何をしていても様になる悪魔だ。ほぅっと息を吐き出しながら、じいっと彼の方を見つめていた。
    不意に、サタンが本に栞を挟んでパタンと閉じた。あれ、おかしいな。授業開始まではもう少し時間があると思うんだけど。時間を確認しようとD.D.D.を出した瞬間、チャットの通知で端末が震えた。思わず落としそうになったのをすんでのところでキャッチして、画面を確認する。
    『さっき俺のこと、見てたよね?』というメッセージに、立て続けに送られてくる投げキッスのスタンプ。顔がかあっと燃えるように熱い。思わず彼の方へと顔を向ければ、頬杖をついて上目遣いでこちらを見つめているサタンと目が合う。揶揄うような、それでいて愛おしそうな光を滲ませながら、クツクツと肩を震わせていた。
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