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    aonekoya_tama

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    aonekoya_tama

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    フリー素材です #無性別博士
    股の間はどっちもない。一生独り身確定だなって諦めていたら、二次性徴で性分化する性質であり、未分化なだけだと判明した。

    一定時期、一定量の相手の体液を経口投与でその反対の性別になるのだと。

    無性別博士 ドクターが微熱状態になってから72時間が経過したとサーベイランスマシンが告げてきたのは、その日の午後ことだった。
     放置することも考えたが、長引くと作戦行動に支障が出るかもしれない。賢いドクターは観念して主治医であるケルシーの診察を受けた。
     いくつかの検査後、彼女は言った。問題ないと。
    「性分化が始まっているだけだ」
    「せいぶんか」
     賢いドクターも咄嗟にオウム返しをしてしまった。もちろん、知識はある。無性で産まれた生物が、男性性か女性性を獲得することだ。
     だが、それが自分の身に起こるとなると、まったく、びっくりするような事態であった。
    「だ……だから自分は股ぐらに穴も棒もなかったのか! 一生独り身で生きていくものだと諦めていた……ッ」
     青天の霹靂に打たれているドクターをケルシーはいつもの目で見下ろした。
    「最近、キスをしただろう」
    「フェ」
     話の流れがわからず驚愕をあらわにしたドクターを見て「そういえばコイツ記憶喪失だったな」とケルシー先生も思い出したようだ。
    「君の性は一部のエーギルと同じような仕様をしていた」
     カルテを整理しながら教えてくださる。
    「性分化した個体の体液を経口接種することで、君の性分化は始まっていく。このまま接種を続ければ君の性別は確定するだろう。一度分化してしまえば戻すことはできないが、あと三日ほど放置すればキャンセルもできる」
    「キャンセル?」
    「未分化のままだ。現状維持と思っていい。発熱も治まる。ホルモン剤を飲めば君が性別を選ぶこともできる。念のため、処方しておこう」
     男性化の薬が白色、女性化の薬が黒色のパッケージに入っていると補足をうける。
    「ちなみに、両方飲んだらどうなるの?」
    「両性を獲得する」
    「棒が生えて穴があく それ尿道どっちに通すんだ」
     ケルシー先生は知ったことかという顔をした。
    「試してみるか?」
    「ひえええそんな……ッ」
     好奇心に負けそうな自分が怖い。ドクターは多忙なケルシー先生の時間をそれ以上奪ってしまう前に、医療部を後にした。なんにせよ、健康体ではあるのだ。
     キスしたか、だって?
     心当たりならある。
     無意識にフェイスガードの唇のあたりをなぞりながら歩くドクターは、廊下の向こうから、まさにその人がやってきていることを、まだ知らない。
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