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    yukiiro_tofu

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    小説家たきじと編集者なおやの現代転生パロのシナリオ(途中まで)。進捗あやしいです。

    小説家たきじと編集者なおやの現代転生パロシナリオ「次に会うときは桜の下で」

    時代設定;1995~2000年の間 1998年頃

    □都内 喫茶店 2月 昼

     都内(阿佐ヶ谷あたり?)にある喫茶店(星野珈琲や上島珈琲、ルノアールのような落ち着いた雰囲気の店)。窓際のカウンターテーブルの一番奥に座っている多喜二。隣の椅子に鞄。テーブルには原稿(しっかり映す)とコーヒーカップ。落ち込んだ様子で座っている(やや遠景、カメラ背中側から)
     多喜二のアップ。深刻な表情から落ち込んだ表情に変化し、大きなため息。
    多喜二M「どうしたもんか…」
     原稿の上で拳を握りしめる。(原稿が原因で悩んでいるのが分かる描写で)

     多喜二、原稿を片付けようとしてカップに手が当って倒れ、コーヒーがこぼれる。原稿と鞄をよけようとしてテーブルの外にばらまいてしまう。鞄から自著の本が滑り出す。「あぁぁ…」と慌てる。
     多喜二が原稿を拾っていると通りかかった男性が手を伸ばす(片手にコーヒーを持っている)。拾った原稿を見た男性の「まさか」という声。原稿を拾いながらうつむいていた多喜二、ハッと顔をあげると、そこに居た男性は直哉だった。

    多喜二「…!な、直哉サ…」
    直哉「K.タキジ先生ですか!?」前の台詞に被って

    多喜二「…え?」
     二人が全身映るやや引きのカメラ。

     間。時間飛んで再び店内の別の席。端の2人がけテーブル席に向き合って座っている多喜二と直哉。直哉が差し出した名刺を受け取って読む多喜二。
    多喜二「○○出版…」
    直哉「編集部所属の白木(しらき)直哉と申します」
    直哉「先生が朝日新聞にて連載されている小説、拝読しております。まさかこんな場所でお会いできるとは」
     多喜二、驚きと同時に、スッと寂しげな表情で目を伏せながら
    多喜二「…俺も、驚きました」
     と言う(後からこのシーンが「転生後に再会したが直哉が前世の記憶を持たないことへの落胆」に見えるように)
    直哉「それがまさか打ち切りだなんて」
    多喜二「読んでくださっているのに申し訳ないです」
    直哉「いやそれは編集の力不足でしょう!」
    多喜二「実際読者からの反応も薄いんです。俺の力不足です」
    直哉「そんなことねぇよ!二人が池を散策するシーンなんてすごくよかったぜ…ですよ!」言い直す直哉
     思わず笑う多喜二。
    多喜二「そう言ってもらえると救われます」
    直哉「お世辞じゃない!俺…私は、毎日記事をスクラップしてるんですが、あのシーンは好きで何度も読み返すんです。死期を悟った主人公が恩人に会いに行く…その様子にぐっときたんだ」
    直哉「それなのに失踪なんて…!!」大げさなギャグっぽい描写
    直哉「しかも行方もなにもわからないまま打ち切りなんですか!?読者はどうしろってんだよ…」
     しばしの沈黙。二人の間にはコーヒーのカップから湯気が立ち上っている。
    直哉「そちらの出版社が決めたことはどうにもできない。お力になれず申し訳ない。でも…」
     直哉、多喜二をまっすぐ見ながら
    直哉「あなたの作品を待っている人がいます。ウチの社で、新しく書きませんか」
     驚く多喜二。思わず立ち上がる。
    多喜二「…!ぜひお願いします!」

    □都内 アパートの一室 多喜二の部屋 夜

     ベッドにドッと倒れ込む多喜二。多喜二の部屋。アパートの一室。12畳ほど。物書き机の上に紙と本が積み上がり、真ん中にはワープロが置かれている。PCはない。机の隣には電話台とFAX。部屋の隅のテレビは小さいブラウン管テレビ。大きな本棚(志賀直哉全集と小林多喜二全集が並んでいる)。
    多喜二「…」
     ベッドに横たわり物憂げな多喜二の顔のアップ。枕元には本(もともと置いてあった)。志賀直哉の短編集。
    [回想]
    昼間に合った直哉の様子。困り眉ではにかみながら話す様子。前世にはない表情と態度。
    [回想ここまで]
     本を手にしながら布団に顔を埋める多喜二。

    □5月 別日 多喜二の部屋 昼

     机に向かって原稿を書いている多喜二。カレンダーは5月。9日に丸がしてあり、「企画会議」と記されている。電話が鳴り取る。
    多喜二「もしもし、大館(おおだて)多喜二です。…あ、白木サン」

     カメラ、出版社側の直哉へ。
    直哉「企画書、通りましたよ!3本目のやつです」
    多喜二『本当ですか!』
    直哉「これから1話と2話を書いて頂いてそれを連載会議へ乗せるので、最初の数話分の打ち合わせしたいんですが、いつ空いてますか?」

     多喜二、カレンダーを見ながらメモを取っている。
    多喜二「俺はいつでも大丈夫です」
    直哉『では明日の14時に…ウチの社屋の場所わかります?』
    多喜二「あの喫茶店の近くでしたよね」
    直哉『えぇ。ではよろしくお願いします』

    □翌日 出版社のフロアの一角、打ち合わせスペース 夕方

     パーテーションで仕切られた場所にある2人がけソファが2つと間にデスク。丸い湯のみとその下に木製の茶敷。中身は空。窓から夕陽が差している。
     直哉、書類をまとめながら、
    直哉「では締め切りは6月1日ということで」
    多喜二「お忙しい中お時間頂きありがとうございました」
    直哉「いえ、こちらこそ」
     多喜二、荷物を持ってパーテーションから出る。続く直哉。すると他の編集者らしき男性(モブ)から声を掛けられる。
    モブ男「お、タキジ先生ですか?」
    多喜二「お世話になります」
    モブ男「白木のやつ、今回すげー張り切ってるんですよ。先生のファンだから」
    直哉「やめろ馬鹿!(モブに対し) 先生、行きましょう。送ります」
    多喜二「…」
     直哉、多喜二の背を押して急ぎ足になる。多喜二、会釈しながら場を去る。

    □車 車内 夜

     90年代のグレーのセダン。社用車。車内。シガーボックスから煙草が溢れている。
    助手席に座っている多喜二。走り始めてしばらく経っている。
    多喜二「煙草、吸うんですか?」
    直哉「あー、まぁ。これは社用車なんで俺だけじゃないですよ。先生は?」
    多喜二「俺は未成年なんで」
    直哉「は!?マジで!?」
     直哉、しばし沈黙。
    直哉「…先生は本当に才能がおありなんですね」
    多喜二「そんなことないです」
    直哉「もちろん努力もされてるでしょう。でも、その歳で連載作家なんて…。…運も才能もないとできませんよ」
     また沈黙。走っていた車が赤信号で止まる。
    多喜二「…あなたも小説を書くんでしょう」
    直哉「…、なぜ」
    多喜二「企画書と初稿の添削、"小説を書く人"のものだった」
    直哉「でもボツった。1本目も2本目も、先生のアイデアは良かったのに」
    多喜二「俺の出した案が平凡だった」
    直哉「そんなことない!俺はどれも読みたいと思った!」
     直哉、多喜二を睨むように見ている。多喜二、真っすぐ前を見ながらそっけなく
    多喜二「青ですよ」
     とだけ言う。直哉、黙って運転を再開する。

    □アパートの前 夜

     車を降りた多喜二。直哉、窓を開けている。
    多喜二「送って頂きありがとうございました」
    直哉「1話の初稿、待ってます」
     窓を閉めている直哉。
    多喜二「…小説が書きたいなら書けよ」
     直哉、閉まりきった窓ごしに「?」と振りむく。
     多喜二、背を向けて去っていく。走り出す車。
     車内、直哉。無言のまま険しい顔をしている。
    直哉「…」

    □回想 商店街の本屋 1970年代半ば

     多喜二の母と本屋に買い物に来ている多喜二、3歳くらい。
    多喜二母「たきくん、どれにするか決まった?」
    多喜二「ん」
     本を両手で差し出す多喜二。志賀直哉の短編集「小僧の神様」。
    多喜二母「え?それはたきくんには早すぎるんじゃない?」
     多喜二、首を横に振って本を抱きしめる。
    多喜二母「う~ん…文字の形を見るのが好きだからかしら…?まぁ、見てて楽しいならいいか…」
     多喜二母、他の絵本も手にしながらレジへ向かう。

    □7月頭 出版社 直哉のデスク 昼

     直哉のデスクに積まれた茶封筒の山。8袋。編集者モブが茶封筒を手にやってくる。
    モブ「白木!また来たぞ!どうなってんだ?」
    直哉「俺が聞きてぇよ!連載が決まったからってどんなペースで書いてんだよ」
    モブ「若さかねぇ。こっちとしちゃ助かるけども」
    直哉「だからってこんな無茶苦茶な早さ…」
     直哉、鞄を持って椅子を立ち上がる。
    モブ「どこ行くんだ?」
    直哉「先生の様子を見て来る」
     ドアをバタンと閉めて出ていく。

    □アパート 多喜二の部屋 昼~夕

     机にかじりついて執筆している多喜二。部屋の中はまだ移さない。ピンポーンとインターホンの音。多喜二、ドアを開ける。そこに立っているのは直哉。息を切らしている。手にはスーパーの袋(中身は野菜などの食材)
    直哉「先生、無事でした…か…」
     多喜二の肩越しに見える室内。ごみが散乱していて足の踏み場もない。カーテンは閉め切られている。
    直哉「うわ!」無事じゃなかった…という顔
    多喜二「なんの用ですか。原稿は送ってます」
     多喜二、そっけなく机へ戻る。直哉、部屋へ入る。カップ麺や冷凍食品のごみが散乱し、ペットボトルと缶コーヒーが転がっている。
    直哉「こりゃ飯の前に片付けだな」
    多喜二「え?」
    直哉「おまえは寝ろ!!!!その間に俺が掃除する」
    多喜二「執筆中です」
    直哉「いいから寝ろ!!さっさと布団に入れ!!」
     直哉、多喜二を布団に無理矢理寝かす(ギャグ描写)
    多喜二「何するんですか!まだ続きが書け…て…」
     抵抗する多喜二だが布団に入った途端スヤァ…と寝てしまう(ギャグ描写)
    直哉「(ため息) …よし」

     部屋のごみを片付けていく直哉。本や原稿は隅に積まれていく。布団で眠っている多喜二。

     片付け終わって、夕方。多喜二はふと目が覚める。いい匂いがする。
    多喜二「…カレー…?」
     ハッと起き上がる。部屋の中が片付いており、台所(1LK、ガラスの扉が間にあり、開いているので部屋からコンロが見える)に立っている直哉の後ろ姿。炊飯器からピピーという音。多喜二が起きたことに気づく直哉。振り返りながら
    直哉「お目覚めか?飯にしよう」
     テーブルに並べられたカレー2皿とグラス(皿もグラスも別々のもの。同じ食器は2つ持ってない)。
    直哉「冷めないうちにどうぞ」
    多喜二「…いただきます」
     多喜二、食べ始める。黙って食べている二人。直哉、食べながら話し始める。
    直哉「俺は片親でな、お袋に女手一つで育ててもらった」
    多喜二「…?」
    直哉「早朝から深夜まで働き通し、そりゃ体悪くするよな。俺が中学の頃に倒れてさ」
    多喜二「…」多喜二、食べてる手が止まり直哉を見る
    直哉「俺が働かなきゃな、って思ったんだよな」直哉は食べ続けている
    直哉「若い頃から文才があって、支援してくれる両親がいて、仕事も来る。あんたやっぱすげぇよ」
     多喜二、黙る。直哉、それに気づき多喜二を見る。
    多喜二「…俺が小説を書けるのは、ある人のおかげなんです。俺がずっと憧れていて、目標にしている人…」
    直哉「誰か聞いてもいいか?」
    多喜二「……」
    直哉「…あんたにそれほどの力を出させるなんて、すごい人なんだな」
     食事を食べ終える二人。

     玄関に立っている直哉。鞄を手にしている。
    直哉「冷蔵庫に入ってるカレーと付け合わせは明日中に食ってください。野菜は悪くなる前にまた飯作りに来ます」
    多喜二「忙しいのにそんな」
    直哉「放っておいたらまた無茶しそうなので」圧がある。ギャグ描写
    直哉「ちゃんと寝てくれよな。あんたの憧れの人だって、そんな無茶な生活されちゃかなわんだろうさ」
    多喜二「…はい」
    直哉「ではまた」
     パタン、とドアが閉まる。
     多喜二、冷蔵庫を覗くとカレーが鍋ごと入っている。隣には皿にラップをしたラディッシュの酢漬け。カレー鍋の横には味噌。他はカレーの材料しか入っていない。冷蔵庫のドアを閉め、手をついたまま
    多喜二「…そういうのは覚えてるのかよ」
     という。(ラディッシュの酢漬けは志賀直哉の本に登場する志賀先生の朝食)(味噌入りカレーは志賀先生が我孫子時代に食べていたもの)
     カメラ、冷蔵庫の前に居る多喜二が映る角度で、手前には志賀の本(該当する短編を収録してるもの)を同時に映す。

    □8月 喫茶店

     テーブル席に座っている多喜二。原稿を読んでいる。向かいの席につく直哉
    直哉「遅くなりました」
    多喜二「お疲れ様です」
     直哉、席に座ると店員を呼び止めようと手を挙げる。それを遮って、
    多喜二「あ、もう頼んでおきました。紅茶」
    直哉「え?」
    多喜二「あれ?コーヒー派でしたっけ?」
    直哉「まぁ、紅茶も飲めますが」
    多喜二「…ッ(前世と混同してたことに気づく)すみません」

     時間飛んで、煙草を吸いながら原稿を読んでいる直哉(舞台が90年代なので分煙化は進んでいない。席に灰皿がある)。多喜二、ノートもしくはメモ帳を広げて構想を練っている。直哉、その様子を原稿越しにちらりと見る。
    多喜二「…なにか…?」
    直哉「あ、いえ。先生の字…」
    多喜二「?」
    直哉「好きだなと思って」
    多喜二「…」
     直哉、変なことを言ったなと思い直し
    直哉「よ、読みやすくて助かってます!いや~作家によっては読むのに苦労する方もいらっしゃるもんで!」
    多喜二「…俺も、あんたの字、好きですよ」
    直哉「…!」
     ハッとなり、「原稿ありがとうございました」と原稿をまとめ、封筒に入れているところで鞄の中の携帯電話(画面が白黒のもの、98年前後の機種、J-PHONE)が鳴る。(着信音はピリリリリ)
    直哉「もしもし、どうした?」(相手が知り合いなので名乗らず出る)
    直哉「…だから言っただろ。(ため息をつきながら)…わかった、俺も行くからそれまでになだめておけよ」
     携帯電話を切り、
    直哉「すみません、もう行きます」
    多喜二「お疲れさまです」
     伝票を掴んで急いで出ていく直哉。ほとんど飲まれずに残された紅茶を見ている多喜二。

    □(ここにもう1エピソード入れたい。なおやがたきじに違和感抱く感じの内容)

    □8月 

     多喜二のアパートに訪ねて来る直哉。日にち違いで数回。
    ①直哉、食材をどっさり持って「先生!おじゃまします!」
    ②直哉、クーラーボックスを持って「先生!おじゃまします!」
    ③直哉、スイカ丸ごと持って「先生!おじゃまします!」

     多喜二、半ば呆れつつ
    多喜二M「あの人すごい頻繁に来るな…」どうしてという顔(いやじゃないけど謎)
     直哉が来た時の様子を振り返るコマ、回想。
     直哉、嬉しそうな顔をしてタッパー(ホーロー皿に蓋をするタイプのもの)を手にして「作り置き、食べてくださいね!」と言っている。
     洗い終わった食器を布巾でふき、重ねる。違う皿2枚と違うカップ2つが並ぶ。
    多喜二「…」

    □9月 出版社 直哉のデスク

     座っている直哉の席の後ろを通り、驚くモブ男。
    モブ「え!?それ…手作り弁当!?」
    直哉「ん?」
     席で手作り弁当を食べている直哉。
    モブ「おまえいつの間に彼女なんて…!!!」
    直哉「いやいや違ぇーって!俺が自分で作ったの!」
    モブ「えぇ…自分で…」引いてる
    直哉「最近作り置きのレシピにハマっててよ~うまそうに食ってくれると作り甲斐があるよなぁ」
    モブ「女に手料理食わせてるのか!?」
    直哉「だから違ぇっての!!」


    □9月末 多喜二のアパート 部屋 夜

     机に向かっていた多喜二。部屋は机のまわりだけ散らかっているが部屋は綺麗。執筆していた多喜二、椅子の上で伸びをして時計を見ると20:00ごろ。
    多喜二M「作り置きもうないんだよな…出前でも取るか」
     インターホンがなる。ドアを開けると白木の姿。
    直哉「おつかれさまです」
    多喜二「さっき書きあがったところなので持ってってください」
    直哉「ありがてぇ!」
     直哉、慣れた様子で家にあがって冷蔵庫の中に買って来た食材を入れている。
    多喜二「料理してる間に最終チェックしておきますね」
    直哉「よろしくお願いします」

     直哉、ごきげんで料理をしている。隣の部屋で原稿のチェックをしている多喜二。
     直哉、皿を取ろうとして食器類が増えていることに気づく。揃いの皿(カレー皿)が2枚とマグカップが2つ並んでいる。はたと手が止まる。(ショックを受けているような表情)
    直哉「―――っ」

     多喜二、チェックを終えてキッチンへ来る。
     直哉、台所を片付け、帰り支度をしている。テーブルの上には多喜二一人分の料理が並んでいる。
    多喜二「あれ?食べていかないんですか?」
    直哉「あ、あぁ!このあとまだ行くところがあるので」
    多喜二「今から?大変ですね」
    直哉「作り置きは冷蔵庫に入れてます」
    多喜二「じゃあ原稿を…」
    直哉「あ、そうだった、頂きます」
     封筒を受け取り、慌ただしくドアを出ていく直哉。「失礼しました!」
    多喜二「…?」首をかしげる多喜二

     アパートの前に止めた車。乗り込む直哉。運転席でうなだれる。
    直哉「…なんてこった」
     (多喜二に恋人がいるかもしれないことを知ったショックというよりも、そのことにショックを受けている自分の気持ちに対して)

    □10月 多喜二のアパート

     多喜二、玄関で出前を受け取っている。
     部屋で一人で出前の蕎麦をすする。部屋が散らかっている。グラスに手を伸ばし、空なことに気づく。
     冷蔵庫を開けると中は空っぽ。ペットボトルのお茶を手に取り、グラスに注いで一気に飲み干す。
    多喜二「…」
     多喜二、向かいの空席(ダイニングテーブルは二人掛け)を見ている。

    □10月中頃 出版社 直哉のデスク(ギャグシーン)

     デスクに突っ伏している直哉。
    モブA「白木~タキジ先生の原稿きてたぞ」
     茶封筒をうなだれている直哉の頭にのっける。微動だにしない直哉。
    モブB「白木さん~?生きてます?」
     突っ伏したままの直哉を後目に会話するモブAとB。
    モブA「こいつタキジ先生にやらかしたんだってよ」
    モブB「何をです?」
    モブA「知らねぇけど。そりゃー激怒して追い返されるような失礼なことだろ」
    モブB「白木さん血の気多いですもんねぇ~」
     言いたい放題の二人。なおも微動だにしない直哉。様子を見ていた二人。
    モブB「…これ、だいぶヤバイのでは?」
     直哉のデスクの電話が鳴る。パッと飛び起きて出る直哉。
    直哉「はい、こちら○○出版の白木です」キリっとした顔
    モブA「こいつのこういうとこむかつく」
    モブB「仕事できる男前滅べ~」

    □同日 出版社前 深夜

     仕事を終えて会社から出てくる直哉。すると前に誰かが立っていることに気づく。そこに居たのは多喜二。
    直哉「な、タキジ先生!?どうしたんです?」
     多喜二、無言で立っている。二人の間に流れる気まずい沈黙。
    多喜二「白木サン」
     名を呼ばれて緊張が走る直哉。身構える。
    多喜二「俺、あんたに謝らなきゃいけないと思ってたんだ」
     直哉、驚きと困惑の表情。
    多喜二「あんたに出会った頃…契約や新作について色々と世話を焼いてもらったのに、俺、あんたに冷たく当たっていました。失礼な態度をとってしまい申し訳ありませんでした」
     深々と謝る多喜二に驚く直哉。
    直哉「え?そ、そんなことありましたか?俺のほうこそ、馴れ馴れしくしてすみませんでした。友人でもないのに」
     「友人でもない」という言葉にぴくりと反応する多喜二。
    多喜二「今は…」
    直哉「?」
    多喜二「…いえ、連載だけでなく食事の面倒まで見てもらって、申し訳ないです」
    直哉「それは俺が好きでやってることなんで!」
    多喜二「え?」
    直哉「あ、いえ…!…作家の私生活に入れ込み過ぎている自覚はあるんです。でも…」
     直哉、黙ってしまう。
    直哉「…やっぱり踏み込みすぎてましたよね」暗い表情
     一変し繕ったような無理した笑顔で
    直哉「先生も、"いい人"がいるなら俺のことなんて追い返してくれていいのによ」
    多喜二「?なに…?」
    直哉「今後は出向く前に電話します。家に人がいるなら断ってもらっても…」大丈夫と言おうとしてさえぎられる
    多喜二「ま、待って!」
    多喜二「なんのこと…?」
     深刻な雰囲気(揺れる感情に乗せるような演出…できたら…)
    直哉「先生、恋人ができたんでしょう?食器を買いそろえて、そんな二人の邪魔なんてしたくな…」
    多喜二「いません!!」
     大きな声で否定する多喜二。
    多喜二「あの食器はあんたのだよ!」
    直哉「…は?」
     驚きであっけにとられる直哉。
    多喜二「どれだけ頻繁に来てたか自覚がないのか?」
    多喜二「料理のたびに『皿が足りねぇ』だの『大きさが合わねぇ』だの」
    多喜二「だから揃いの皿を買ったんだよ」
     畳みかけられ、顔がカッと赤くなる直哉。照れている。しゃがみこむ。
    直哉「…とんだ勘違いを…」
     直哉の様子を見ている多喜二。驚きと、嬉しさ。
     多喜二、直哉に合わせてしゃがみ込みながら
    多喜二「作り置き、なくなったのでまた作りに来てくれますか?」
     直哉、嬉しそうに
    直哉「…あぁ!」


    ここにもうひとつエピソード入れたい

    □11月 居酒屋 夜(居酒屋シーン書き直す)

     乾杯する手元。ビールと烏龍茶。
    直哉「文庫本発売決定おめでとう~!」
    多喜二「話数はまだまだ足りてないわけですが」淡々と烏龍茶を飲みながら
    直哉「先生の本がでる…なんてめでたいんだ…」泣いてる
    多喜二「聞いちゃいねぇ」ギャグ調
     直哉、店員を「すみませーん」と呼び止め(既に酔ってる)追加の料理を注文している。その様子を烏龍茶を飲みながら見ている多喜二。

     間あいて店外。飲み終わって会計を済ませて出てきた二人。夜道。
     べろべろに酔った直哉に肩を貸して歩く多喜二。
    直哉「めでたい~~本当にめでたい」
    多喜二「まっすぐ歩いてくれ」
    直哉「先生が書いた小説がまた1冊世に羽ばたくなんて嬉しすぎて100冊買う~」
    多喜二「居酒屋はやめなよ、昔から酒弱いんだから」
    直哉「…」”昔から”という言葉に反応しているような聞こえてないような表情
    直哉「せんせぇだって…嬉しいだろ?」
    多喜二「…嬉しくないはずないでしょ」
     直哉、嬉しそうな笑顔になる。
    直哉「ベストセラーで映画化目指すぞ~!」
    多喜二「はいはい、あ、タクシー!」
     通りすがりのタクシーに手を挙げる。

    □11中頃 出版社 直哉のデスク

     デスクに突っ伏している直哉。前のシーンの同ポ。
    モブA「白木~タキジ先生の原稿きてたぞ」
     茶封筒をうなだれている直哉の頭にのっける。微動だにしない直哉。
    モブB「今度こそくたばりました?」
    モブA「そろそろ年貢の納め時かァ?」
     直哉のデスクの電話が鳴る。パッと飛び起きて出る直哉。
    直哉「はい、こちら○○出版の白木です」キリっとした顔
     モブAB、「生きてたわ~」「つまらないわ~」とひそひそ。
    直哉「…タキジ先生!?」
     顔を見合わせるモブAB。

    □ (奈良の取材についてもちかける多喜二)
    □(すけべシーン入れるなら奈良旅行の最中、ホテルで)
    □(奈良旅行で白木を泣かせたことにショックを受けた多喜二、失踪(志賀の作品の聖地巡礼へ)
    □(白木とたきじの再会、桜の下で)
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