お題:「ハンドクリーム」「抱き枕」2/5「アーロン、手をだして」
何故とも問わず素直に手をだしてきたアーロンの、無防備な手にルークは指にすくいとった乳白色のクリームをぬった。ルークの指がアーロンの手の甲、指と指のあいだ、指先、手のひらにまで丹念にクリームをぬりこんでいく。アーロンは、いささか執拗にすぎないか、と思いながらも黙ってされるがままになっていた。
「何だこれは」
「ハンドクリームだよ、もらったんだ、いい匂いだろう」
自分の手から妙な匂いがすることが落ち着かなくて、手の甲をジャケットにこすりつけようとするアーロンの手をあわてて掴むと、ルークはその骨ばった太く長い指、血管のうきでた硬い甲、ぶあつい手のひらのすみずみを眺めた。
「君の手、荒れてるじゃないか、もっと労わってあげてよ」
2377