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    BORA99_

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    @BORA99_

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    BORA99_

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    ドフコラロ海軍if(+7武海鰐野郎)
    いつもの海軍ifの過去編になります。
    ※ドフ鰐前提
    ※あの島の一件に感銘を受けて(n回目)、過去編スタートです。
    ※ド28歳✕鰐33歳
    ※いつもの如く海軍仕様に捏造、ご都合主義注意
    ※多分続きます

    プラズマ・ダイブ!!!①硝煙、怒号、燃え行く街。
    砂塵の舞う地上を見下ろしたドフラミンゴは、無意識に口角が上がるのを止められない。
    "懐かしき""北の海"の片隅。
    国王の圧政に耐えられなくなった国民達が蜂起し、大規模なクーデターへと発展した、世界政府加盟国。
    国王側から鎮圧の要請を受け、海軍本部はドフラミンゴをこの国へと派遣したのだ。

    (今、この場所は・・・中立だ。)

    肥える王族。飢えていく隣人、生まれてすぐに死ぬ子供、汚い水。
    これは、どちらが"悪"で、どちらが"正義"か、それを、決める為の戦争だ。

    「ドンキホーテ・ドフラミンゴ"准将"!!突入の準備が整いました!!!」

    「・・・あァ。」

    ドフラミンゴの背後で、部下が軍人らしい、よく通る声で言う。
    "罪無き"命を、踏み躙るのはいつだって"気が引ける"。
    しかし、この世の"因果"は結びつかないのだ。

    勝てば官軍負ければ賊軍。

    極悪だろうが外道だろうが、勝てば、"正義"だ。

    「フフフッ。哀れな国民共だ。それも、これも、"弱い"のが悪ィんだぜ。」

    人知れず、小さく呟いたドフラミンゴは、足元の戦禍へと、まるで身を投げるように飛び込んで行った。

    ######

    「・・・オイ、戦局はどうだ。」
    「国民の組織する反乱軍はほぼ半数以下。殆ど拘束しました!!直に幹部達も捕捉できるようです!!」
    「そうか。」

    長く続く反乱も、海軍の介入によりほぼ収束のようだ。
    陣営に戻ったドフラミンゴは、もう出張る必要も無いかと、設営されたテントに入る。
    ドフラミンゴが入ってきたのを見た海兵達は機敏な動きで立ち上がり、敬礼を返した。
    「D地点とB地点の奴らは王宮広場の援護に回れ。オイ、伝令用の電伝虫持って来い。」
    「はっ!!」

    『うわぁあ!!』
    『おい!!止まれー!!この先は進めない!!』
    『おい、"御者"が乗ってないぞ!!!』

    テキパキと指示をしながら、簡素な椅子に座ったところで、テントの外がやけに騒がしくなる。
    テントの中のドフラミンゴ達は訝しげに顔を歪めて、布を捲って外に顔を出した。

    「・・・あ?」
    「准将!!!"荷馬車"が暴走し、こちらに突っ込んできます!!退避を!!」
    「・・・いや、退避つってもなァ」
    海兵の言葉通り、大きな音を立てて、馬車が猛スピードでテント目掛けて突っ込んで来るのが見える。
    大きな荷車を繋がれた二頭の馬を操る"御者"の姿は見えなかった。
    戦禍を通り抜けるうちに流れ弾にでも当たったか。

    「・・・何でも良いが、この先行っても"地獄"しかねェぞ。」

    サングラスを、少しだけ下にずらして、暴れまわる二頭の瞳を捕らえた。
    ズキリ、と左目に痛みが走るのは、いつもの事。
    バチリと合ったその眼光に、二頭の"馬車馬"はまるで怯えるように鳴く。
    それでも逸らされないその、金色の睫毛に縁取られた瞳が、一際強く光を放った瞬間、馬車馬の口から泡が溢れ、グラリとその巨体が傾いた。
    倒れた馬に引き摺られるように、後ろの荷車も横倒しに倒れる。

    「・・・ンン?なんだ、こりゃァ。」

    倒れた荷車が崩壊し、散乱した、その荷車に詰め込まれていた物に、ドフラミンゴは思わず眉間に皺を寄せる。
    周りの海兵達も、その散らばった"死体の山"に口を噤んだ。
    ところどころ、白く蝕まれた皮膚に、ドフラミンゴは何か、不吉な前兆を掴む。

    「オイ、なんか、動いてる・・・!!」
    ドフラミンゴの後ろで、気味悪そうに引き攣った声が上がり、素直に見下ろせば、確かに死体の山がモゾモゾと動いていた。
    どうしようもなく、ただそれを眺めていると、やがて大きな体を押し退けて、小さな少年が顔を出す。
    「・・・ハァハァ、ハァ、」
    「こ、子供ォ?!」
    海兵達がその"不釣り合い"な登場人物に叫んだ瞬間、小さな少年は体に合わない大きなピストルをドフラミンゴに向けた。
    「おれを、隣の国まで連れていけ・・・!!」
    その何も映さない黒い瞳孔を、ドフラミンゴは黙って見下ろす。
    その口から、紡がれる事のないSOS。すべてを憎む、暗い、暗い眼光。
    "あの時"の、自分と、同じ顔で、その少年は銃を構えていた。

    (ああ、この世は、お前にも、優しくはなかったか。)

    そんな、馬鹿みたいな事を思って、ドフラミンゴは喉の奥で笑う。

    「おい、こいつ・・・肌が白いぞ!!"珀鉛病"だ・・・!!伝染るぞ・・・!!」
    「な、なんだと・・・!そうか、フレバンスから来たのか・・・!!」
    突然、その少年の深く被った帽子の下が白く蝕まれている事に気がついた海兵達が騒ぎ出した。
    現在地から、"フレバンス"までそう距離は遠くない。
    あの国から運び出された死体が、この道を通っていても不思議ではないが、あの国のドンパチは海軍本部では完全に"タブー"で、あちらの戦争にはノータッチだった。

    「・・・はやく、マスクを、」

    海兵の一人が言った言葉に、明らかに、その少年の瞳が"憎悪"で燃える。
    ドフラミンゴは騒ぎ出した海兵達を後目に、グイ、と指を折り曲げた。

    「・・・わ。」

    ドフラミンゴの糸に捕らわれた少年の腕が上がり、その小さな手のひらに握られた銃口が、空に向かって轟音を上げる。
    突然の銃声に、ドフラミンゴの背後は妙な静けさに包まれた。
    「・・・オイ、お前、"クビ"だ。」
    「・・・は、え?」
    「噂程度の知識を口にするな、見苦しい。おれの隊に、"馬鹿"は要らん。」
    肩越しに振り返ったドフラミンゴは、ガクリと首を傾げて、一番初めに声を上げた若い海兵に言う。
    突然の事に理解ができず、黙った海兵はそのままに、ドフラミンゴは再びその足元の少年を見下ろした。

    「珀鉛病は"中毒"だ。他人には感染しねェよ。」

    その時、ドフラミンゴのその、何の算段も無く吐かれた台詞は、確かな破壊力で少年の瞳を揺らす。

    「何を、"恨んでる"。」

    残酷な"人間"か、それとも、この、最上の"理不尽"か。暴力か、怒りか、痛みか。
    数えればキリがない、この世の不条理の、"どれを"この小さな生命は、"恨んでいる"のか。

    妙にゆっくりと、その白く侵された口元が動いて、小さく、言葉を紡いだ。

    ######

    「ロー。体の調子はどうだい。」
    「別に。どうせ、あと3年で死ぬんだ。悪くても良くても関係無い。」

    ドフラミンゴの足に隠れる小さな生き物。
    それを見下ろした"中将"つるは、その返答に小さくため息を吐いた。
    海軍本部の"天夜叉"が、拾ってきたその小さな少年は親から習った医療の知識で、自分の"寿命"を知っている。
    「海軍本部の医療班に、治療法は探させている。きっと、良くなるから、そう自棄にならないでおくれ。」
    「父様でも見つけられなかったんだ、お前らに見つけられる訳ないだろ。・・・こんなところ、もうおれは出て行く。おれは、全て"壊したいんだ"。」
    「フッフッフッ・・・。威勢の良いガキだ。
    と、言うわけで、"中将殿"。もうこいつ、放り出して良いよな。」
    「馬鹿な事を言うのはおやめ。・・・ドフラミンゴ。一度拾ったなら、最後まで責任を持つのが筋だよ。」
    まるで、売り言葉に、買い言葉だ。
    深刻さのまるで無いドフラミンゴに、つるは再び息を吐く。

    「おれは人間なんか大嫌いなんだ。フレバンスは何にも悪くないのに、奴ら、よって集って・・・!!」

    ギリギリと、ローの噛み締めた奥歯が鳴って、その瞳がグラグラと揺れた。
    幼い両目が捉えたこの世の"理不尽"を、怒りに昇華できるなら、それは中々"見込み"がある。
    ドフラミンゴは嬉しそうにその口角を上げた。
    「馬鹿なガキだな。勝てなかったお前らが"悪い"に決まってる。近隣諸国の奴らを全員殺し、世界に"伝染病"じゃねェと公表すればそれで勝ちだったのによ。」
    「そんなの・・・無理に決まってる。数が違い過ぎた・・・!!」
    「その"数"を、覆す手段なんざ、この世にゃァ沢山あるんだぜ。それを一時の勢いで全面戦争なんかに持ち込んだからいけねェのさ。」
    ガラ悪くしゃがんだドフラミンゴは、煽るようにその瞳を覗き込む。

    (あァ、"良い""目つき"だなァ。)

    この顔は、どうしようもなく、"見覚え"があった。

    さァ、怒れ、怒れ。

    牙も剥けない人間が、こんな海で生きていける筈も無い。

    「良いか、小僧。この世は結果だけが全てだ。後ろから刺そうが、毒を盛ろうが、"勝者"だけが"正義"だぜ。」

    ギラつく視線に気圧されて、少年の口元が引き攣った。
    違う意見を捻じ伏せられないのなら、いつまで経っても"正義"にはなれない。

    グイ、と、丸められたその広い背中を、つるは気の毒そうに見た。

    「おやめ、ドフラミンゴ。お前のものさしで、世界を測るとロクな事がない。」
    「フフフフッ。眠てェ事を言うなよ、"中将殿"。その"ものさし"のお陰で、あんたは、"正義"の側に居られるんだ。」

    泣いて、喚いた、弟の隣で、怒り、猛った、この男の本性はまるで、獰猛な獣のようである。
    怯むという枷を知らない、凶弾。
    その面の下は、"こうやって"、"敗者"に落ちるのを酷く怖がる、哀れな"人間"。
    "世界"に、踏み躙られた"恐怖"が、積み重なって"破壊衝動"を生み出したのだ。

    「粋がるんじゃないよ。若造が。この子の病気は、わたしが手を尽くす。・・・お前の"憎悪"を、この子に押し付けるのはおやめ。」
    「・・・勝手なこと言うな!おれは別に生きたいとも思ってない!!!」

    つるの言葉に、怒鳴り返したローを無視して、ふらりと、立ち上がったドフラミンゴは、つるのデスクに手のひらを付く。
    近づいたその、サングラス越しの瞳は、相変わらず見えないままだ。

    「"中将殿"、あんた、このガキを"見て"ねェなァ・・・?
    一体、"誰"の話をしてる。」

    「・・・わたしは、」

    サングラスに映る自分の顔に、つるはうんざりとため息を吐いて、一度言葉を切る。
    そして、腕を伸ばして、逆立った金色の前髪を撫でた。
    「そっぽを向かれて、"癇癪"を起こす"子ども"を、"もう一人"知ってるだけだよ。・・・いい子だから、そう、威圧的にモノを言うのはおやめ。」

    一度、その、見えない瞳と目が合った気がする。

    「この世は、"まだ"、お前に、優しくはないかい。」

    「・・・ッ!!やめろ。」

    パシ、と、その細い手のひらを払ったドフラミンゴは、スーツのポケットに手を突っ込んで、踵を返した。
    盛大に舌打ちをしてから、大股で扉へと向かう。

    「・・・"優しい"と、"困る"んだ。」

    扉が開く瞬間に、聞こえたような気がする小さな声に、つるは瞳を細めた。
    意外にも、静かに閉められた扉を見つめてから、戸惑うローを見下ろす。

    「お前より、よっぽど手が掛かる子だよ。・・・おいで、昼食にしよう。」

    困ったように、笑ったその顔を、ローは見上げて、小さく頷いた。

    ######

    『天竜人はどこだ!!!』

    『探し出せ!!!』

    『吊るし上げろ!!!!』

    ごうごうと音を立てて、燃え広がる赤い炎。
    焼ける足元、暴力、腐った食べ物。
    足元を這いずり回る得体の知れない害虫に、ヒヤリと、背筋が凍った。

    『兄上やめてー!!!兄上ー!!!!』

    死ぬ間際まで、人間の本性を表さなかった"父親"。弟の金切り声。
    顔の無い男の頭に銃を突き付ける、幼い自分。

    『私が父親で、ごめんな。』

    その男の口元が、不気味な程ゆっくりと動いた瞬間、制御の出来ない"何か"が、

    思い切り、

    "引き金"を、


    「・・・ッ!!!!は、ハァ、ハァ、ハァ、」

    海軍本部の裏庭に設置されたチェアの上で、悪夢に堪らず飛び起きたドフラミンゴは、脂汗に濡れた額を大きな手のひらで撫でる。
    読んでいた本がいつの間にか地面に落ちていて、うんざりしたようにそれを拾った。

    (・・・いつまで、こうして、)

    こんな、くだらない夢を、見続けるのか。

    「おはよう、"准将"殿。」
    「・・・!!!」

    完全に、気を抜いていた。
    チェアの傍らのパラソルの下。テーブルに肘を付いた男がニコニコと上機嫌の様相でこちらを見ていた事に、やっと気が付いたドフラミンゴの肩が大きく跳ねる。
    一応、休憩スペースを銘打ったここは、ヒラの海兵から将校、客人まで自由に出入りが出来た。
    誰かが居ても、おかしくは無い。

    「随分楽しい夢を見ていたようだな。"ドフラミンゴ君"。」
    「・・・七武海はマリージョアで会合中の筈だが。"サー"・クロコダイル。」

    ズキズキと痛む頭を押さえて、ドフラミンゴは面倒臭そうに返した。
    王下七武海"サー"・クロコダイル。
    二十代の時から七武海に所属する、海賊にしては、現実的な男。
    「退屈でね。抜けてきてしまった。"准将殿"が居てくれたらもう少し大人しくしているのだが。」
    「悪ィが、おれァ随分と前から"出禁"を食らってる。」
    「・・・クハハハ!そりゃァ、いい。"七武海"と揉めでもしたのか。」

    この男は、面倒だ。
    意味の無い会話を繰り返し、ニコニコと、英雄面で笑う。
    遊ばれている自覚があるだけに、ドフラミンゴは付き合いきれんと、背もたれに掛けていたコートを掴んで立ち上がった。

    「いや、揉めたのは、"七武海"じゃァねェ。」

    バサリと、重たいコートを肩に引っ掛けると、ドフラミンゴは未だテーブルに肘を付くクロコダイルを見下ろす。

    「おれが、"出禁"を食らったのは、"聖地"の方だ。」

    その、随分と後ろ暗い男に、クロコダイルは獰猛に喉を鳴らした。
    どうにも、この男は、"興味深い"。

    「"白い街"の"ガキ"だが。」
    ドフラミンゴがテーブルに置いたままにした本を手に取ると、クロコダイルは嬉しそうに瞳を細めた。
    "白い街""フレバンス"。その表紙に、クロコダイルは相変わらず"ガリ勉野郎"だなどと、些か酷いことを思ったが、顔には出さない。
    背を向けたドフラミンゴは、ピクリとその歩みを止めた。
    「あんまりにも不愉快な目付きでこっちを見てくるモンだから、砂に埋めちまったが、別に良いよな。どうせ、白い街の死に損ないだ。」
    「・・・あァ?」
    一瞬にして冷え切った空気に、クロコダイルは愉快そうに笑みを浮かべる。
    そのサングラスの下の表情を、まるで見えているかのように覗き込む男に、ドフラミンゴは妙な焦燥を覚えた。
    「・・・行儀の悪ィ男だなァ。海軍本部の犬でいたいなら、おれにゃァ歯向かわねェ方が利口だぞ。」
    嘘か、本当か。
    そう頭の悪い男では無い筈だが、海賊の倫理観に期待するのは馬鹿だ。
    ドフラミンゴは乱れた心中を隠すように、押し殺した声で言う。
    「クハハハ!はやく行ってやれよ。正門の近くだ。窒息死しても知らねェぞ。」
    「・・・"首輪"が"外れたら"、気をつけろよ。"サー"・クロコダイル。テメェが入るのはブタ箱じゃねェ、棺桶だ。」
    「あァ、楽しみにしているよ。ドフラミンゴ君。」
    急いているのを隠している割に、早足で立ち去ったドフラミンゴを見ると、クロコダイルは随分と嬉しそうに口元を歪めた。
    あんなに、からかいがいのある男は初めてである。
    本格的に忘れ去られてしまった書籍を、一度撫でて、クロコダイルは一人、喉の奥で笑い声を上げた。

    ######

    『何も、信じてない。』

    『目に入るものすべて、壊したい。』

    きっぱりと、"あの時"、あの少年は、そう言った。
    "人間"に狂わされた人生。理不尽な暴力。失う楽園。
    自分と"同じ""破壊衝動"は、踏み躙られた"経験"からしか生まれない。
    その、同じ価値観を持つ"同胞"は、今までに、一人だっていなかった。

    「ロー!!」

    「・・・何だよ。」

    足早に、正門へ出る扉を開けたドフラミンゴは、大きな声でその少年を呼んだ。
    予想外に、すぐに聞こえたその返答に、ドフラミンゴはポカンと、間の抜けた顔をする。

    「え、何、お前、これ作ったの。天才キッズか。」

    予想外だったのは、目の前に広がる"光景"もだ。
    正門前の広場は、シロクマやペンギン、ワニの形に固められた、"砂の像"が立ち並んでいる。
    それらに囲まれた"ロー"は、白い帽子の下で無愛想な瞳をこちらに向けた。
    「・・・違う。"すなのおうさま"が作ってくれた。スゲーよな。かっこよかった。」
    (クソ野郎・・・ッ!!!)
    乏しい表情が、少しだけ明るくなるのを見た瞬間、ドフラミンゴの額でブチン、ブチン、と、何かが二、三本切れたような錯覚。
    その指先から、シュルシュルと"糸"が現れた。
    「おお・・・!!!」
    現れた糸が徐々に絡み合い、やがて、ローと同じ背丈のテディベアが出来上がる。
    その様子に、年相応の声が上がり、ドフラミンゴは得意気に鼻を鳴らした。
    「いいか、ロー。あのオジサンは"砂の王"じゃなくて、妖怪"砂鰐"だ。目を合わせると災いが起きるから、今後は無視しろ。」

    「オイオイ、人聞き悪ィなァ。」

    テディベアをローの腕に押し付けて、しゃがみ込んだドフラミンゴが言うと、その広い背中に砂の塊が出現する。
    砂の中から現れたクロコダイルに踏まれる形で、地面にぐしゃりと潰れたドフラミンゴは悲痛な声を上げた。
    「やァ、少年。一人遊びには慣れたかね。」
    「ずっと一人だ。別に、とっくに慣れてる。」
    「そうか。それは羨ましいね。」
    ポンポンと、ローの頭を撫でると、クロコダイルは口角を上げて、その脇を通り過ぎていく。
    途中、ドフラミンゴが忘れた本をその胸に突き返し、ひらひらと指輪だらけの手を振った。
    面白くなさそうに息を吐いたドフラミンゴは、ローの小さな体を抱き上げる。
    「・・・戻るぞ。」

    (・・・本当に、"からかいに来た"だけかよ。・・・信じられん。)

    あの、ニヒルに歪む口元を思い出して、ドフラミンゴは心の中で舌を打つ。
    あの男だけは、"理解ができない"。

    「・・・暇人め。」

    聳え立つ平和そうな砂の像にすら、少しの苛つきを覚え、ドフラミンゴは小さく呟くのだった。
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    kgkgjyujyu

    INFOマロ返信(03/26)
    ※禪院恵の野薔薇ちゃんについて
    このお話の野薔薇ちゃんは、禪院家の圧により高専には通わず、地元の高校に通っている設定なので、呪術師界隈のどす黒い風習や御三家の存在を知らぬまま、知らない男の嫁になりました。(恵との約束を思い出すのは暫く先です)

    最初の数ヶ月はおそらく死ぬほど暴れたし、離れからの脱走も何度も実行しておりましたが、離れの周りには恵が待機させた式神が野薔薇ちゃんの存在を感知した際に、即座に知らせる為、野薔薇ちゃんが離れから逃げられた試しはないです。
    なので、恵が訪ねてきても口はきかないし、おそらく目も合わせなかったとは思います。
    恵は、自分が愛を与え続けていれば、いずれは伝わるものと、思っている為、まったく動じません。

    ★幽閉〜1年くらいは
    恵に対する愛はない。けれど、野薔薇ちゃんが顔を合わせるのは恵だけなので、次第にどんどん諦めが生まれていきます。ちなみにRのやつは4年後なのでこの段階では身体に触れてすらいない。毎日、任務のない日は顔を見せて一緒に過ごす。最低限の会話もするし、寝る場所は一緒です。時間があるときは必ず野薔薇ちゃんの傍を離れません。


    2回目の春を迎えても、変わらない状況に野薔薇ちゃん 1202