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    BORA99_

    🦩関連の長い小説を上げます
    @BORA99_

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    BORA99_

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    DQファミリーで空島編 前編
    ※捏造注意
    ※若様28〜29歳くらい
    ※べるごさんは有給取って来てくれました

    CAVE 前編「……あッ!!!」

    晴天直下。揺蕩うグランドライン海上で、ヌマンシア・フラミンゴ号の朝食の席は、突然声を上げた"航海士"の男によって、妙な空気に包まれた。
    リヴァースマウンテンを超え、無事にグランドライン入りを果たしてからと言うもの、常識では及ばない天災に延々と振り回され続けているのである。
    また何か起きたのかと、一瞬、騒がしかった食堂がうんざりと静まり返った。

    「……わ、若様!!大変だ……!!"ログポース"が、」

    その空気も打ち破る大声で、長いテーブルの上座に座る"船長"ドンキホーテ・ドフラミンゴへ、腕に着けた風変わりなコンパスを向けた航海士は、依然慌てふためき口を開く。
    ナイフとフォークを置いたドフラミンゴは、サングラスの奥で瞳を細めた。

    「ログが……"空島"に取られた……ッ!!!」
    「……空島ァ?!オイオイ、寝ぼけてんのか。あんなモン、ただのおとぎ話だろ?ログポースの故障じゃねェのか。」

    航海士の腕に視線が集まる中、いの一番に口を開いたディアマンテを中心に、懐疑的な声が上がる。
    その中で、立ち上がったドフラミンゴは無言で航海士の腕を掴み、針が上を向いたまま、息を潜めたこの海の"生命線"を眺めた。

    「オイ、ドフィ。どうする。新しいログポースを調達するか。」
    「……いや。この海でコイツを疑うのは"死活問題"だ。この針が指す先には、必ず"島"があるんだろう。」

    誰も知らない、おとぎ話の世界の島に、然程興味は無かったが、"有る"のなら、知識としては知っておきたい。
    そんな、現実的かつ勤勉な気持ちでドフラミンゴは航海士の男に目を向けた。

    「ログポースが使えねェのなら、先へは進めん。帆を畳め。少し情報を集めてみる。」

    ######

    『……"空島"?聞いたことくらいはあるが。』
    「フフフフッ……。困ったことに、グランドラインのど真ん中でログを取られちまった。……"そっち"で、何か分かることは無いか。」

    船長室と銘打った、この船で一番広い個室のデスクに着いたドフラミンゴは、その先にいるであろう男を真似た電伝虫を一度撫でる。
    まだ、可愛らしいうっかりを続けているのか、電伝虫はサングラスの下の口元に、欠片と言うには大きすぎるハンバーグを付けていた。

    『丁度、リフレッシュ休暇中なんだ。幾つか資料を見繕って、持っていこう。今どの辺りに居るんだ。』
    「そりゃァ、良い。"モネ"と、"シュガー"にはまだ会ったこと無かったよなァ。紹介するぜ。」
    『ああ、そうだったな。』

    「わかさまー?わかさま。」

    「……何だ?デリンジャー。少し待て。……すまねェ。チビ助が騒いでる。資料は、頼んだぞ。休暇は空島でおれとデートだ。」
    『任せてくれ。お前と過ごせるなら、どこだっていいさ。』
    「フフフフッ。待ってるぞ、"ヴェルゴ"。」

    眠りに入った電伝虫を、もう一度撫でて、立ち上がる。
    扉を開けると最近急に機動力が増した"チビ助"が、体に合わない、大きな絵本を抱えて立っていた。

    「わかさま。"そらじま"行くんでしょう?いーこと教えたげる。」
    「フッフッフッ。何だ。デリンジャー。」

    トコトコと、勝手に部屋に入るデリンジャーに、ドフラミンゴは苦笑しながら付いていく。
    この部屋に、こんな風に入ってくるのはこの"チビ助"だけだ。

    「きのうセニョールが読んでくれたご本、わかさまにも貸したげる。"ノーランド"は"おうごん"が海に沈んだと言ったけど、あたし、お空に行ったと思うのよね。」
    「……ノーランド?フフフフッ。"うそつきノーランド"か。……黄金が空へ?そんなこと、描いてあったか?」

    懐かしいその絵本は、"北の海"でベビー5に買ってやった物である。
    そのお古が、今はこうしてデリンジャーの手元へ降りてきたのだろう。
    ドフラミンゴの膝の上にちょこんと座った、その、手のひらサイズの"護身銃"は、大きな瞳をくるりと向けた。

    「……ノーランドは"嘘つき"なのよ。嘘をついたの。海に沈んだのは嘘で、ほんとうはお空に行ったの。どう?あたし、冴えてるでしょ。」
    「フッフッフッ……!!あァ、流石は未来の幹部候補だ、デリンジャー。空島で黄金を見つけたら、取り分はお前が一番多くしてやるよ。」

    角の生えたその小さな頭をグシャグシャと撫でながら、ドフラミンゴはデリンジャーを抱えて立ち上がる。
    "黄金"の眠る"空想"の"島"。
    その、余りにもロマン溢れるキャッチコピーに苦笑した。

    「ねェ、わかさま。"そらじま"は、有るわよね?」

    くるくると回る大きな瞳に、随分、大きくなったな、などと似合わぬ感慨を抱き、ドフラミンゴは口角を上げる。

    「そりゃァ、そうだ。"空"に"島"が無いのなら……ログポースが"丸い"必要は無ェだろう。」

    ######

    「海軍本部で所持している資料は殆ど無かった。街の本屋にも寄ってみたが……オカルト雑誌か、ファンタジー紛いの書籍だけだ。」
    「何だよ。海軍本部の情報網も大したことねェなァ。」
    「当たり前だろう。未だ、"空島"へ出動した事は無い。」

    立ち往生するように、帆を畳み、揺蕩うだけのヌマンシアへ現れた"休暇中"のヴェルゴは、それでも何冊か本を抱えていた。
    船長室へ集まった幹部達とそれを眺めたドフラミンゴは、からかうように言う。

    「オイオイ、正気かドフィ。本当に空へ行くつもりなのか。」
    「ディアマンテ……お前、これだけ常識外れな現象が起きているこの海で、何故空に島が在る事だけは信じられねェんだよ。……おれァ、ただ、"確証"無く何かを否定したくねェだけだ。」
    「……この貝は何なんだ。」

    半信半疑のディアマンテと、割と前向きなドフラミンゴの間で、グラディウスはヴェルゴの持ってきた書籍に交じって置かれた"巻き貝"を掴んだ。

    「"金獅子"のシキから押収した品だそうだが……、本人は"空島"で手に入れたと供述していたらしい。インペルダウン収監当時の調書に残っていた。」
    「へェ……。かつての"四皇"は、空島を肯定しているのか。」
    「"金獅子"が、空島へ行ったと言うのは信憑性が高いな。あの男は、"空"に"浮く"。」

    「"そらじま"は、あるわよ!」

    唐突に、船長室の扉が開き、この船で一番"小さな"人物が大股で歩み寄る。
    相変わらず、"うそつきノーランド"を抱えた腕に、ドフラミンゴは思わず喉の奥で笑い声を上げた。

    「お前……!また勝手に……!!」
    「何よグラディウス!!そらじまはあるもんッ!!」
    「無いなんておれは言ってないし、若が行きたいところはおれも行きたい。」
    「ウハハハハ!!"お嬢"があると言うなら、あるな!!」
    「デリンジャー。皆無いなんて思ってねェよ!今行く方法を考えてる。」
    「なんだ、そうなの。あたし、はやく行きたい……!きっとノーランドが見たおうごんがあるのよ!」
    「あ?黄金????」
    「フフフフッ。お嬢の"名推理"が、」

    突然、辺りが夜のような闇に包まれ、ドフラミンゴの言葉が途切れる。
    ヴェルゴの持ってきた参考資料を囲むように、床に座り込んでいた幹部達も驚いて立ち上がった。

    「……なんだ、あれは。」 

    船長室の窓という窓に全員が張り付き、真っ暗な海に突然発生した霧の向こうで揺れる、大きな"人影"に息を呑む。
    巨人族の何倍も大きな、その、"羽根"のある人影に、ドフラミンゴもサングラスの奥で瞳を開いた。

    「……ッ!!!今度は何だ……ッ?!?!」

    その瞬間、ヌマンシアが大きく傾き、弾かれたようにドフラミンゴ達が船長室を飛び出す。
    付いてこようとしたデリンジャーの頭をグラディウスが掴み、室内へ再び放り込んでから扉を閉めた。

    「……なんだよ、コレ。」

    甲板から眺めた海は、今までに無いほど荒れ、大きな"渦潮"が既にちっぽけなヌマンシアを呑み込んでいる。
    呆然と、打つ手のないその状況を眺めている間に、帆船は渦の中心へと流されていった。

    「……どうします?若。呑み込まれそうだ。」
    「いやもうこれ無理だろ……。海軍本部じゃ、こういう時はどうするんだ。ヴェルゴ。」
    「自殺用のピストルで頭を撃ち抜く。」
    「体育会系だな。」

    一周回って平静になった幹部達とドフラミンゴは、どうしたものか、と揃って首を捻る。
    そんな呑気過ぎる状況を嘲笑うかのように、滑らかに滑る船が、とうとう渦の中心部へと辿り着いた。

    「お、オイ、ドフィ……何か……、」

    渦の中心へ至ったヌマンシアの船底で、奇妙に海が盛り上がる。
    グラリとバランスを失った甲板に、船の縁から海を覗き込んだディアマンテが恐る恐る声を上げた。

    「……まさか。」
    「どうした。ドフィ。」
    「全員船室へ避難しろ!!!」
    「どうしたんです?!若?!?!」
    「良いからはやく船室へ入れ!!」

    何かに気が付いたドフラミンゴが、戸惑うディアマンテ達へ怒鳴り、その背中を船室へ向けて押し返す。
    グググ、と、ヌマンシアが何かに乗り上げ、その船首が上を向いた瞬間を、ドフラミンゴは何故か、スローモーションで捉えた。

    「マズイ……、」

    小さく溢したドフラミンゴが、ディアマンテ達の胴体を糸で巻き、船室へと引摺りながら走る。
    文献でしか知り得なかった"災害"が、既に目の前に立ちはだかっているのだ。

    「兎に角走れ……!!吹き飛ばされるぞ……!!!」
    「だから、何なんだよ!!ドフィ!!」

    渦潮の中心で、既に発生したその低い柱は莫大なエネルギーを溜め込むようにゆっくりと動く。
    "生き物"が、太刀打ちできない"それ"を、人は、"バケモノ"と呼ぶのだ。

    「"ノックアップストリーム"だ!!!!」

    ドフラミンゴが普段は上げない類の怒鳴り声を響かせた瞬間、轟音がして、浮遊感に支配された。

    「オイオイマジか……!!どうすんだよ!!!」
    「バッファローを呼んでこい!!着水の衝撃をできるだけ減らすぞ!!!」

    この世は"嘘"で溢れているが、"火"の無い所に"煙"は立たない"常識"も、また然り。
    その、"突き上げる海流"へ乗ったヌマンシアは、遥か上空へと吹き飛ばされた。

    「「「「「嘘だろォオオオオオ!!!???」」」」」

    こうして、"新世界"、"ドレスローザ"に用意された"王"の座を目指すドンキホーテファミリーの航路は、一度、"空"へと逸れる事となる。

    ######

    (……"白い"。)

    うっすらと、開いた眼球に写った"白"に、漠然と、雪の中に居ると思った。
    雪の中に横たわる、"誰か"の面影が重なったその姿に、嫌気が差して無理やり怠い上半身を起こす。

    「……なんだ、ここは。」

    奇跡的に無事だったサングラス越しに、真っ白い風景を映し、ドフラミンゴは小さな声を上げた。
    まるで、ビーチのような風景の先には、雲に埋もれた建造物が見え、人の住む島のように整備されている。

    「……若ァアアア!!ご無事で……!!!」

    後ろの方でグラディウスの声が聞こえ、些かホッとした気分で振り返ると、横倒しになったヌマンシアの姿も見えた。
    ジャブジャブと、まるで水の中を歩くような音を立てながら、真っ白な海らしき場所を走るグラディウスがドフラミンゴに近寄ってくる。

    「グラディウス。全員、無事か?」
    「今確認中だが、ヌマンシアは船底がやられています。修理が必要だ。」
    「そうか。しかし、何だここは。まるで雲の上だ。」

    立ち上がったドフラミンゴが、グラディウスの後を追って、ヌマンシアに向かう。
    自分が倒れていた場所とはまた違い、波立つその白い海に足を踏み入れた。

    「ノックアップストリームで、雲の上まで来ちまったってことか……。」
    「……信じられん。そんなファンシーな事があるのか。」

    "そう"としか、思えない現状に頭を抱えて、ドフラミンゴはうんざりとため息を吐く。
    ノックアップストリームに突き上げられ、雲の中に突っ込んだ事は覚えていたが、その後、水の中に居るような窒息感に、いつの間にか気を失ってしまった。
    横向きに倒れたヌマンシアの船底に開いた大穴だけが、その信じられない現状が現実だと訴えている。

    「ドフィ!怪我は無いか?!」

    ヌマンシアの影から現れたヴェルゴに、船から投げ出され、倒れていた幹部達もわらわらと集まってきた。
    不足なく現れるクルー達に、ドフラミンゴは安堵のため息を吐く。

    「アー、全員、居るな。……いや、居るか?おい、"チビ助"はどうした?」

    「「「「……。」」」」

    小さい割に、主張の激しい"チビ助"が、どうやったって目に入らない。
    ドフラミンゴが眉間に皺を寄せ、クルー達が一度黙って辺りを見回した。
    いつまで経っても現れないその姿に、しーん、とその場が妙な沈黙に支配され、ドフラミンゴは困ったように額を撫でる。

    「「「「「……まじでか。」」」」」








    「……わァ、真っ白だわ。」

    一方、ヌマンシアから放り出されてしまったデリンジャーは、誰もいない白い浜辺に感嘆を上げた。
    聞き慣れた波の音はするが、波立つのは見たことも無い白い雲で、物珍しそうに大きな瞳を輝かせた。

    「キャー!!ほんとうにそらじまに来れたのね!!……あら。」

    元気いっぱい立ち上がった小さな足元に、一緒に放り出されたのか、最近の"お気に入り"、"うそつきノーランド"が転がっている。
    何だか先行きの良い暗示のようで、デリンジャーはその絵本を拾い上げると、目の前に広がる"大きな森"に視線をやった。

    「"ノーランド"も付いてきてくれたのね。おうごんを探しに行かなきゃ!!」

    残してきた大人達の心配など露知らず、デリンジャーは森の中へと足を踏み入れる。
    鬱蒼と茂る森の中は、随分と暗くて、ひんやりとしていた。

    「……誰だ。」

    その時、その小さな背中へ降り掛かったのは、数名分の"敵意"。
    それに反応するように、デリンジャーの瞳が"誰か"譲りの"獰猛"を含んだ。
    ゆっくりと、笑うように歪む唇の端から、鋭い犬歯が覗く。

    「なァに?……食い千切られたいの?」







    「あンのクソチビ……!!!どこ行きやがった!!!!」
    「オイオイ海に放り出されていねェよな?!?!」
    「いや、船長室に放り込んだ筈だ……!あの揺れの中外に出る筈が無い……!」
    「空には来ているとしたらどこか遠くに投げ出されたんじゃないのか??」

    輪になった幹部達とドフラミンゴが激しく狼狽え言い合うが、一向にデリンジャーは現れない。
    最悪の事態だけは考えたく無い全員が、キョロキョロと辺りを見回すが目に入るのは白い風景だけだ。

    「……ピーカ達は船の修理を頼む。オイ、おれ達はデリンジャーを探しに行くぞ。」
    「ったく、世話の焼けるガキだ……。」
    「怪我をしていないと良いが。」
    「若に心配されるなんざ百年早ェんだよ……ッ!!あのクソガキがァァァ。」
    「……お前だけ方向性が違うぞ、グラディウス。」

    大股で歩き出したドフラミンゴの後を、グラディウス、ディアマンテ、ヴェルゴ、セニョールがついて行く。
    海に投げ出されていなくとも、こんな得体の知れない島で一人にはさせておけないのだ。

    『"ノーランド"は"おうごん"が海に沈んだと言ったけど、あたし、お空に行ったと思うのよね。』

    頭を過る小さな手のひらと、抱えられた絵本に、沸き立つ焦燥が抑えられない。
    "夢"と"打算"と僅かな"愛着"で、何とか形を保つ"家族"というコミュニティ。その中で、あの小さな少年だけが、"何も"理解してはいなかった。
    その、ある種歪んだ関係性の中で、あの"護身銃"だけが異質。
    その異分子を、こんな所で手放したくはない。

    (……世話の焼ける。)

    ######

    フワフワの雲に覆われた賑やかな街で、デリンジャーを探すドフラミンゴとセニョールは、物珍しそうにキョロキョロとその通りを見回した。
    人通りの多い大きな通りを行き交う人々は、一様に角のように立ち上げた奇妙な髪型で、背中には白い羽根が生えている。
    地上の人間達と同じ筈なのに、僅かに変わる違和感を、ドフラミンゴは興味深く眺めた。

    「……"お嬢"は、居ないようだな。若。」
    「ん?あァ……。そうだな。」

    本来の目的に引き戻されたドフラミンゴは、連れてきたセニョールの言葉に困ったように返す。
    ビーチから少し歩いたところで、懐かしき"土"の地面と鬱蒼と茂る森を見つけたドフラミンゴ達は、"市街地"探索組と"森"探索組で別れた。
    明らかに、森を見上げて嫌そうな顔をしたドフラミンゴは、神憑り的なスムーズさで市街地へと回されたのである。

    「……畑か?ここにも"土"があるな。」
    「誰か居るな……色々と話を聞きたいが。」

    大通りを進み、市街地を出た二人の目の前に現れた、家庭菜園程度の小さな畑は、青々とした葉っぱや、美しい花が風に揺れていた。
    その中心で長くて白い髭を揺らした老人が、佇むドフラミンゴ達に気が付き、水やりの手を止める。

    「……珍しいな。"青海人"か。」
    「……?あんた誰だ。」

    長い布を巻き付けたような、粗末な衣装を纏う背中に、"羽根"は見えない。
    それも含めて言ったドフラミンゴに、その老人はゆっくりと髭を撫でた。

    「……ウム。吾輩、"神"である。」
    「「……。」」

    「……チェンジ。面倒臭そうだ。」
    「そうだな。もう一度、街を探そう。」

    あまりに傲慢なその台詞に、ドフラミンゴとセニョールがくるりと後ろを向いて言い合う。
    聞こえたのか、"神様"は複雑そうな顔をしてからジョウロを地面に置いた。

    「……分からぬ事も多いだろう、"青海人"。カボチャのジュースでも飲んで行くがよい。」

    「「……。」」

    名君を感じさせる、その老人の言い草にドフラミンゴとセニョールは思わず顔を見合わせる。
    当然、分からない事は多数。闇雲に探し回れる程、この島は狭くはないようだ。

    (……外面は良さそうだ。)

    諦めるように息を吐いて、ドフラミンゴはゆっくりと前へ足を踏み出す。
    最優先事項は、"護身銃"の在り処の特定だ。

    「……ここにも、"地面"があるのか。」

    不意に、口にした疑問を聞いて、目の前の老人が振り返る。
    そして、随分と、悲しそうに瞳を細めた。

    「ああ、我々の……"戦果"だ。」







    「ィヨォオオオシ!!!気合を入れろ!!!若は森だの虫だのが嫌いだが問題ない!!!何故なら、そのためにおれ達が居るからだ!!!!!」
    「いや別にその為では無い。」
    「しかしデケェな。何年ありゃァこんな森になるんだよ。」

    一方、愛しの王に森の中の探索を任されたディアマンテ達は、早速踏み入れた森の大きさにうんざりとため息を吐く。
    この鬱蒼とした空間から、あの小さな生き物を探し出さなければならないのだ。

    「闇雲に探して見つかるだろうか……。島の地図でもあれば……、」

    ヴェルゴの言葉を遮るように、背後で背の高い雑草がガサガサと揺れる。
    振り返った三人の前に現れたのは、"羽根"のある、揃いの白い装束を纏った人間達。

    「貴様らここで何をしている……?!"シャンディア"がこの区域に立ち入る事は許されていないぞ!!!!」

    「……あ?シャンディア?おれ達は……、」

    覚えのない台詞にぽかんと間抜けな顔をする三人をよそに、ピリピリと緊迫した空気がその場を支配する。
    その空気に比例して、ヴェルゴの瞳がサングラスの奥で赤い光を含んだ瞬間、踏み込む事無く"浮いた"白装束の集団が三人を囲んだ。

    「我らは"神隊"!!"スカイピア"の繁栄を司る、"神"の牙!!」

    明らかな敵意に反応し、振り返ったグラディウスの首がガクリと擡げる。
    そもそも、自分に牙を剥く事が、どういうことなのかを理解しない人間の振る舞いは、既にこの男にとっては"冒涜"だ。

    「あァ……苛々するぜ。この世に"神"は、"一人"だろうが……ッ!!」

    ######

    「……ノックアップストリームに乗ってこの島に来たが、仲間と逸れちまったんだ。」
    「……なんと。二人で探すにはこの島は広いぞ。吾輩の部下にも声を掛けようか。」

    爽やかな風が畑の草花を揺らす、まるで楽園のような場所に設置されたテーブルセットで、ドフラミンゴとセニョールは出されたカボチャのジュースを飲んでいた。
    こんなに、のんびりとしている場合では無いが、島の地形も分からない状態で、頼れるのはこの老人だけである。

    「いや、まだ他に仲間が居るんだ。そいつらが"森"の中は探している。」
    「……!!!"アッパーヤード"に入ったのか?!」

    突然、ドフラミンゴの言葉に椅子を蹴って立ち上がった老人が、好々爺とも取れる穏便さを潜め、厳しい剣幕で口を開いた。
    呆気に取られたドフラミンゴは、嫌な予感をひしひしと感じる。

    「……まずかったか?そもそもあの森は何だ。何故空に、土がある。」

    サングラスの奥で眺めた老人は、ゆっくりと椅子に座り直し、小さなため息を吐いた。

    「空島に……元々"大地"は無かったのだ。400年前、ノックアップストリームによって飛ばされてきた島の"残骸"があの森……"アッパーヤード"である。」
    「……確かに、あの海流なら、島ごと飛んでもおかしくはないな。」
    「大地は我々空の民に様々な恩恵を齎し、今では無くてはならない存在だ。……しかし、あの島には、"先住民族"が居た。……我々空の民とその先住民族"シャンディア"は、400年前からアッパーヤードを取り合っているのだ。……先日大きな戦闘があり、我々もシャンディア達もピリピリしている。今あの森に入られると要らぬ諍いを生む可能性がある。」
    「「……。」」

    老人の心底困ったような物言いに、ドフラミンゴとセニョールが思わず無言で顔を見合わせ、何とも言えない顔をする。
    400年に及ぶ闘争、張り詰めた緊張、取り合う大地。その全てに、良い影響を与えないであろう横槍。

    「……マズイんじゃないか、若。」
    「……よりによって、"脳筋トリオ"を放しちまったな。」

    うんざりと項垂れたドフラミンゴ達に、老人はキョトンとその瞳を丸くした。
    この島を取り巻く因縁に興味は無いし、ドフラミンゴはただ、デリンジャーを探したいだけ。
    完全にのんびりしている状況下では無い事を察知して、ドフラミンゴとセニョールは同じタイミングで席を立った。

    「……騒ぎを起こすつもりは無ェんだ。森の奴らはすぐに連れ戻す。この島の地図を貰えないか。」
    「ああ。持って来よう。すまないな。」

    「……"かみさま"。お客様ですか?」

    バタバタと身支度を整える二人の背後で、不意に小さな声がする。
    振り返ると、街に居た人間達と同じように、色素の薄い髪を角のように立てた幼い少女が心配そうにドフラミンゴ達を見上げていた。

    「……?おお、久しぶりだ。どうかしたのか。」

    顔見知りのようで、老人が僅かに柔和な顔をして、その少女を覗き込むと、彼女はおずおずと大きな瞳に老人を映す。

    「また、お花を摘ませてもらいたいんです。今日は父上のお誕生日だから……。」
    「そうだったのか。好きに摘んで行くがよい。おめでとうと伝えてくれ。」
    「……ありがとうございます。かみさま。」

    先住民族から、領土を奪った空の住民。その闘争からは想像出来ない、平和染みた大きな瞳。
    ドフラミンゴは足元の少女をゆっくりと見下ろした。

    「おれ達の事は気にしないでくれ。すぐに立ち去るぜ。……お嬢ちゃん。名前は?」

    この生き物は、どう見ても"戦争"を知らない。
    ドフラミンゴの瞳の奥で、燃え盛る炎を見抜かないその少女は、余りにも可愛らしく笑顔を見せた。

    「……"コニス"です!へそ!!」

    ######

    「……クソッ!!面倒な島だぜ!!何も起きてなきゃァ良いが……!!」
    「おれが一泳ぎ行って来るから、若は船に戻ってな。」
    「何なんだ、どいつもこいつも……!!おれァ別に森も、虫も大丈夫なんだよ!!!」

    老人の元を後にして、森へ向かうセニョールとドフラミンゴが口々に言い合う。
    そして、セニョールが地面に"潜った"瞬間、ドフラミンゴは糸を投げてフワリと浮かんだ。

    「……若。イイ男に必要なモノを教えてやろうか。」
    「……なんだよ。」
    「自分の弱さを認める器さ。」
    「うるせェな!!!」

    からかうように笑ったセニョールへ、思い切り嫌そうな顔をしたドフラミンゴが噛み付くのを、セニョールは楽しそうに笑って、スイスイと泳いで行く。
    この男は、いつまで経っても、"難儀"なままなのだ。






    「なにが"神隊"だ、口ほどにもない。」
    「しかし……何だったんだ。勘違いをされていたようだが。」
    「なんだって良いだろ!!吹っかけて来たのはあっちだぜ。おれ達はただ、殴り返しただけだ。」

    一方、"脳筋トリオ"もとい、森探索組は、突然襲い掛かってきた"神隊"達を丁度退けた所だった。
    倒れて、積み重なった人間達を跨ぐと、更に奥へと歩みを進める。

    「……まずいな。こんなに木が生い茂っていたら、暗くなるのも早そうだ。」
    「ドフィ達に一度合流するか?三人でこの森の捜索は無理じゃないか?」
    「若に任された仕事だ。おれは遂行するぞ。」

    先の見えない広さに、些か不安になってきたヴェルゴとディアマンテが視線を交差させて、不安を口にした。
    未だやる気に満ち溢れて居るのはグラディウスだけである。

    「……居たぞ!!セニョール!!」
    「良かった!!まだ何も起こしていねェな?!?!」

    「「「……お?」」」

    ガサガサと木々がざわめき、見慣れたピンクのコートがふわりと翻った。
    ディアマンテ達が知った気配にぐるりと振り向いた瞬間、ザバリとセニョールが地面から現れる。

    「……オイ!!すぐ森を、」

    木の根が張った地面に着地して、開口一番言ったドフラミンゴは、足元に散らばる人間達に言葉を失い、能面のような顔でパシ、と額に手を当てた。
    全てを察したセニョールも、諦めたようにタバコに火を点ける。

    「……なんだ?なんかあったのか???」
    「……あったが、もう良い。やっちまったモンは仕方ねェ。」
    「どうする、若。燃やすか?埋めるか?」
    「……………………埋める。」

    キョトン、と、首を傾げる"脳筋共"は、事の重大さを未だ理解はしていなかった。
    無かった事にしようと、大きな穴が掘れそうな場所を探し出すドフラミンゴとセニョールを静かに眺めている。

    「ドフィ、デリンジャーは居たのか?」
    「居ねェし、想像以上にこの島はややこしい事態が起きているようだ。島の地図を手に入れたから、一度、」

    ヴェルゴの言葉に、懐から地図を取り出しながら言ったドフラミンゴの顔に、妙な影が落ちた。
    突然暗くなった視界に、ドフラミンゴの言葉が途切れる。
    その瞬間、パキパキと小枝が落ちる音と、ズルリ、ズルリと、何かを引き摺るような音が響いた。

    「……わ、若。」
    「あ?何だよ。」

    ドフラミンゴの背後、そして遥か上に顔を向けたグラディウスが喉の奥から震える声を絞り出す。
    ヴェルゴ達も一様に、ドフラミンゴの背後を見上げ、血の気のない顔であんぐりと口を開けていた。

    「ドフィ……。振り返らずに、ゆっくりと前進だ。ホーラ、こっちおいで。」
    「何だよディアマンテ!おれァ犬か!!」
    「シーッ!!若!!マジで、シーッ!!!!」
    「ドフィ……!静かに動け、ゆっくりだ……!!」
    「若!この世には知らなくても良い事はたくさんあるんだぜ……!!」
    「なんだよお前ら、急に、」

    焦り散らす幹部達の言葉を無視して、ゆっくりと振り向いたドフラミンゴのサングラスに、チロチロと覗く、長くて赤い舌が映る。
    ドフラミンゴの口角がグイ、と思い切り下がった瞬間、その見上げる程大きな"大蛇"は、大口を開けてドフラミンゴ達に襲い掛かった。

    「「「「「フザケンナァアアアア!!!」」」」」

    ドフラミンゴの指先から放たれた糸が、大蛇に絡み、その矛先が逸れて、轟音を上げながら、大きな牙が木の幹に食らい付く。
    その牙が触れた太い幹が、焼けるような音を立てて、溶けていく様を、ドフラミンゴ達はあ然として眺めた。

    「……逃げるか。」
    「その方が良さそうだ。」

    ブチブチと切れていく糸と、ぎょろりと動いた細い瞳孔に、ジリ、と後退る。
    ぐるりと背を向けて、一斉に走り出した視界の隅で、想定外の小さな"影"が動いた。

    「……ウワァアア!!」
    「……ッ?!ガキか?!」

    叫び声を上げ、尻もちをついた見知らぬ少年に、セニョールがいち早く近付き、その小さな胴体を担いで走り出す。
    葉っぱで作られた簡素な服に、"スカイピア"の住人達とはまた違う"種類"を察知して、ドフラミンゴは一瞬、瞳を細めた。

    「走れ!!!牙に触れるなよ!!!」

    今度こそ、走り出したその瞬間、大蛇の体が大きくうねり、太い木々を薙ぎ倒した。

    ######

    「ハー、ハー……。は、全員、いるか?」
    「居るよ。ったく、何なんだこの森は……。」
    「デリンジャーを探すどころじゃねェな。」

    悪路をめちゃくちゃに走り抜け、湖畔に辿り着いたドフラミンゴ達は、段々遠くなっていく、木々の薙ぎ倒される音にホッとして、その場に座り込んだ。
    湖らしきその水も、ビーチの海のように真っ白で、ドフラミンゴは何となく、青い海を恋しく思う。

    「なんだよ、セニョール。妙なモン拾ってきやがったな。」
    「ん?あァ。大蛇に食われても寝覚めが悪い。ボーズ、立てるか。」
    「……あ、ありがとう。あんた達、青海人か。」

    10歳や、そこらだろう。その幼い少年は、意外としっかりとした足取りで立ち上がり、気の強そうな瞳でドフラミンゴ達を見た。

    「あァ、お前、もしかして"シャンディア"って奴か。」
    「そうだ。アッパーヤードはおれ達の土地だぞ。勝手に入るな。」
    「アーアー、悪かった悪かった。分かってる。人探しをしているんだ。角の生えた、お前よりも小せェガキを見なかったか?この島に来る途中で逸れちまった。」

    木の枝の先に何やら貝殻を付けた棒をドフラミンゴ達に向けて言った少年に、疲れたように言ったドフラミンゴはネクタイを緩めてシャツの第一ボタンを開く。
    その仕草を目で追った少年は、何度か、パチパチと瞬きを繰り返した。

    「……知ってる。"アイツ"、お前らの仲間だったのか。」

    「「「「「……あ?」」」」」

    ######

    「"青海"より"軍神"が現れた……!!シャンドラの火も直に灯るであろう……!!」
    「戦いの灯火を……!!今日こそ我が先祖の悲願を遂げるのだ……!!」
    「蔓延る外敵を排除し、大地を手に入れるんだ!!!!」

    「キャーッ!かわいい!!風船みたいなおさかな!!!!」

    「「「「「イヤイヤイヤイヤ。」」」」」

    助けた少年に導かれ、少年の暮らす"雲隠れの村"へ辿り着いたドフラミンゴ達は、祭壇に食物を供え、戦いの狼煙を上げる"シャンディア"達を目の当たりにしていた。
    その石造りの祭壇の最上部で、ピチピチと動く魚を嬉しそうにつついているのは、まさかのデリンジャー。

    「……どうしてこうなった。」
    「ホラ、あの"ツノ"。おれ達が戦いの時に着ける"面"と同じなんだ。村の年寄り連中が"軍神"だと言って聞かねー。」
    「嘘だろ……。」

    少年が見せてくれたお面には、確かにデリンジャーと同じような角が二本付いている。
    一旦ぐるりと後ろを向いて、円になった保護者達は、難しい顔で一様に腕を組んだ。

    「どうするよ。ドフィ。あそこに割って入るのは相当気まずいぜ。」
    「完全に神様扱いを受けているしな。」
    「グラディウス、お前ちょっと行って来い。」
    「おれは若の命令しか聞かねェ。」
    「……そうか。じゃァ、行って来い、グラディウス。」
    「……。」

    とりあえず発見出来たのは喜ばしいが、デリンジャーを崇め奉るその異様な光景に、ドフラミンゴ達は引き攣る頬が隠しきれない。

    「……あんまり、戦況が良くないんだ。多分、何か縋るものが欲しいんだろ。」
    「……お前は、違うのか。」

    吐き捨てるように言った少年を見下ろして、ドフラミンゴはサングラスの奥で瞳を細めた。
    それを、見上げた少年の瞳が、嫌に明るい光を放つ。

    「"大戦士カルガラ"が、おれ達の唯一神だ。しかも、神は"縋る"ものじゃない。」

    ギラギラと光る幼い瞳。スカイピアの少女とは、正反対の"価値観"。
    その、平和を"知らない"瞳の奥で、燃え盛る炎をドフラミンゴは知っていた。

    「……客人か。」
    「"酋長"……!アイツの仲間を連れてきた。やっぱりアイツは軍神なんかじゃない!あんなの止めさせろよ!」
    「グッジョブクソガキ!!」

    ドフラミンゴ達の背後に現れた、動物の頭を模した被り物を頭に乗せている老人に、少年が生意気そうに言う。
    グラディウスは思わず少年に向けて親指を上げた。

    「……そうだったのか。それはすまない事をした。皆には私から言っておく。お詫びと言ってはなんだが、……ゆっくりしていきなさい。」

    皺だらけの手のひらを、一度少年の頭に置いたこの村の長は、酷く、疲れたような顔で言う。
    スカイピアの住民達は、何も知らずに平穏な日々を送っているようだが、この村は違うようだ。

    「あ!!わかさま!!もォーッ!どこ行ってたのよーッ!!」
    「……そりゃこっちの台詞だぜ。」

    祭壇に近付いたドフラミンゴにやっと気が付いたデリンジャーは、嬉しそうに声を上げてその腕の中へと飛び降りる。
    小さな体を軽々受け止めたドフラミンゴは、ため息混じりに低い声で言った。

    「ねェわかさま!"そらじま"は、あったわね!!」
    「フフフフッ……。誰も、無いなんて言ってねェだろうが。」
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    Replies from the creator

    recommended works

    kgkgjyujyu

    INFOマロ返信(03/26)
    ※禪院恵の野薔薇ちゃんについて
    このお話の野薔薇ちゃんは、禪院家の圧により高専には通わず、地元の高校に通っている設定なので、呪術師界隈のどす黒い風習や御三家の存在を知らぬまま、知らない男の嫁になりました。(恵との約束を思い出すのは暫く先です)

    最初の数ヶ月はおそらく死ぬほど暴れたし、離れからの脱走も何度も実行しておりましたが、離れの周りには恵が待機させた式神が野薔薇ちゃんの存在を感知した際に、即座に知らせる為、野薔薇ちゃんが離れから逃げられた試しはないです。
    なので、恵が訪ねてきても口はきかないし、おそらく目も合わせなかったとは思います。
    恵は、自分が愛を与え続けていれば、いずれは伝わるものと、思っている為、まったく動じません。

    ★幽閉〜1年くらいは
    恵に対する愛はない。けれど、野薔薇ちゃんが顔を合わせるのは恵だけなので、次第にどんどん諦めが生まれていきます。ちなみにRのやつは4年後なのでこの段階では身体に触れてすらいない。毎日、任務のない日は顔を見せて一緒に過ごす。最低限の会話もするし、寝る場所は一緒です。時間があるときは必ず野薔薇ちゃんの傍を離れません。


    2回目の春を迎えても、変わらない状況に野薔薇ちゃん 1202