だって顔がいい太陽が沈んで空には星が瞬いている。電灯の少ないこの辺りは月のあかりも届かずにぼんやりと薄暗い。
近道に細い路地のような道を歩いていた新一は、れ”を視界の端に捕えて思わず足を止めた。
見間違えようもない、人間だ。
石造りの塀と電柱の隙間にもたれ掛かるように倒れ込んでいる。一瞬死体かと思ったが、僅かに上下する肩から息をしていることがわかった。
汚れた服装、怪我は無さそうだ。大怪我でもしていれば、新一は迷わず助けに動いただろう。何よりそうなった状況と経緯に興味を引かれてしまう、そんな少しばかり変わった性格をしているのだから。
しかしそこに落ちている男は疲れきって疲弊している、という雰囲気だ。汚れたスーツのような服装に髪の色は透き通るような金色。どこぞの暴力団の構成員かそのあたりだろうと当たりをつける。
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