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    メイ(皐月)

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    メイ(皐月)

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    別垢でやっていた、思いついたところだけ書くシリーズ

    男装監督生。ヴィルと監督生。ヴィルさんは美に対するとこならなんでも厳しい(と思う)

    #twst
    #男装女監督生

    「ちょっと新ジャガ!待ちなさい」
    やっばい、今一番会っちゃいけない人に会ってしまった。運が悪い。私は足を止めて振り返る。
    「こんにちはシェーンハイト先輩。急いでいますのでこれで失礼します」
    ペコリと頭を下げそのまま視線を合わせずにもとの方向へと向かう。しかし厳しい先輩の目がそれを許さなかった。ピタリと私の身体が硬直する。物理的に。
    「アタシは待ちなさいと行ったはずだけど?」
    マジカルペンをポケットにしまいながら眼前にたちはだかった先輩は、私の髪から滴り落ちる水滴を見てため息をついた。
    「なんで濡れ鼠なのよ」
    「はは…、空から水が降ってきまして」
    「快晴だけど」
    「そーですねぇ…」
    仕方ないじゃん、降っきたんだ水の塊が。雨だなんで一言も言ってない。バケツが一緒に降ってこなかっただけマシだ。誰も近付いて来なかったあたり意図的なものだろう。あぁイヤだなやっかみなんて面倒臭い。しかも次の授業は月に一度しかないマナーレッスンだ。一度でも出ないと単位がヤバイ。故に私は早くここから立ち去りたい。あぁでもどうしよう式典服。今の私は先輩が言う通り濡れ鼠状態だ。実は下着までグッショリだ。嘘でしょ式典服もっと防水面で頑張って欲しかった。折角頑張った化粧もきっとドロドロに違いない。うぅ、女としてツライ。男の格好してたって女は捨ててないんだよぅ。
    「あの、次の授業に遅れるので」
    「マナーレッスンなんでしょ。その格好で行けるわけ?」
    「だから着替」
    「どうせ夏冬一着ずつしか持ってないでしょ。しかも化粧落ちてるわ。いいからいらっしゃい」
    くっ、言いたいこと全部先回りされた。先輩が私の手を引くとスッと魔法が解けて身体が動く。そのまま引き摺られるように近くの部屋に連れてかれる。
    「ここは…?」
    「映研の部室よ。あぁまだ濡れてるんだから周りのものに触らないで頂戴。そこに立ってなさい。式典服は脱いでここに置く」
    テキパキと指示を出しながら奥の部屋に入っていくと、大きなコスメバッグを持って戻ってきた。え、もしかして。
    「化粧直すわよ。早く式典服そこに掛けなさい。もう、インナーまでグッショリじゃないの」
    指差された衣紋掛けに式典服を吊るすと、先輩がマジカルペンをかざす。小さな竜巻が起きてキレイに水分が飛んだ。うせやろ、すごいな。昔おばあちゃんちで見た着物のようにキレイに衣紋掛けに掛かっている式典服に感嘆する。しかし衣紋掛けってこの世界にもあるんだな。和服みたいな服装も存在するのだろうか。
    「さ、次はアンタよ新ジャガ」
    有無を言わさず私に向けられたマジカルペンから温風が吹きかけられる。あれだ、ドライヤー。難点を申し上げるなら一度に浴びせられる無遠慮さですね!時短なことは分かりますが。
    ほぼ一瞬にして乾かされた私は、ペンが下げられるがままにスツールに着席する。
    「下地塗るからじっとしてなさい」
    「えっ、下地から…?」
    先輩そろそろ授業始まりそうなんですが。丁寧に下地からしてくださらなくてもとにかく早く解放してほしい切実に。アイラインだけでいいですよ、何ならすっぴんでも怒られることはない。ましてや遅刻したほうが怒られる。
    「先輩も授業に遅れちゃいま」
    「口を閉じなさい。アタシは中途半端が一番嫌いなの。化粧を疎かにしないの。まずはカタチから入りなさい。マナーだってそう。いきなり全部が身に付くなんて一部だけよ」
    話を続けながらも、手は寸分の狂い無く化粧を施していく。数分とかからずに仕上げられた化粧は最低限に抑えつつも完璧なまでの仕上がりだ。
    そのまま式典服まで着せ付けてもらった私は、明らかに自分で着付けたよりも数倍は整った出で立ちになっていた。
    「ありがとうございました」
    「着付け方忘れないように。アンタ肌がキレイだからスキンケアもちゃんとしなさい。卑屈にならないこと。内側から変わればアンタをナメたヤツは自ずといなくなるわ。ほら、教室まで送るから。さっさと来なさい」
    結局授業にはギリギリ間に合ったけれど、教室まで送ってくれた先輩は大丈夫だったのだろうか。まぁ先輩なら大丈夫なんだろうけど。
    翌日、エペルくんにスキンケア一式を手渡され「ヴィルサンと何があったの…?」と、戦々恐々に聞かれたのはご愛嬌、ということにしておこうそうしよう。
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    男装監督生。ヴィルと監督生。ヴィルさんは美に対するとこならなんでも厳しい(と思う)
    「ちょっと新ジャガ!待ちなさい」
    やっばい、今一番会っちゃいけない人に会ってしまった。運が悪い。私は足を止めて振り返る。
    「こんにちはシェーンハイト先輩。急いでいますのでこれで失礼します」
    ペコリと頭を下げそのまま視線を合わせずにもとの方向へと向かう。しかし厳しい先輩の目がそれを許さなかった。ピタリと私の身体が硬直する。物理的に。
    「アタシは待ちなさいと行ったはずだけど?」
    マジカルペンをポケットにしまいながら眼前にたちはだかった先輩は、私の髪から滴り落ちる水滴を見てため息をついた。
    「なんで濡れ鼠なのよ」
    「はは…、空から水が降ってきまして」
    「快晴だけど」
    「そーですねぇ…」
    仕方ないじゃん、降っきたんだ水の塊が。雨だなんで一言も言ってない。バケツが一緒に降ってこなかっただけマシだ。誰も近付いて来なかったあたり意図的なものだろう。あぁイヤだなやっかみなんて面倒臭い。しかも次の授業は月に一度しかないマナーレッスンだ。一度でも出ないと単位がヤバイ。故に私は早くここから立ち去りたい。あぁでもどうしよう式典服。今の私は先輩が言う通り濡れ鼠状態だ。実は下着までグッショリだ。嘘でしょ式典服もっ 1771

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    やっばい、今一番会っちゃいけない人に会ってしまった。運が悪い。私は足を止めて振り返る。
    「こんにちはシェーンハイト先輩。急いでいますのでこれで失礼します」
    ペコリと頭を下げそのまま視線を合わせずにもとの方向へと向かう。しかし厳しい先輩の目がそれを許さなかった。ピタリと私の身体が硬直する。物理的に。
    「アタシは待ちなさいと行ったはずだけど?」
    マジカルペンをポケットにしまいながら眼前にたちはだかった先輩は、私の髪から滴り落ちる水滴を見てため息をついた。
    「なんで濡れ鼠なのよ」
    「はは…、空から水が降ってきまして」
    「快晴だけど」
    「そーですねぇ…」
    仕方ないじゃん、降っきたんだ水の塊が。雨だなんで一言も言ってない。バケツが一緒に降ってこなかっただけマシだ。誰も近付いて来なかったあたり意図的なものだろう。あぁイヤだなやっかみなんて面倒臭い。しかも次の授業は月に一度しかないマナーレッスンだ。一度でも出ないと単位がヤバイ。故に私は早くここから立ち去りたい。あぁでもどうしよう式典服。今の私は先輩が言う通り濡れ鼠状態だ。実は下着までグッショリだ。嘘でしょ式典服もっ 1771

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