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    shimanyan112

    @shimanyan112

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    shimanyan112

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    明智×マックスウェル(?)
    マックスウェルがわんこになっちゃった!?
    相変わらずの一方方向っぷりが酷いw

    見えるもの全てが正しいとは限らない「ゲホッ、ゲホッ、、」

    廊下の片隅で、肺のものを全部絞り出すように咳き込む。

    吸い込んだ量はそれほどでも無かったはずなのに、その気体の効果なのか若干頭がふらりとした。
    気分が悪くなるのを抑えつつ、元凶から逃げ出すように廊下を壁伝いにひたすら歩いた。



    事の発端は、昼食にしようと寄った食堂だった。

    たくさんのサーヴァントが居るカルデアでは、さすが昼食どきには人でいっぱいで。
    すでに食事を終えている者から、注文する者、はたまたメニューボードを見たまま固まっている者また多種多様である。
    サーヴァントは食事を必要とはしないが、生前の生活リズムがある故に、定期的に食事をとっているのだが、今日は生憎一人である。
    本来ならば信長様と食事を共にするべきなのだが、昨夜は遅くまで宴会をされていて、私が身なりを整えて部屋を出る時にもまだ夢の中のようだった。
    食事を共にする友人はいるのだが、今日の彼は会いに行ったら生憎忙しいらしく、問いかけても生返事しかもらえなかったのでこうして一人で来た次第だった。

    色々な国籍や時代のサーヴァントが多いが故に、たくさん取り揃えた入り口のランチメニューに目を通す。
    和食御膳が美味しそうで、サイドメニューは何にしようかと思案していた。


    と、急に甲高い声が上がった。

    女性の声だった気がする。
    気がするというのは、声が上がってすぐ目の前が真っ白な煙に覆われたからだ。

    煙幕かとも思える煙は、微かに火薬とも違う香水にも似た匂いがした。

    もう食堂はパニック状態で、口々にサーヴァントたちが声を上げる。
    視界が塞がった状態では、不安になるのか誰かが風を起こしていて、その煙の逃げ場に入り口に一気に煙が鉄砲水のように飛び込んできた。

    「………………ぐっ…!」

    勢いよく来た煙に、思わず吸い込んでしまい、肺が煙で満たされる。
    その瞬間、何とも言えない気持ち悪さに頭がぐらりとした。

    まだ食堂内はパニックだったが、入り口にいた事もあり即座に廊下へと避難する。
    他にも何人かのサーヴァントが出てきていたが、逃げるように散り散りになっていった。

    カルデアの廊下は広い。
    とりあえず気分も悪いので自室に戻ろうとしているが、何分の遠いので足取りが重い今では中々たどり着ける気がしなかった。

    ふう、と壁に寄りかかり咳を何度かし、呼吸を整える。
    気分は少しは良くなったが、いっそあの怖いメディカルルームにいくのも手かと…。




    足を運ぼうとして、ふと袴の裾が重い。
    ん?と足元を見ると、そこのは信じられないものを目にした。

    「…………マックスウェル!!?」

    そこには足元でちょこんと座った彼がいた。
    えっ、何で?いつの間に??

    そもそも忙しいからって、ここ数日研究室に籠もっていたはずなのだが。
    真っ直ぐにこちら見るサングラス越しの双眸に、どぎまぎしていると、足元の彼が一言。

    『キャン』

    と鳴いた。
    喋ったと言うより鳴いた。

    理性で固められている彼の言葉に、一瞬で思考が停止する。
    その様子に、彼は首を傾げると、クゥン、と小さく呟いた。

    何の真似だろうか?
    もしや何かの特異点が現れて、サーヴァントたちがおかしくなったのだろうか?
    シュメル熱というサーヴァントすら感染する熱病が流行った事もある為、一概に否定は出来ない。

    「マックスウェル、どうしたんだ?」

    視線を合わせるようにしゃがみ込むと、彼の顔がぱあぁとそれは嬉しそうに輝いた。

    『キャン!』

    と声と同時に飛び掛かられて驚き、バランスを崩した私は廊下の壁にしたたか頭を打ちつけた。

    「ーーーーっ!」

    屈んでいたから幸いしたのか、それほど痛まなかったが、彼は問答無用でこちらに体を預けてくる。
    なんかいつもより軽い気が…………

    そんな事よりも、彼とカルデアの廊下で密着していることに頭はパニック状態で。
    擦り寄ってくる仕草は、まさしく犬そのもの。
    羽織の腕の中に収まると、ニコニコとした視線を私に投げかけた。

    ………可愛すぎる……

    私の理性を吹っ飛ばす破壊力満載の笑顔に、一瞬ここがどこか忘れかけた。
    私室なら当然の如く抱きしめていただろうが、ここはカルデアの廊下である。
    通路の端から誰が来るかもわからないし、監視カメラもどこかにあるかもしれない。
    彼が少しおかしくなっている以上、私が理性を保たなくては、と心に誓った。

    擦り寄ってくる彼の頭を撫でてやると、ふわふわっとした感触が指に心地いい。
    あれ?もっとサラッとした感触だと思っていたのだが、気のせいだったか?
    何度となく魔力供給をしていた間柄なので、彼の身体的特徴は理解している気ではいたのだが、と首を傾げた。
    撫でる指先が止まったことに気が付いたのか、彼が不思議そうにこちらをじっと見つめてきていた。

    「一体どうしたんだ?マックスウェル。一緒に部屋まで行かないか?」

    彼は言葉を理解してはいるようなのだが、何度か小首を傾げると、くんくんと鼻を寄せてきた。

    近い近い!!

    顔が近い!!

    そりゃあ、魔力供給時とかその他諸々で顔を寄せる機会はあるが、明るいし廊下だしで心臓の音がうるさく聞こえた。
    さらりとした前髪が、顔に掛かるほど近い。
    確かに顔は見慣れてはいるが、近くても問題無いと思えるほど彼に対しての感情は無頓着ではないのだ。
    押し殺している感情が幾分かあるからこそ、こう近いと湧き出てくるものがあるわけで。

    「こら、いい加減に……」

    と言葉を紡ごうとして、それは止まった。

    彼の唇が頬に触れたからだ。


    え……………………………

    もう完全に脳は思考を停止した。

    口づけをする時は往々にしてある。
    それは魔力供給するからだ。
    一種の手段であり、そこに恋愛だとかそういった類のものは含まれていない。
    いや、含まれている時もあってもいいかとは思うのだが、彼の性格上肯定されることは無い。
    私とて、手段として割り切っているが、口付けることで一つも感情が沸かないと言ったら嘘になるわけで。

    そう時折悶々とする気持ちを知ってか知らずか。

    彼には、あくまでもそう言う間柄でない関係がまだ続いている。

    だが頬は違う。
    確実なる愛情表現の一種に、今までのことも含めて思考が停止してしまったのも止む無しだった。

    彼は何度か頬に唇を寄せた。
    むず痒くなる感覚。

    そして

    『ぺろっ』
    っとそのまま頬を舐め上げた。

    ………………ん?

    ペロペロと頬を舐める小さな舌に、違和感が………。

    ガバッと彼を顔から引き剥がすと、彼はまた『クゥン』鳴きと首を傾げた。

    「一体どうしたんだ?何かあったのか?」

    そう聞いても不思議そうにするだけ。
    再び切なそうに擦り寄る彼に、廊下なのも忘れて抱きしめた。

    「元の君に戻ってくれ。そうで無いと私は……」

    聡明な彼が目に浮かぶ。
    やたら長い数式や、理解不能な機械用語を交えながら力説する彼は、とても楽しそうで生き生きとしていた。
    愛らしく甘えてくれることなんてとんと無いが、それでも彼の声が紡ぎ出す言葉はどれも博識で心躍らせるものだった。

    そんな彼のことを私は………


    今ならばこの気持ちを言葉に乗せるとこが……



    「………私は君の事が……!」








    バシャッ!!!

    その時天から水が降ってきた。

    確か廊下は室内だった思ったのだが。

    見上げると、そこには手に大量の瓶を抱えたマックスウェルが居た。

    「明智さん大丈夫ですか?」

    「……………あ、…あぁ………」

    気の抜けたような声しか出ず、今起きている現実との乖離に思考が追いつかない。

    「解毒剤効きましたか?まだ気分が悪いようならメディカルルームへ行ってください。副作用は今現在では分からないので、追ってカルデアより報告があるかと思います」

    解毒?何を言っている分からず、捲し立てる彼から視線が外せなかった。

    「明智さん本当に大丈夫ですか?おそらく食堂の煙を吸った事により幻覚を見ていたんですよ。今、無事なサーヴァントで解毒剤の散布を行なっているところです」

    話を聞けば、食堂のパニックは幻覚によるものが大きいとのこと。
    どうやら柱や椅子、机からスタッフまで、違う存在に見えているらしく、喧嘩したり愛を囁き合ったりともう大変だったらしい。

    なら私が見えていたものは……?

    と包み込んでいた羽織の隙間から、ぴょこっと顔を覗かせたのは一匹の犬だった。

    あぁ、確か曲亭馬琴殿が連れていた、犬の一匹だったか。
    召喚されたサーヴァントのお披露目会で、犬好きが大いに喜んでいたのを覚えていたのだ。

    「他にも変な事をしている人がいたら、これをかけてください。あぁ、早く終わらせないと抽出機に検体を掛けたままなんですよ。お願いしますね」

    彼は手にしていた瓶の何本かを私に押し付ける、そそくさと廊下を駆けて行った。

    手の中の犬が『キャン』と鳴くまで、その視線が彼から離す事ができなかったのだった。

    「……そうか、幻覚か……」

    彼がそんな事するはずがないと思ってはいたのだが、それを理解出来ないような効果が煙にはあったのだろう。
    よく考えれば、分かり切っていたはずなのに、と思いつつも幻覚と分かっているならばもっと楽しみ方もあったのかもしれないと、心の内で思った。

    腕の中の犬が、もぞもぞと擦り寄ってくる。

    「…心配してくれたのか?」

    そう問うと、犬は元気に『キャン!』と鳴いた。

    名は何だったか思い出せないが、往すがら誰かに聞くとしよう。

    解毒剤に塗れた髪を掻きあげると、瓶を抱えて立ち上がった。

    「一緒に行くか?」


    嬉しそうにはしゃぎ回る犬は、大きな声で鳴くと、嬉しそうに後を付いてくるのだった。









    その後、煙の効果が一番逢いたい人の幻覚を見せるものであると聞き、死ぬほどの羞恥心を味わった事を追記しておこうと思う。



    終わり



    「明智さんは誰の幻覚を見ていたんですか?」
    「ーーーー!!!!」
    「ど、どうしたんですか?固まって」
    「い、い、いや、そ、その、どう言ったら、いい、のか」
    「(動揺半端ないですね)あの、言い難いようでしたら大丈夫ですよ。ただの好奇心ですから」
    「……君は私の見ていた幻覚の相手を知りたいのか?」
    「まぁ、散布された薬の効果がどれだけ強力かくらいは検証したほうがいいかと思いまして」
    「………………………」
    「解毒剤を散布して、怒られた人も居たみたいで、幻覚と分かっていてもお相手に会いたい方は居たみたいですね」
    「確かにサーヴァントになる事のない親族に会いたい方もいるだろうな……君だったら誰を見たと思う」
    「さあ?特別逢いたかはいらっしゃらないので、未知数ですね」
    「……………そうか…」
    「で、誰だったんですか?」
    「ーーーーっ!!申し訳ないが心のうちだけに秘めさせてもらうよ」
    「……分かりましたよ(生前の奥様だったのかな?)」




    マックスウェル側もあったんだが、昼ドラ並みの愛憎劇になりそうだったので割愛。
    明智がどれだけ想いを寄せても、あっさり交わすのがうちのマックスウェルなので。

    煙の犯人はBBちゃん。薬はパラケルスス製です。
    マックスウェルは研究途中のため、駆り出されたけど早く帰りたくて仕方ないですw

    ちなみにわんこはドウセツのつもりだったりしますw
    コーギー可愛い
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