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    hell_kawaii_

    @hell_kawaii_

    創作天使色々乗せます多分
    リクエスト、疑問とか曲とかこんな天使が見たいとかあれば描きます。美味しいです

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    hell_kawaii_

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    赤い光が前も後ろも光っていて、サイレンの音が鳴り響いた。後方の光はパトカーの光で、前方は赤信号だ。バイクを派手に鳴かせてやり、そのまま交差点へと突っ込んだ。左方向から来た大型のトラックが、止まりきれず横に逸れようとしてそのまま横転した。仲間もぎりぎり体を倒して横転ギリギリを走り抜けて前へ出た。パトカーのサイレンの音は次第に聞こえなくなっていった。
    「姉貴前」
    仲間の声が聞こえた。前を向くと、真っ赤な光と白い光がグチャグチャに入り乱れて、その後は衝撃。
    これは死んだ後分かった事だが、アタシは前方から回り込んでいたパトカーに衝突して、警察諸共即死だったそうだ。





    憧れていた世界は、夜の闇の中にあった。きらきらと輝いているものが沢山ある。街の光も、消音器の無いマフラーから出る排気ガスの音も、肌に感じる風も、全てが新鮮で愛おしかった。
    「どうでした?」
    「繋がりません」
    時刻は深夜2時を回っていた。そりゃまともな大人でもとうに寝てるでしょ。小さな田舎町の小さな交番。警官の1人は私の向かいの椅子に座り、書き物をしている。もう1人は、数分置きに私の家に電話をかけていた。私は、味のしなくなったガムを噛み続けて、そろそろ顎が痛くなってきた頃だ。
    「君、今日はもう遅いから送って行くよ。もうこんな事したら駄目だからね」
    「うるせぇんだよ。死ねよばーか」
    立ち上がってテーブルに置かれていた紙コップに入っていた麦茶を警官に掛けてやった。慌ててもう1人が布巾を取りに行っている間に、テーブルを蹴って交番を出た。誰も迎えに来ない事くらい、これでもう3回目なんだから分かるだろうが。
    初めて警察に捕まった時、電話を受けて母が、直ぐに行きますと返事を返した後、いつまで経っても姿を現すことなく私は日付が変わる頃に家に返された。次の朝、朝食にトーストを齧っている所に母親が起きてきて、私の頬を3度叩いた。その後も泣いて怒鳴られたことは覚えていたけれど、内容に関してはママがという言葉を繰り返していたことくらい。母親には逆らえなかった。それは今も変わらないし、それがバレたらきっとまた圧迫した生活に戻ってしまうだろうから、それ以降顔を合わせるのは避けている。
    警察も、そろそろ親と話がしたいと粘っていたが、それも叶わなかった。次は捕まらないようにしようなんて思いながら、愛車のエンジンをかけた。

    「姉貴、大丈夫でした……?」
    バイクを少し走らせると、様子を伺っていた仲間がぞろぞろと裏路地から出てきた。
    「へーき。あんな奴ら大した事ないよ。我慢比べじゃあたしのが強いもん」
    爆音を鳴らして走り出すと、後に続いて、近くに止めてあったバイクに乗って他の連中も後に続いた。
    私は魔亞舞瓏(マーブル)というレディースの総長をしている。前の総長だったソノエダ先輩が死んで、特攻隊長をしていた私が後に継ぐ事になった。ここまで約一年。ソノエダ先輩には拾われた恩もあるし、何より魔亞舞瓏を失うのは私にとって居場所の喪失だった。仲間と居るのは楽しいし、走るのも好きだ。喧嘩も、酒に煙草、薬に男も、死ぬかもしれない恐怖が隣り合わせの崖っぷちを駆け抜ける感覚は、自分が生きているんだと思わせてくれていた。
    「さすが姉貴っすね」
    「止めてよ、あんたらのが年上でしょ?」
    調子のいい事を言って煽ててくれるが、利用されてることは分かってる。私がまだ15になったばかりの中学生で、捕まってもムショに入らない事を分かっているから私を前に立てている。そういう連中だった。ひよってんじゃねぇよと内心思った。捕まる覚悟もなく族名乗ってんじゃねえよ、私なら中学卒業した後だってこうやってお前らの前に立って走ってやる。

    ソノエダ先輩は強い女だった。死んだ時は二十歳だったが、魔亞舞瓏を立ち上げて5年間総長を務めていた。つまり、総長を務めた最初の頃は、今の私と同じ年齢だということ。
    喧嘩も強くて、バイクの走りもテクも飛び抜けていた。何より度胸があった。ソノエダ先輩と最初に走った夜は今でも鮮明に思い出せる。その日は雨が強く降っていた。背後から迫るパトカーの音と警察の怒号。向かいから走って来ていた自動車クラクションを鳴らしていた。先輩は避けなかった。そのまま前輪を浮かせて飛んだ。ウィリージャンプってやつだ。自動車のフロントガラスを台にしてさらに高く飛んで一回転。この時私らの方を見て、お前らも来いよと手招きしたのが見えた。先輩は笑っていた。咄嗟の事で私も他の連中も自動車を避けて通ったが、その後ソノエダ先輩はお前らダセェなと笑っていた。ソノエダ先輩は、走る時は絶対に道を譲らなかった。そして、道じゃない場所でも我が物顔で道にして走り抜けてしまう。私はそんな先輩に憧れたのだ。暇さえあれば何度もウィリージャンプの練習をした。何度もバイクから身体が投げ出されて、受身を取ることの方が覚えたと思う。先輩にも稽古をつけてもらっていたけれど、ぼろぼろになるばかりだった。悔しがっていると、度胸あるなと褒められて、その後は酒を奢ってもらっていた。ウィリージャンプが初めて成功した日、魔亞舞瓏のメンバーを集めて、先輩が言った。
    「アタシが居なくなる事があったら次の総長はこの子だよ。あんたら文句付けんじゃないよ。」
    その日から私は特攻隊長を務めた。それから数ヶ月たって、ソノエダ先輩はあの事故で死んでしまった。

    夜の海は真っ黒で明かりなんかひとつも無い。そんな国道沿いを走りながら、生前の先輩のことを思い返していた。
    「お前さ、育ちも度胸もアタシそっくり。アタシらって姉妹だっけ?」
    「え?」
    ある日、ソノエダ先輩がそう言って笑った。国道沿いにあるガソリンスタンドで先輩は働いていた。そこが仲間の溜まり場にもなっていた。私は先輩の事をよく知りたくて、他の仲間が集まるよりも誰よりも早くガソリンスタンドに来ていた。時々仕事を手伝いながら、先輩の働く姿を見ていた。先輩は、私が見るに良い家の育ちなんだと思う。食事の時の礼儀作法はきっちりしてるし、何をするにも手つきが綺麗だ。だからと言ってそこらの一般人と違うオーラもあって、不思議な人だと感じていた。
    「んや〜、可愛い妹を持った気分でアタシは嬉しいんだよ。何か飲む?」
    「ありがとうございます。じゃあ……マックスコーヒーで」
    「あいよ〜。美味しいよねこれ」
    今思えば、特別可愛がられていた様な気がする。一番年下だったこともあるが、確かに近いものを感じているのも事実だった。
    近くにあった自販機に小銭を入れてボタンを押すと、咄嗟に先輩は自販機に体当たりした。がこんと音がして、マックスコーヒーは2つ出てきた。片方を私に投げ渡し、親指を立てて無邪気に笑った。
    「先輩はどうして族になったんですか?」
    缶を開けながら先輩に聞いてみた。何となく、答えは察していた。近いものを感じているのは、家にも学校にも居場所がない圧迫感や、寂しさから来るものだと話をしているうちに何となく分かった。
    「んー、まあ何?知り合いが族してたからその縁。初めはそっち入ろうかと思ったけど、男と走んの嫌だから自分で作ったんだよね。走んの楽しいじゃん?自由でさ」
    ソノエダ先輩は一気にコーヒーを飲みきって、片手でそのまま缶を潰した。自販機横に設置してあるゴミ箱に投げ入れようとしたが、見事に外れた。先輩は笑いながらフラフラと缶を取りに行って、手でゴミ箱に捨てた。
    「アンタは?魔亞舞瓏に入って自由になった?」
    「はい……!先輩のおかげですよ」
    そういうと、先輩は突然抱き着いてきた。咄嗟のことで、ついコーヒーから手を離してしまい、残りが地面に零れてしまった。
    「先輩苦しいですってば!」
    「はぁぁあ〜可愛い〜」
    逃げようとしても、先輩は大人だし強い人なので、逃げられなかった。何より、顔に当たる先輩の柔らかいモノが大きくて苦しくて、ちょっと心臓が持たない。じゃれ合ってるうちに他のメンツがやって来て、後輩いじめてんすか?なんておちょくってきた。ソノエダ先輩は、私の飲みかけのコーヒー缶をそいつに投げて、べちゃべちゃにして笑った。

    あのガソリンスタンドを通り過ぎて行くのを横目に見た。あのガソリンスタンドは、もう溜まり場にはしていない。あのガソリンスタンドを見る度に、皆先輩の事を思い返してしまうからだ。今は、この先の廃工場を溜まり場にしている。私はまだ、先輩のような強い総長にはなれない気がした。














    死んでから数十年と時が経った。何と、アタシは20のまま数十年経っても歳をとっていないのだ。今日も愛車を走らせてターゲットを追っていた。
    「悪い子だぁれだぁ???」
    人間は、振り返る度に恐怖で満ちた顔をしてくれた。でも残念ながら、こいつは走る筋肉が無い。愛車もだらだらと走らせなければ、この人間に簡単に追いついて殺せてしまう。身体でバランスを取りながら大剣をぶん回す。腕の肉を削ぐと、落ちる前に大剣ですくい上げ、投げて口にくわえた。あ、やべぇわ、こいつクソまずい。
    「ゲロまずいんだよてめぇ。死んで詫びやがれ」
    人間はさらに悲鳴を上げた。そして次の瞬間、情けなく足がもつれて転けた。
    轢き殺すのは愛車が可哀想で、咄嗟にジャンプして人間をかわした。
    「は?なめてんのかお前」
    愛車を停めて、人間に近寄ると命乞いをされた。殺さないでくれ、助けてくれ。その繰り返しで、切り落とした腕を抑えて転がっている。
    「まじ気持ち悪。萎えたわ。死ねよばーか」
    大剣を頭に振り下ろした。人間の魂を回収して、それから直ぐに大剣に着いた血を払った。
    「よぉちよちぃ。今日も汚い血肉によく耐えまちたねぇ」
    大剣を褒めてやった。最近の若者達は……なんてまあこんな事言うとババア臭いのかもしれないけど、本当に最近の若い奴は度胸が無い。昔ならマッポと喧嘩なんかもしょっちゅうあったし、殺される前に殺すのが普通だった。いや、アタシらの世界がって話だけど。この人間もアタシと同じような世界にいたはずなのに、こうも今は弱いんだな。なんて、手応えのない相手を仕事にするのは欠伸が出て仕方がない。
    「そーいや、アイツ元気してっかなぁ」
    手応えのない仕事をしてると、生前の連中が懐かしくなる。特に一番年下だったアイツの事は今も気にかけてる。もう会うこともないし、とっくに歳食ってるかアタシみたいに早死にしたかもしれないけど。
    あの頃は、きらきらした世界だからなんて軽率な理由で皆が皆非行に走っていた。あの頃は良かった。力強くて、輝いていた。そして何より、走る道が気の向くままに続いているように感じたのだ。
    今の陰湿で暗くて弱気な世界を見ていると、世界中が真っ暗な夜の海に沈んだかのように見えてしまう。誰ひとりとして、自分の道を歩けない。そんなように感じる。
    「ソノエダさん、次の仕事入りました。今いる所の隣町のタケモトって男です。よろしくお願いします」
    通信が入る。
    「了解しましたー」
    大剣を背中に背負って愛車のエンジンをかけたら、爆音を鳴らして真っ直ぐ走り出した。
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    hell_kawaii_

    DONE夏休み

    ねこぜり?ぜりねこ???の学パロです
    生い茂る葉がキラキラと光って見えた。棒アイスを口に突っ込んで、木漏れ日の揺れるバス停のベンチに座って足をぶらぶらさせた。
    夏は日焼けをするから嫌いだ。お外に出たいなんて思わないし、ただでさえ何もしなくても汗をかく。夏休みだった。肌が小麦色に焼けた小さな子供たちが道を駆け抜けていく。少し待てばバスが来た。バスに乗ると、生ぬるい風が肌にあたって気持ち悪かった。節電にご協力ください、と書かれたポスターが嫌でも目に入るので、僕はそれをビリビリに破いてしまいたいと思った。


    学園前のバス停で降りた。学園前なんて体のいい言葉でまとめられているが、実際は山の麓で、坂道を登りきらなければ学園の門すら見えない住宅地だ。食べきったアイスの棒を口にくわえたまま歩いて登る。自転車で坂を走る主婦は、腰を上げて必死になってペダルを漕いでいる。こんな坂道だと言うのに、その主婦を追い抜いて、肌を黒くした野球部が列になって走り去って行った。よくやるなぁ、なんて呟いて、なるべく木陰や日陰をゆっくり歩いた。
    やっとの事で学園に着いた。ちょうどお昼を過ぎて、運動部の生徒たちが食後のウォーミングアップを始める頃だ。ちらほらと 4545

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