おきつねともらいもの(3)「あっ」
草むらから飛び出た枝に紙袋の取っ手が引っかかり、おれは思わず景気のいい鼻歌を止める。かなり傾いてしまった感覚があり、すぐに中をのぞきこむ。幸い中身はしっかりと入ったままで、おれはほっとする。歩けばすぐ息が上がっていた山道も繰り返せば慣れたもんだ、なんて油断をしていた。自然とはこういうもの。そんな今思い出すには大げさな言葉が浮かんでくる。
すると数メートル先で高い木の枝がしなり、どさどさと音を立てて積み上がった雪を降らせた。水分を含んだ雪が目の前で砕け散る。
「……気をつけよう」
道中あれを頭に受けて動けなくなったから助けてもらいました、なんて格好つかない。
何度か頭上を確認しながら、おれは人気のない山の奥へと歩いていった。
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