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    marushu_tw

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    世界は愛で溢れてる(https://odaibako.net/gacha/1045)さんのお題で書いた左寂

    #左寂
    leftSilence

    左馬刻の家には、とても大きい窓がある。中途半端な時間に起きてしまった時は、カーテンを少し開け、ベッドの縁に腰掛けぼんやりとヨコハマの夜景を眺めるのがいつの間にか寂雷の習慣になっていた。
    「寒くねぇの」
    「おや、起こしたかい」
    左馬刻が寂雷の肩にシャツをかけ、そのまま隣に座り細い腰に手を回す。煌々と輝く満月の下、ふと、寂雷が掠れた声で呟いた。
    「月が、綺麗ですね」
    左馬刻の視線が上を向く。口元がふっと緩み、「そーだな」と静かに返した。言葉の意味が伝わらず曖昧に微笑んだ寂雷の唇に、かさついた唇が重なった。
    「……アンタがいるから、なおさらな」
    分かっていないかと思えば、本質を捉えた言葉に意表をつかれ思わずクスクスと笑い出した寂雷に、左馬刻が眉を顰める。宥めるようにキスを返すと紅い瞳がギラリと光り、菫色の髪がシーツに広がった。
    「いいだろ、先生」
    答えるかわりに、寂雷はゆっくり目を閉じる。深い口づけを交わし笑いあった二人を、細い月明かりがそっと照らしていた。
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