裏垢持ってる加州清光の話 主は一人だけど刀剣男士はたくさんいる。
その中で主に選ばれる一振りになれるなんて奇跡に近いんだってわかっていた。だって俺は名刀でも、すごい逸話を持つ刀でもない。見目だって俺よりずっとかわいいやつもカッコいいやつもいる。そんなことはわかってた。だけどさ、やっぱほんとに同じ本丸の誰かが主に選ばれるのを見ちゃうってのは辛くない?
主に恋刀ができた。
もちろんそれは俺じゃないやつで、でもそいつのお陰で主は見たことないくらい幸せな顔で笑ってる。
泣きたい。よかったねって言ってやりたい。なんで俺じゃないのって縋って、困らせたい。幸せになりなって伝えたい。
ぐちゃぐちゃの心のまま部屋に戻る。一人部屋。電気もつける気なんて起きない。
8009