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    fuki_yagen

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    fuki_yagen

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    ロくんが年下の方のΔロナドラです アカジャに作画配信情報まで含むかも
    ようやくこっちも書けた〜!

    #ロナドラ
    Rona x Dra
    #Δロナドラ
    #ロド
    rhodo

    Perfect Meeting!「やっぱりダメですね、針が通りません。正確には刺さった瞬間針を巻き込んで再生、2秒で押し出されるので採血できません」
    「再生能力エッッッグ」
     化物だな本当、と額を抱えて溜息を吐いているドラルクの横で、仏頂面をした半田ががちがちに固定され涎を垂らして寝ている間抜けヅラの大柄な吸血鬼を眺めている。なあ、と金色の目がドラルクを見下ろし、吸血鬼を指差した。
    「この程度の拘束では目が醒めた途端にぶっちぎるぞ。いや、寝返りでぶっちぎるかもしれん」
    「わかってるけどVRCの一番強い拘束具でもどうせダメでしょ。どのみち壊されるなら被害が少ない方がいい」
    「何故VRCに……直接やり合った貴様なら、対処できないとわかっていただろうが」
    「そういう決まりなんだからしょうがないでしょ。半田君こそ、本当に一瞬しか一緒にいたことなかったんだよね? 大侵攻のこと予め知ってたってことはないんだよな?」
    「くどいぞドラルク。知っていたなら通報したわ」
    「どーだろうなー。君んとこの昼行灯ならなんかしら企んでもおかしくないんだよなー」
    「胡散臭いのは承知だが、マスターだって知っていたわけはない」
    「承知しちゃうんだもんな君。君んとこのボスだろもうちょっと庇えよ」
     いやしかしほんとに困ったな、とドラルクは苦い顔をする。
    「血が抜けないとなると弱体できない。このままここで目覚められたらVRCがよくて半壊、悪くて全壊だぞ。一般職員を避難させた方がいいかも」
    「お前も死ぬんじゃないか」
    「そこは頼むよ半田君」
    「俺は貴様の部下じゃないぞ」
    「退治人の知り合いの吸血鬼が吸対隊長を殺したとかいい記事になるだろうなあ」
     ふん、と半田は鼻で嗤ってにやりとした。
    「知るか。こいつはバカだから川にでも放り込んでおけと忠告はしたぞ」
     そんなの報告書に書けないだろうが、とドラルクはイッと牙を剥く。半田はにやりとしてすぐにロナルドへと視線を戻した。
     知るか、などと言いながらそのときになれば助けてくれる男だ。甘い、というより職務には真っ当、ドラルクとも付き合いは長い。
    「そういえばバカってどういう感じなの。もの知らずの箱入り吸血鬼?」
    「いや、地元じゃ負け知らずの不良がイキってるのほうが近い」
    「マジのバカじゃねえか」
    「だが、箱入りも間違ってはないな。こいつには兄と妹がいるが、この兄も強大な吸血鬼でな。弟妹にめちゃくちゃに甘い。ロナルドが捕まっているなどと知れれば、今度はあいつが本気で襲撃してくるぞ。ロナルドと違ってそこそこ生きてるからな。昔はブイブイ言わせてたもんじゃと言っていたし、人間相手でも容赦はしないかもしれん」
    「今度こそ死人が出るんだが……」
     こんな凶暴吸血鬼じゃどうせ事情聴取もできないしさっさと城に帰って二度とこないでくれないかな、と口には出せないことを考えながら溜息を吐き、ドラルクはふと表情を引き締めてVRC職員に退室するよう告げた。
    「目覚めるぞ、半田君。作戦通りに頼む……いやこの作戦本当に大丈夫か? 失敗したら私が死ぬぞ」
    「バカめドラルク! 俺も死ぬわ!」
    「胸張るなよ」
     どうしても離れてくれなかったジョンが、肩の上でヌフー、と溜息を吐いている。フガッ、と間抜けヅラで鼻を鳴らした吸血鬼が、黙っていれば彫刻のような顔立ちの、長く密度の濃い睫毛に彩られた瞼をゆっくりと開いた。のろ、と視線を巡らせ、瞬間寝惚けて濁っていた赤い瞳がはっと覚醒する。
    「うわなんだこれ。フンッ!」
    「秒じゃん……」
     はじけ飛んだ拘束に呟き、ドラルクは一歩治療台へと近付いた。起き上がった吸血鬼が、じろりとドラルクを見て前髪を掻き上げ、それから半田に視線を止める。
    「あれ、半田じゃん。なんでいんの」
    「彼はこの町の退治人なのです、不死の王よ」
    「退治人になんかなったのか? へえ、じゃあ俺と勝負……」
    「我々はあなたが恐ろしいのです、強大な力を持つお方よ。どうかこのまま静かに町を去ってはいただけないだろうか」
     言葉を遮られたことが不快だったのかどうか、無表情の美しい顔がドラルクを頭から足下まで眺め、ぼりぼりと首を掻いた。高等吸血鬼拘束用の部屋だ。超能力の類いは相当高いレベルのものでも使えなくなっているはずなのに、ざわ、と空気の中に潜む闇が蠢いたかと思うとシャツにトラウザーだけだった衣服が靴下から靴、カマーバンドにジャケット、マントに至るまでざらざらと形を成して装着される。治療台へと片胡座で座っていたロナルドが、ごつ、と重く硬い音を立てて床へと降りた。ドラルクよりも背が高く、体積は何倍になるか、といった肉厚の躯をしている。
     その逞しく美しい肉体を見せ付けるようにシャツの合わせをがばがばに開けた吸血鬼が、ぬう、と身を屈めてドラルクの顔を覗き込んだ。むっと迫った気配臭に思わず顔を顰め、ドラルクは蹌踉めく。
    「うおっ、おい、」
     がし、と赤く長い爪の手に掴まれた二の腕が痛い。この反応、敵意はないか、とうっと呻いてみせたが、ロナルドの興味はそこにはなかったようで両手で腕を掴まれてしまった。
    「うっわ、細っせェ! なんだこれ骨じゃん! お前飯食ってる?」
    「いや、私はもともと太れない体質で」
    「もっと鍛えなきゃダメじゃん。人間すぐ死ぬんだぜ! 兄貴が言ってた」
    「ええまあ、努力はしているんですが……」
     やべえこいつ離れねえ、と血が一気に脳の狭い血管を押し開くようなガンガンとした頭痛にドラルクは奥歯を噛む。気配臭で死にそうだ、などと、さすがに初めての体験だ。
    「あ……あなたのような美しい肉体をお持ちの方には心許なく思えるのでしょうが、私は人間ですので……弱い群の中では、弱い個体もそれなりに生きていけるものですよ」
    「あー、マジで弱かったもんなお前ら。あれ? けど途中でなんか……おいしいものが……口に……」
    「むりむり、吐きそうくっさい」
    「ハ?」
    「メッキが剥がれるのが早いわドラルクゥ!!」
    「ヴェアボャッハッハァー!!」
     瞬間迫った半田がそれを突き出した途端、視認したかも怪しいスピードでロナルドは部屋の隅、正確には天井の隅まで飛び退き忍者ばりに両手両足で張り付いた。
    「セロッ、セロセロセロッ!!」
    「うわ、マジでセロリダメなんだ」
    「なッ、何だ!? なんでいじめんの!?」
    「ちなみにこの部屋無限にセロリ仕込んでるし外出ようとしたらセロリ汁が津波となって君を襲うからよろしく。プロデュースBY半田君」
    「半田アアァァァッッッ!! つうかオメエもさっきまでの畏怖ってますみたいな態度から急変なんだが!?」
    「怒らせて殺されるのも嫌だからな、下手に出るのは当然だろうが。だが弱点が本当に弱点なら話は別だ。君にはセロリの首輪くくりつけとこう」
     奇声を上げて泣きながら抗議をしているらしいロナルドを見上げ、とんとんとセロリで肩を叩いた半田がバカめ、と愉しげに嗤った。
    「大侵攻だなどと下らんことをするからこうなる!!」
    「大侵攻ってなに!? 俺はただ退治人とか吸対と遊ぼうと」
    「貴様のそれは遊びではすまんのだバカめ!! ロナルドと書いてバカ!!」
    「雑にルビ振んじゃねえよ!! 俺はちょっと死にたかっただけなんだって!!」
    「ハ? 自殺志願者? ちょうどいいじゃないかセロリの津波で死にたまえよ」
    「何言ってんのコイツ!? 復活出来ねえだろうがマジ死するわ!!」
    「なに、復活前提?」
     えー、わからん、と頭を掻き、ドラルクは半田からひとつセロリを受け取りちょいと天井の角のでかい虫のようになっている吸血鬼を差した。
    「なあ、ロナルド君。おとなしく帰ってはもらえないかね。あと二度と来ないで」
    「やだよもうちょっと遊ぶ」
    「君の遊びはこちらの被害が大きすぎる。たまたま死人が出なかったからいいものの、誰か死んでいたら全面戦争だったかもしれないんだぞ」
    「いいじゃん。しようぜ!」
    「ヤバい発言は慎め。ゲームじゃないんだよ。君のように復活前提で死にたいなんて言えないんだ、人間は。君もさっき言っただろうが。人間はすぐに死んで、二度と生き返らない。その恨みは君だけでなく、君の仲間の吸血鬼や、一般人として平和に暮らしている吸血鬼たちにまで及ぶだろう。君の我が儘のせいで、人間と友好的に暮らしている吸血鬼たちが住処を追われるわけだ。君の偉大なお兄さんは、そんな弱い者いじめをしろと君に教えたのかね」
    「ペラペラ口が回るみてえだが、兄貴のこと知らねえくせに適当なこと言うな、クソダンピ」
    「私君より年上だと思うんだけどねえ。敬えよ青二才が」
     ヌヌヌヌヌ、と中指を立て舌を出したドラルクと合わせてぴ、と指を立てたジョンに、噛み付く犬のような顔をしていた吸血鬼の目が丸くなった。
    「え、なにそれかわいい」
    「使いマジロのジョンだよ」
    「ジョン!? いや間違えたアルマジロ!? 誰の使い魔だよ」
    「私のに決まってるだろうが」
    「なんで?」
    「私とジョンは永遠に一緒だと誓ったからだ」
     真顔で告げたドラルクにロナルドはあ、そう、とちょっと引いたようだった。ふわり、とようやくに床へと降りてくるが、距離は取ったままだ。
    「さて、どうしたものかな。君は人間の命なんかどうでもいいタイプなの?」
    「殺してねえだろうが」
    「ああ、やっぱり殺さないようにしてはくれてたのか。……うーん……町を出ていく気はないんだな?」
    「まだ遊ぶっつったろ」
     めんどくせえ、と呟くとなんつった、と吸血鬼は凄んだが、突き出された二人分のセロリに青くなってべたりと壁に貼り付いた。
    「実は私の上司にね、追い出せないのなら監視しろと命令されてるんだよな」
    「ハ? お前が? 俺を監視ってこと?」
    「そう」
    「無理だろ。お前どうみてもクソザコじゃん」
    「そうだね私もそう思う。君なら一瞬で私を殺せちゃうし、その気がなくてもつつかれればそれで死ぬ」
    「クソザコすぎねえ?」
    「人間の中でも私は特に弱いからな、丁重に扱え。あと君マジでくっさいからあんまり近付かないでほしい」
    「臭い!?」
    「気配臭ってことだよ畏怖畏怖。喜べ殺人的な臭さだ」
    「言い方が嬉しくない!!」
     風呂入ってねえみたいじゃねえか、と怒っているロナルドに怒りに任せてもの壊したりはしないタイプか、いや壊したらセロリ出てくるからか、と考えながら、ドラルクは内ポケットをごそごそとした。ロナルドがびくびくとする。
    「いやセロリじゃないから。はい、クッキーだよ」
     ぽんとセロファンの袋でラッピングした菓子を投げると、片手で受け取った吸血鬼はつまみ上げてくんくんと匂いを嗅いだ。
    「食べていいよ。バナナケーキ美味しかっただろう」
    「へ?」
    「君が昏倒する前に食べた美味しいものの正体さ。私が作ったバナナケーキだったんだよ。ジョンのおやつだったんだけど、君に食べられてしまった。なんてかわいそうなジョン」
    「ヌー……」
    「えっ!? ご、ごめんジョン! く、クッキー食べる……?」
     嘘泣きをするジョンに慌てたロナルドに内心でさすがジョン、世界一のかわいさ、と頷き、ドラルクは片手を振った。
    「そのクッキーは君のだよ。ジョンの分はあるから安心してお食べ。暴れない、誰も傷付けたり殺したりしない、ものを破壊しないと約束できるなら、食事もさせてあげよう。ロナルド君、きみ、人間の食事大丈夫なタイプだろ?」
     ざらざらとクッキーを頬張りなにこれうめえ、と目を丸くしている吸血鬼にそう言うと、彼は赤い目をキラキラとさせる。
    「お前の料理?」
    「そうさ。これでもシンヨコいちのお料理上手ドラドラちゃんで通ってるんだ。ただし悪さをしたらセロリのフルコースだ」
    「誰が食うかよ!!」
    「食べざるを得なくしてみせるさ。……君がこの町に滞在する間、私の監督下に入る。そうすれば食事は用意してやるし、ジョンとも触れ合えるぞ。交換条件は、悪さをしないこと、私の命令を聞くこと。どうだね?」
    「言うこときく義理はねえけど、きかなきゃ飯もジョンもナシかよ」
    「当たり前だろ。私が作るんだし、ジョンは私の使い魔だぞ。相思相愛なんだ。私と敵対すればジョンにも嫌われる。蛇蝎の如く……セロリの如くかな」
     ぼりぼりと銀髪を乱して頭を掻き、半眼になった吸血鬼ははあ、と溜息を吐いた。
    「……わかったよ。しばらくは言うこときいてやる。ただし拘束力はねえからな。飽きたら好きにするぜ」
    「いいよ。飽きさせないからね」
     にこ、と笑ったドラルクをうさんくさい、とじとりと見詰めて、ロナルドはそれで、とふいに情けない顔をした。
    「セロトラはずして……? ここがお前んちじゃねえだろ……?」
    「いや私の家に住む気かよ」
    「ア? そうだろうが。飯食わして監督するんだろ。朝から晩までジョンと一緒にいたいし、ならオメーんちが最適解だ」
    「いやジョンは私と一緒に出勤するんだが……」
    「じゃあ俺も出勤する」
    「アホか吸対だぞ吸血鬼が入るなアホか」
    「アホって二回言うな!」
     まあいいけど、と呆れ、ドラルクは半田をに目を向けた。
    「トラップ外してあげてくれるか、半田君」
    「このままVRCに居座られても迷惑だからな、仕方ない。ドラルク、手伝え」
     どこからセロリが出てくるのかとマントを巻き付けビクビクとしているロナルドをおいてはいはい、とついて行くと、廊下に出、ドアを閉めた半田がにやりとした。小声で囁く。
    「さすが、絡め手上手だな」
    「彼が単純なんだよ。思いの外無邪気だし、扱いさえ間違えなければ致命的なことにはならんだろ。ただまあ、無邪気な怪獣みたいなもんだし、しっぽのひと振りで彼が意図しなくても人が死ぬからな。私が死んだら後は頼むよ」
    「俺の知っている頃のロナルドのままのようにも思えるし、その覚悟は不要だとは思うが……まあいい、任された。心置きなく死ね」
    「その激励不適切じゃない?」
     まったくクソヒゲといいみんな私に冷たい、もっとちやほやしろ、とぶつぶつと言いながら、ドラルクは罠を外していく半田のあとをついて歩いて手伝え、と叱られた。
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    fuki_yagen

    PROGRESS7/30の新刊の冒頭です。前に準備号として出した部分だけなのでイベント前にはまた別にサンプルが出せたらいいなと思うけどわかんない…時間があるかによる…。
    取り敢えず応援してくれるとうれしいです。
    つるみか準備号だった部分 とんとんと床暖房の張り巡らされた温かな階段を素足で踏んで降りてくると、のんびりとした鼻歌が聞こえた。いい匂いが漂う、というほどではないが、玉ねぎやスパイスの香りがする。
     鶴丸は階段を降りきり、リビングと一続きになった対面式キッチンをひょいを覗いた。ボウルの中に手を入れて、恋刀が何かを捏ねている。
    「何作ってるんだい? 肉種?」
    「ハンバーグだぞ。大侵寇のあとしばらく出陣も止められて暇だっただろう。あのとき燭台切にな、教えてもらった」
    「きみ、和食ならいくつかレパートリーがあるだろう。わざわざ洋食を? そんなに好んでいたか?」
    「美味いものならなんでも好きだ。それにな、」
     三日月は調理用の使い捨て手袋をぴちりと嵌めた手をテレビドラマで見た執刀医のように示してなんだか得意げな顔をした。さらさらと落ちてくる長い横髪は、乱にもらったという可愛らしい髪留めで止めてある。淡い水色のリボンの形をした、きっと乱とお揃いなのだろうな、と察せられる代物だ。
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    【実際にある症状の名前が出てきますが、不謹慎な意図で用いているわけではございません】

    なんでも許せる人向け
    会話に失敗するロド「お暇?」

     彼はそう声をかけながら、隣へ腰を下ろす。コーヒーとミルクの香りがする。

    「そのワードやめろ、あの人がすっ飛んでくるぞ」
    「今は困るなぁ」

     笑いながら、肩がぶつかるほど近くへ寄ってくる。機嫌の良さそうな声だ。今はそういう気分なのか。
     ロナルド君の方へ顔を向ける。その手には二つのマグカップ。黒い方を私に差し出してきた。湯気の立つミルクが入っている。
     ゴリラとバナナの描いてるカップは彼のもの。

    「……ありがと」

     礼もそこそこに、すぐに前を向き直した。今ここに、マナーがなってないと口うるさくいう人間はいない。私たち二人だけ。運悪く、ジョンはお出かけ中だ。
     目を合わせられなかった。そうやって優しくされると困る。
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