休日の昼下がり。
屋内にある温水プールは季節問わずに、子供から大人まで多くの人で賑わっていた。
親子が浮き輪で水飛沫を上げ、同性のグループが笑いながらプールサイドを歩き、恋人たちは肩を寄せ合っている。
水の弾ける音、青く澄んだ水面に、おもいおもいの笑い声が響いている。
そんな楽しげな雰囲気の中、一角のベンチに座る少女の姿があった。
火渡カイ。
普段の彼女なら、このような喧騒な場に姿を見せる事はないのだが、今日は特別であった。
恋人である木ノ宮タカオに、誘われたからだ。何でも商店街の福引で当たったという。
うなじに掛かる襟足はそのままに、シンプルな黒色のビキニの上から、白いパーカーを羽織っていた。
1739