恵那院のグルメ『ライスロール』 かちゃり、と少しずれたサングラスを直して店内に入る。
そこそこ並んだが列の進みが早かったので空腹は限界というほどでもない。じっくりとメニューを吟味でき、空腹が調味料となるいい具合のコンディションだ。
さて、何を食べようか。
薄いメニューに隅から隅までしっかりと目を通す。
一人で来たので余り品数は頼めないが、点心の店に来て飯物ばかりなんてのはいかにも味気ない。ここは腹八分目は無視して満腹まで品数を確保する場面だろう。
名物のベイクドチャーシューパオとライスロールは必須で食べたい。そこにサラダとして蒸しレタスを足すとして、あと食べられるのは一品二品程度…。
うん。やっぱり王道の揚げ春巻きも食べたいところだ。そこに米ものとして鶏肉の蒸しご飯を追加しよう。
しばし待つこと数分、机上に点心が勢ぞろいする。
先ずはサラダの蒸しレタスだ。
う〜ん。蒸されたことで甘みの出たレタスとしょっぱいコクのあるタレ、過熱されすぎないレタスはシャキシャキが残っていくらでも食べられる〜〜!
これをツマミにビールなんかも合いそうだがあいにく休日とはいえ昼間から飲むのは気が引ける。
続いてはライスロールだ。箸で持ち上げるだけで千切れそうな柔らかさと確かな重みに、期待が高まる〜〜。
トロリととろける皮に、プリプリの海老! タレが染み込んで全てが馴染んで調和している。コリッとした野菜がアクセントでハーモニーを奏でている〜!
ライスロールを一つ残して揚げ春巻きに取り掛かる。
こちらは前の二つに比べて特色が強くはないが、サクサクの皮と濃い旨味の椎茸と歯応えのある筍が王道の美味しさだ。
蒸しご飯も鶏と米の味が馴染んで優しい味わいでいくらでも食べられてしまう。
さて、残しておいたライスロールと春巻きも片付けてベイクドチャーシューパオに取り掛かる。
これはメロンパンのような甘いクッキー生地が被さったチャーシューまんだと聞いているが、クッキーの甘みとチャーシューまんはどれ程合うのか、未知の体験だ。
「!!」
美味い! サクサクのクッキー生地と甘めのチャーシューがご飯よりも少しオヤツ感覚ではあるが見事にマッチしている!
甘さが少し胃にくるが、それを考慮しても次が食べたくなる美味さだ! やはり店のオススメ商品はチャレンジしてみるのが良い。
会計を済ませて店を出る。
少しばかり食べ過ぎたか、腹ごなしに一本木さんの柔道場に顔を出すのも悪くない。
サングラスを外し、俺は珍宿へと帰っていった。