手を握るのは。 手を、握られている。
──プラセルか? いや、もしかしたらオルカかもしれねえ。どっちだ?
掌を伝ってくる熱に誘われるように、ヴィダはゆっくりと深い眠りから意識を現実へと戻していく。
──どっちにしたって、どうせ怖ぇ夢でも見たんだろうな。
それは、思いの外よくある事で、特にプラセルは「オバケの夢見た」と言っては眠っているヴィダにくっついて来たし(冬場はいいが、夏場はブチ切れた)、手を握ってくることもしばしばあった。
だから今回もそうだろうと、自らの体内時計がまだ深夜を示しているのを確認して、ヴィダは再び眠りにつこうとした。
──……ん?
しかし、戻ろうとしたところで、ヴィダは違和感を覚えて、再び意識を現実側へと引き寄せた。
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