綿毛の君と傘帽子の君⑨第9章
高く連なり頂点の分からない石階段を、アンドルーさんの歩幅に合わせて歩く。
彼は、 田んぼから飛び出したカエルのように ぴょんぴょんと跳ねて登っていく。
ウィックは いつも、慣れたように、ひょいひょいと登っていくものだから 忘れていたが、普通は この石階段を短い足で登るのは厳しいのだ。
抱き上げて運んでやりたいが、アンドルーさんの瞳は 常に上を向き続け、疲労や億劫さを感じさせなかったため、彼の意志を尊重すべく 手を引いた。
半ば辺りまで登っただろうという時、彼から質問を受ける。
「ねぇビクター、なんで片方だけ掃除してもらえていないんだ?」
子供らしい 純粋な疑問だろう。
何も知らない者が見れば、必ず違和感を抱く光景だ。
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